携帯電話会社ジェイフォン(現ソフトバンクモバイル)東海支社の社員だった小出堯(たかし)氏(当時56歳)が200212月に亡くなった。過労性の鬱病発症、悪化による自殺であった。

 妻の典子さんら遺族は、同社における従業員の健康状態に対する配慮不足を挙げ、訴訟を起こしていた。(損害賠償金は約1億600万円)

 名古屋地裁は07年4月24日、同社は自殺を予見できなかったなどの理由から、これを棄却した。

 遺族側は控訴する。

 19944月、小出堯氏は東海デジタルホン開局に向けて長時間労働を強いられていた。過重な業務がたたり鬱病を発症し、通院しながら勤務しつづけていた。
 2002122日、未経験な物流部門への配転が強行され、今までの倍かかる片道二時間更に通勤となった。身体障害者4級で足の不自由な小出堯氏には、さらなる苦痛であった。しかも、本来二人で担当する仕事を一人で引き継ぐことになった。


 配転宣告以降、小出堯氏は不安を抱え連日上司に訴えたが、無駄だった。会社は堯氏の立場も訴えも無視し、配転を強行したのだ。ここまで来れば、会社側あるいは上司による嫌がらせにしか見えない。
「とても一人でやれる仕事ではない。厳しい。会社はなんにも聞いてくれない。」

 過重労働、長時間通勤、勤務、理不尽な待遇などによる苦痛で肉体的精神的に追い詰められ、小出堯氏はついに命を絶った。理不尽な配転から5日後のことだった。

 名古屋地方裁判所民事第1 永野圧彦裁判長は、原告の訴えを棄却したが、その判決理由がどう考えても理不尽だ。

1. 東海デジタルホンへ出向時の開局業務は過重

 ではない。
2.
佐屋倉庫への配転は違法・不当ではない。

3. 持ち帰り残業について会社は知らず、証拠も

 無い。

4. 身障者の通勤片道二時間は、負担ではない。
5.
会社へ鬱病の申告をしなかった。会社は鬱病

 であることを 知らなかったため、安全配慮義

 務違反ではない。


 1については、何をもってそう断言するのか。おそらくタイムカードは処分、あるいは会社の都合どおりに捏造されているのだろう。いや、初めから強制的に定時で捺させていたのかもしれない。その他残る過重労働を証明するような物件も、会社によって処分されていたに違いない。むろん、他の社員にも睨みをきかせ、緘口令をしいているはずだ。

 したがって、2での勤務内容がどれほど、またどのように小出堯氏を傷めつけたかも、部外者に伝わらないだろう。実に要領よく証拠隠滅できたものだ。

 3もそうだ。都合の悪いことはすべて「知らない」で済ませる気である。そもそも、持ち帰り残業の確たる証拠なぞ、普通は残っているものではない。それをいいことに、会社はシラばっくれるものなのだ。

 証拠がすべてというのが日本の裁判ならば、しかたのないことなのか。否、45を見ていくと、裁判官に問題があることが明白である。



                (続く