2006年6月、中央大学生協に勤務するパート職員の女性(吉田比呂子さん)が、有給休暇を願い出た。ところが、直属の上司である村山裕和係長は、
「パート職員への有給休暇は制度として設けていない」
と一蹴した。納得できない吉田さんに対し、村山裕係長はさらに、
「有給休暇の申請などすれば生協が吉田さんを解雇するかもしれない」
などと言った。
有給休暇は、パートであろうが正社員であろうが、労働基準法で認められた正当な権利である。吉田さんは、有給休暇申請用紙を自作記入の上提出したが、それで得た休暇は無給扱いにされた。
吉田さんによって事の次第が労働基準監督署に申告され、中大生協はパート職員にも有給休暇を認めるようにとの指導を受けた。しかし、生協はその後もパート職員に対しその権利について通達しなかった。それどころか、有給休暇を申請するパート職員に対し、
「パートは準従業員。有給休暇制度は規則にない」
「労基署に行かれたら仕方ないから払う。その代わり有給休暇分をボーナス等で取り返す。でもそんなことすると印象が悪くなる。配置換えもできる」
などと、脅迫までするのだった。
よくある出来事だが、視察指導に入りはするものの、労働基準監督署はここまで洞察しているのだろうか。バカではない限り、それぐらいの想像はつくと思うが、「勧告、指導」後は実際知らん顔なのだから、同じことではある。労働基準監督署による「指導」の後、吉田さんは、有給休暇分の給与を獲得したのだろうか。記事にはその記述がない。
とにかく、危機感を持った吉田さんは、個人でも加入できる労働組合に入り、大学構内でのビラ配布や団体交渉要求などを行うようになった。
さて、職員の当然の権利も認めないばかりか、脅迫するような職場にはよくあるように、以後、吉田さんに対する嫌がらせが始まった。
1. 「仕事上のわからないことを隣の人に質問しただけで『私語はやめろ』と怒鳴られる。
2.. みんなと同じように働いているのに私だけが注意され、勤務態度が悪いとののしられた。
3. 内でのビラ配布で不利益を与えた、などを理由に3度の懲戒処分が下された。
4. 契約更新時期には勤務日数を著しく減らした契約変更を迫られた。
5. 図書館から売店への配置転換命令まで下された。
6. 4と5について、『嫌なら契約を更新しない』と迫られた。
1と2は、小学生レベルの嫌がらせだが、こうした瑣末な(しかも証拠が残りにくい)やり口は、器の狭い人間が最も得意とするものだ。相手のやる気を削ぎ、退職に追い込む目的である。あるいは、反抗心を煽った上で、その態度が悪いと決めつけ、強制処分を押しつける魂胆なのだ。
2001年11月、中大生協は吉田さんへの配置転換命令が有効であるとする訴訟を提起した。しかし、負け続けたのだろう、2005年3月の最高裁で、ようやく「配置転換は有効」との判決が出た。
もっとも、3度の懲戒処分と勤務日数を減らした契約変更は、東京都労働委員会で不当労働行為と認められている。これについて、裁判所ではどのような判決を下したのか。一切触れなかったのか。記事には書かれていない。
それにしても、最高裁まで争い続ける手間暇、費用があったら、従業員の当然の権利ぐらい認めたらどうなのか。この辺からも、ケチな小物臭がふんぷんと漂う職場である。
判決確定後、生協は吉田さんに対し、売店勤務命を前面に出した契約書を送りつけた。吉田さんはこれに署名しなかったため、解雇された。
(続く)
中央大学で「パートには有給休暇は出せない」逮捕
「オラオラ!」「おとなしくしろ!」「静かにしてろ!」。「みなさん見てください!」「警察が労働組合活動を弾圧しています!」.......... ≪続きを読む≫