日光東照宮ー1 敷地選び
建築はよくわからない
たびたび耳にする言葉です。
そこで今回は、個人的ですが、私の建築の楽しみ方を、
日光東照宮を題材に、順に書いてみたいと思います。
建築の評価の仕方には様々な方法がありますが、
例によって学問的なことは苦手でして、感覚的にアプローチしてみます。
これはJR日光駅。
倉庫の向こうに頭を覗かせているのが、木造の駅舎です。
なんということはありませんが、木の板を張った壁と寄せ棟の屋根が、
小高い山波と似合っていますね。
偉大な建築は、 どこに建てるか からはじまります。
日光は宇都宮の西、江戸のほぼ眞北で、
徳川家康の遺言で定められた場所に、建てられました。
スピリチュアル・カウンセラーであった、天海和尚のアドバイスもあったのでしょう。
家康がこの地を訪れた記録はないそうです。
日光東照宮は、この大谷(だいや)川の北に位置する、
二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)の地に建てられました。
大谷川にかかる朱塗りの橋の名は、神橋(しんきょう)。
それらしい伝説が語られる橋です。
橋の長さは28m。
ちょうど、和弓の試合で、的までの距離にあたります。
大谷川は、美しいコバルトブルー。
上流で、金属のイオンが溶け込む川なのでしょう。
この色の流れは、スイスの、インターラーケン:INTERLAKEN という、
二つの湖をもった街を思い出しました。
どちらの街も、清らか という印象が共通です。
橋を支える柱脚に驚きました。
巨石を組んだ鳥居のかたちをしています。
2本の柱を貫くヌキ も表現されています。
山あいの流れは、ときには大変な力となるので、石造りの柱なのでしょうが、
どうやって刻み、運び、組んだのでしょう?
壮大な霊廟へと渡るのにふさわしい、みごとな造りの橋が、お出迎えでした。
川の南側には、日光金谷ホテル。
今でも和洋折衷のツインルームが楽しめる、老舗ホテルですね。
帝冠式建築と呼んで、さしつかえないと思います。
さすがに良いロケーションに建てていますね。
参道に差し掛かりました。
日光は、世界に誇れるというより、世界が誇れる名建築。
次回は、東照宮の傑出した配置について、ふれてみます。
mic
最近観た映画から・・・・10
オーケストラ : LE CONCERT
国策の犠牲で、劇場の掃除人をさせられている天才指揮者が、
偶然のチャンスを利用し、不遇な生活を送るかつての仲間と、
パリでコンサートを実現
・・・ザっといえばこんな話ですが、ランダムに凝ったディテールと、
コメディ仕立ての展開に、十分楽しめました。
無謀な計画を打ち明けられた妻は、天才コンダクターに言います。
離婚よ
・・・・・
もしやらなければ
このシーンだけ妙にシリアスで、浮いていました。
なぜかハリウッド映画的なセリフだったからでしょうか?
すべての謎ときも兼ねた圧巻のラストは、
チャイコフスキーのバイオリンコンチェルト
私の大好きなナンバーですね。
初めてきいたのが、江藤俊哉のバイオリンで、40年前の東京文化会館。
あの小さなバイオリンで、オーケストラと協演などできるのか・・・
そんな疑問を、吹き飛ばしてくれた迫力ある演奏でした。
この映画でも、十分に感動させてくれます。
個人的には、ロマのコンサートマスターが気に入りました。
クラシックでも、たき火を囲んだダンスでも、
とにかく音楽なら、なんでも楽しんでしまう姿が、好きですね。
パリより愛をこめて : FROM PARIS WITH LOVE
題名からして、ロシアより愛をこめて のパロディーです。
007にあたるのが、スキンヘッドのジョン・トラボルタ。
CIA諜報員らしいのですが。
とにかくよく撃ちます。
大好物は、ベルーガ:キャビア ではなく、ハンバーガー。
外務省勤務のジョナサン・リス・マイヤーズは、もうひとりのエージェント。
恋人との情事をひそかに撮影されますが、
このあたりは007と同じ流れ。
そのことを知って、トラボルタが言います。
おまえは、YouTubeで有名になるぞ!
20世紀の情報部員には出てこない、ジョークですね。
インセプション : INCEPTION
なるほど・・・・これが第一の感想でした。
夢の世界に入り込むストーリーなので、当然夢でみているシーンがベース。
これが映画というメディアに、実によく合っているのですね。
特撮:SFX が、こんなに効果的な作品は初めてです。
ゆがむ町並み・無重力の世界・大雨・・・・
ご覧になる価値はあります。
難解ですが、ストーリーもよく考えられていますね。
冒頭、渡辺謙の部屋は、ハリウッドらしい国籍不明の和風らしき空間。
夢のなかと思えば、固く考えることもありませんが。
あなたと共に年をとりたかった・・・
レオナルド・デュカプリオは、愛妻にこんなことを言われて、顔が曇ります。
男たちが、妻の言葉に戸惑うのは、夢のなかに限ったことではありません。
mic
コンペから生まれた住宅ー2/3 : my work
このときのコンペは、ある城下町での住宅で、和風がご希望。
東京ではなかなか木造和風住宅を手がける機会がありません。
意欲的なスタッフが、私の了解も得ずにエントリーしていました。
もちろん、異存はありません。
住宅地にある木造住宅を建て替える計画。
コンペのテーマは、家族のなごむ和風の住まい。
私の案は、既存の環境をできるだけ残すことに決め、
アプローチもお庭も、既存のままにしました。
これは、新築後の玄関ですが、
銅製の樋は既存の住宅からはずし、再利用しました。
格子戸左手の照明器具も、もとのお住まいから使わせていただきます。
右手の縦長の開口は、リビング。
お帰りなさい とお迎えする窓です。
なぐり書きのようですが、このような感じで案を練っていきます。
このときは、既存家屋の図面をもとに、ホワイトをかけ、
サインペンで、重ねて描きました。
この数年、完成図面はめったに描きませんが、素案作りは必ず自分でします。
これだけはスタッフに奪われないぞ~
という、聖地ですね。
クライアントにもお見せしない図面です。
・・・とはいうものの、訳がわからないですね。
中央の薄い緑が中庭です。
手入れの行きとどいた代々の中庭が、もとよりありました。
この庭をつぶすことなど、私にはできません。
スタッフの描いた応募図面。
玄関をあけると中庭が見えているのが、おわかりになりますか?
下のパース(透視図)は、襖をはずした二間続きの和室。
2007年のはじめ、幸運にも、設計者に選んでいただきました。
玄関を入ると、正面いっぱいに中庭がひらけます。
コンペの要項にある、クライアントのご要望でした。
格子をとおして透けるグリーンも、私は好きです。
見事な、中庭ですね!
鯉のぼりが泳ぐ季節。
新緑が、美しい。
あがり框(かまち)を上がって、玄関ホールの様子。
奥がリビング、手前がお客さまをお通しする和室。
手入れのいきとどいた、美しい中庭です。
お客様のときは、襖を外して使うことも。
はずした襖を立てるため、廊下に鴨居をつけたのが、左端上に写っています。
久しぶりに、和室らしい日本間をデザインさせていただきました。
ご先祖様の位置は、前のお住まいと同じ場所にしました。
ここが良い・・・ とおっしゃっているような気がしまして。
雪見障子越しの景色は、南側のお庭。
あとはそれに倣います。
LDKは、オープンキッチンに。
ご家族のどなたでも、お手伝いできます。
天井に下がっているのは、BOSE のリアスピーカー。
洗面所の天井は、室内で洗濯物が干せるように。
右下のラジカセは、浴室内のスピーカーに接続。
これも、BOSE の浴室用。
浴室は、天窓から光がさします。
書斎からみる中庭も、私の好きな景色です。
コンペの条件には、建物配置は自由に提案を・・・とありましたが、
中庭を残して、本当に良かったと思っています。
コンペによって素敵なクライアントに出会え、素敵な作品が残せました。
打ち合わせと現場確認に、特急でも往復5時間はかかりましたが、
通うのが苦にならなかったのは、
この街で、美味しいおそばが食べられたから・・・・
・・・だけではなかったプロジェクトです。
mic


















