コンペから生まれた住宅ー2/3 : my work
このときのコンペは、ある城下町での住宅で、和風がご希望。
東京ではなかなか木造和風住宅を手がける機会がありません。
意欲的なスタッフが、私の了解も得ずにエントリーしていました。
もちろん、異存はありません。
住宅地にある木造住宅を建て替える計画。
コンペのテーマは、家族のなごむ和風の住まい。
私の案は、既存の環境をできるだけ残すことに決め、
アプローチもお庭も、既存のままにしました。
これは、新築後の玄関ですが、
銅製の樋は既存の住宅からはずし、再利用しました。
格子戸左手の照明器具も、もとのお住まいから使わせていただきます。
右手の縦長の開口は、リビング。
お帰りなさい とお迎えする窓です。
なぐり書きのようですが、このような感じで案を練っていきます。
このときは、既存家屋の図面をもとに、ホワイトをかけ、
サインペンで、重ねて描きました。
この数年、完成図面はめったに描きませんが、素案作りは必ず自分でします。
これだけはスタッフに奪われないぞ~
という、聖地ですね。
クライアントにもお見せしない図面です。
・・・とはいうものの、訳がわからないですね。
中央の薄い緑が中庭です。
手入れの行きとどいた代々の中庭が、もとよりありました。
この庭をつぶすことなど、私にはできません。
スタッフの描いた応募図面。
玄関をあけると中庭が見えているのが、おわかりになりますか?
下のパース(透視図)は、襖をはずした二間続きの和室。
2007年のはじめ、幸運にも、設計者に選んでいただきました。
玄関を入ると、正面いっぱいに中庭がひらけます。
コンペの要項にある、クライアントのご要望でした。
格子をとおして透けるグリーンも、私は好きです。
見事な、中庭ですね!
鯉のぼりが泳ぐ季節。
新緑が、美しい。
あがり框(かまち)を上がって、玄関ホールの様子。
奥がリビング、手前がお客さまをお通しする和室。
手入れのいきとどいた、美しい中庭です。
お客様のときは、襖を外して使うことも。
はずした襖を立てるため、廊下に鴨居をつけたのが、左端上に写っています。
久しぶりに、和室らしい日本間をデザインさせていただきました。
ご先祖様の位置は、前のお住まいと同じ場所にしました。
ここが良い・・・ とおっしゃっているような気がしまして。
雪見障子越しの景色は、南側のお庭。
あとはそれに倣います。
LDKは、オープンキッチンに。
ご家族のどなたでも、お手伝いできます。
天井に下がっているのは、BOSE のリアスピーカー。
洗面所の天井は、室内で洗濯物が干せるように。
右下のラジカセは、浴室内のスピーカーに接続。
これも、BOSE の浴室用。
浴室は、天窓から光がさします。
書斎からみる中庭も、私の好きな景色です。
コンペの条件には、建物配置は自由に提案を・・・とありましたが、
中庭を残して、本当に良かったと思っています。
コンペによって素敵なクライアントに出会え、素敵な作品が残せました。
打ち合わせと現場確認に、特急でも往復5時間はかかりましたが、
通うのが苦にならなかったのは、
この街で、美味しいおそばが食べられたから・・・・
・・・だけではなかったプロジェクトです。
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