うわあ。作者の柱みておったまげましたよ。
「昔親友ってどんなだろって 話したのおぼえてる?
・・・あの約束
どれ一つも守れなかったね!」
なないろ革命8巻
柚原瑞香・りぼんマスコットコミックス
(りぼん掲載)
★あらすじ★
栗山奈菜は小嶋ゆゆと小学校からの大親友だったが、ゆゆは奈菜に髪型や持ち物の「お揃い」を押し付ける。
このままでは自分がいなくなると思いゆゆから離れようとするも、ゆゆはいろんな手を使って奈菜をとりこもうとする。
中学時代保健室登校をしていたのに、高校に入学すると同じ髪型をしたゆゆが奈菜の目の前に現れた。
奈菜はさっぱりした性格の伊央と出会い友達になるがゆゆはあれこれと手をまわし、伊央をクラスからはじこうとする。
黙っていられない奈菜は…?
フレネミーとのホラーバトル漫画、遂に完結。
☆☆☆
なないろ革命が好きな人はまずブラウザバック推奨。
そういう立場の記事です。
本当によろしくお願いします。
(あと、読んだ人推奨です)
私は解決を示さないいじめ漫画や、束縛系(最近はクレイジーサイコレ●とかいうらしい)の友達と仲良くする漫画を、TL程度の漫画よりも有害だと思っています。
大人になってもおばあさんになっても、「親友を取られた」「○○は私のもの」と拗ねたり激高したりする人がいます。平気で存在します。私は…成人してから「あの子と仲良くしないで」という手紙を5枚送りつけられてゾッとしました。
その存在が許される空気は、そういう百合(?)漫画が少なからず関係しているからかもしれません。
この漫画はいじめ漫画とはいいがたいのですが、
では友情ものか?というと違います。
ただのホラーです。
帯に「リアル友情ストーリー」と書いてありますが訴えていいくらい。
さて今までのおさらい。
★ゆゆは昔から奈菜にお揃いを押し付ける。テニス部に勝手に入部届を出されキレた奈菜はもう「お願いをきかない」とゆゆに宣言。
★ところが人当たりがよく美少女のゆゆは仲間を取り込むのが上手く、奈菜が悪者扱いされクラスから遠ざけられるようになる。静観しているのは男子の誌丘だけ。
★奈菜は別クラスのひまりと仲良くなるが、ゆゆは彼女と仲良くすれば奈菜を取り込めると考え巻き込む。ひまりはそれに気づくが、誌丘に恋をしてしまいゆゆがそれを奈菜に吹き込む。
★誤解は解けるがゆゆはついに「私が欲しいのは奈菜ちゃんだけ、他の子はどうでもいい」と言い出す。そして、ひまりを階段から突き落そうとするなどし脅迫めいたことをするが、ひまりと誌丘の助けで振り切る。
★ゆゆが不登校になり、それを奈菜のせいにする。説得しに行くが、やっぱり「私のお願い聞いて」なので断る。
★しょうがないので二年ほっておいたら、高校になって奈菜と同じ髪型をしたゆゆが現れる。「なにもしない」と言っておきながら、伊央と仲良くしようとすると奈菜の邪魔をする
★「あんた私と仲良くしようなんて思ってないでしょ」と伊央に見抜かれたゆゆ、伊央の友人のさやかに「隼(伊央とさやかの友人だが、さやかは彼が好き)と伊央がデートしていた」などととふきこみ、関係をぎくしゃくさせる
ここまでが前巻のお話。そして、奈菜が伊央とさやかを仲直りさせる。奈菜はゆゆに「私、ゆゆのことこわかったけど嫉妬とかずるい気持ちが私にもあるってわかったから。だからもうゆゆのことこわいなんて思わない」と言う。
ゆゆは「奈菜ちゃんはゆゆのこともう好きでも嫌いでもなくなっちゃったんだ」と気づく(今かよ)。
ここからゆゆは大暴走を始めます。クラスの中心に立って馴染んだ途端に一人一人が抱えているギクシャクを全部バラしてクラス中をもめさせるのです。
「単純なんだもん。みんな自分に都合いい相手が欲しいだけで会わなければすぐ切るんでしょ?不満があるなら切っちゃえばいいのに」
自暴自棄になっていると感じた奈菜は止めようとしますが、ゆゆは止まらない。
「どうしてゆゆが奈菜ちゃんにこだわるかわかる?つまらなくて自信がなくてゆゆから離れてくれなそうだからだよ」
ショックで奈菜は学校を飛び出しますが、途中でひまりに会い、伊央とさやかがカバンをもって家に来てくれた。もう、ひとりぼっちではないと気づく。
そして誌丘も「ようやく小嶋に対して対等なことを言えるようになった」と。
奈菜はゆゆを同じ視点で見ていなかった。だからいままでゆゆの行動に怯え、ゆゆにとらわれていたのだ。
そして奈菜とゆゆはついにお互いをぶちまける。
「私、ゆゆのことめんどくさかった。勝手で自分のことばっかりで、私の事一番知ってるくせに私の事一番わかってなかった」
「奈菜ちゃんだって頑固でばか正直できっとゆゆの気持ちなんて一生わかんないよ。あーあ、私たち全然似てないね」
そしてゆゆは留学していくのでした。
奈菜がゆゆを許してこの漫画が終わるようならまずいなと思っていましたが、ほぼ完全に手が切れたと思っていいのでほっとしました。
冒頭の抜粋は一番ラストともいえる奈菜とゆゆの会話です。
二人は確かに「最初の親友」でした。何もわかっていない幼いころに交わした友情。
二人は親友として何をすべきか、その当時話し合っていたのです。
「いつも一緒にいてなんでも話し合って、なんでも一緒に分かち合って同じぐらい一緒で大好きで永遠に続くこと」
何も守れていないし、ゆゆははなっから守ろうとしなかったのです。
つーわけでこの二人、実は「親友」と言い合ったときから
全然友達じゃなかった。
一体この漫画のどこが友情ものだったんでしょうか。
この漫画にあったのは学校における恐怖と、怪物の狂気と、大人の介在しない閉じた世界の愚かさでは?
ひまりや伊央たちとの友情描写があるじゃないか、とおっしゃるかもしれませんが、ぶっちゃけると、
「こういう友情描写なら、普通の恋愛漫画に刺身のツマとして添えられる友達描写でもよくあることじゃないですか?」ということです。
しかしゆゆって何だったんだろうな。
考察するほどのことでもないのだろうか。
彼女は人気者なのに、信頼できる人間が一人もいなかったという。
「私が悪いんじゃない、周りが馬鹿で下衆だからだ…」ってのがゆゆの本音。これ言い出すムスカみたいな大人もいるからしょーがないかと思うし、周辺にいないなら外を見るしかないですよね。
だから留学は正解でしょう。周りを見下さず、上を見ればいい。
ほっとけない体質の奈菜にほだされたのもわからなくはないが、それは踏み台の一つでしかなかった。ゆゆは頭がいいくせにそれがわからなかった。
そのために周りが巻き込まれてしまった。
保健室登校の時点で家族が介入しなければならなかったのに…(罪悪感や感受性の欠如がはなはだしいので、ゆゆは生まれつき○○○○があったんだろうなと思いますけど、そんなのも作者は考えてないだろうし)
奈菜も自分だけで考えてしまい家族には言わなかった。だから梓に「まだそんなことやってるの」と言われるのです。
さて、この漫画8巻も続いちゃったので人気があったんだよなと思うんですが、おそらく読者の多くが「うわー今回もひどい!ゆゆうざい!奈菜はどうするの?続きが気になるー!」という気持ちだったと思います。私も決着を見届けるために全部買ってるから思惑通りです。
青年誌でゾンビ漫画やデスゲームが流行するのはそういうところでして、実際にその漫画が好きかどうかは別なんじゃないか?と思うのです。
そして作者のコメントを見てため息が出ました。一話以降、結末も決めずに書いていたらしい。
それなりにシナリオは固まっていたと思いますが、おそらく高校までバトルを引き伸ばすとは思ってもいなかったでしょう。人気が出てしまったので続けていくしかなかった。
8巻もやっていて、作中時間は3年も経っているというのが本当に致命的で、いきあたりばったりで作品を作っていたことやりぼん特有のズルズル感も作用しています。
ちゃおならこんなお話一冊で済みます。
この人の短編「うそつき姫」はよくまとまっていました。普通のいろんなタイプの女の子がそれぞれにわだかまりを抱えながら一緒にいるという難しさを描き切っている。
私は、いじめ漫画やハブリ漫画はもっと出てほしいと思っています。しかし、まだジャンルとして未成熟で完成された作品はありません(しかし竹内友香先生の友達ごっこがさらっとしていていいと思います。7巻だけでも読んでみてください)。
まず、長編にしてはいけないと思います。話が長くなればなるほど、起こるイベントが現実から離れて行ってしまいますし、悪役のキャラクターも考えられない怪物になっていくからです(すえのぶけいこ先生のライフがこれ)。
ゆゆも最初のうちはただのストーカー気質かなと思ってましたが、どんどん意味の分からないキャラになっていきました。束縛系はどこにでもいますが、たった一人を振り向かせたいためにクラス全体を巻き込むような子は実在しないでしょう。
あとはやたらめったらドラマチックに煽り立てるし、
一番恐ろしいのは「本来おどろおどろしいところを可愛らしくライトに描写してしまっている」ということ。
ゆゆは美少女だし、おそろしいことをたくらんだり暴言を吐いても周りの背景効果がキラキラしていたりする。テキストで伝えなくても、読者には伝わってきます。「こういうことしていいんだ」と。
かつてのりぼんはいろいろな年齢の人が読んでいたけれど、女性漫画誌が出てきてからは対象年齢が細分化され、現在はなかよし・ちゃおと同じ「幼年漫画」です。でも気質的には昔と変わっていないなと思うことがあります。「セカイの果て」もやたらに感情を煽るサスペンスでしたし、これからも同じような「気持ちの暗くなる漫画」が発生するんでしょう(不思議なことにレディース誌でこういう漫画はあまりなかったりするんですよね。コンビニで売っている系ならいざしらず)。
だから私は、りぼんという雑誌が信用できないし、買えないのです。この連載はおもしろいとかおもしろくない以前に読者である子どもをもてあそんでいる。
少し考えて作品を作ってほしい。
結局この漫画もありえない怪物との戦いを描いただけであり、いじめやハブリとどう戦うかという実践的なことはなにも示してこなかった。
ちゃおの「いじめ」シリーズもいじめシーンばっかり詳細に書き尽くし解決となるとふわっとしてしまうのですが、必ず31Pで終わります。いじめっ子が報いを受けて(いじめ返されるパターンだけではない)二度といじめはしないと誓う話もある。そして、次のページにはどうやって乗り越えるか特集ページがあり、相談窓口も紹介してあります。
全然マシなのです。
いじめやクラスメイトとの軋轢に悩んでいて、ついこの漫画に手を出してしまいおちこんでしまった人へ伝えたい。
いじめ漫画は、まだ未開拓なので読まない方がいい。そして、
●まず一人で戦わないこと。先生や親など、大人に相談すること。
●そこで「あなたのせい」と言われてもしょげず、ほかの大人を探すこと。
●調べると相談できる場所はいくらでもある。まずそういうところを逃げ場にして逃げてしまうのが一番。
●趣味を見つけること。どんなに下手でも、下手といわれてもやっちゃうこと。
●それから、学校以外に活動できる場所を見つけてしまうこと。
あとは、友達というものに惑わされないこと。
小中高で仲良くしていた友達が大人になって続いている人は少ないです。友達が多くても人生が豊かになるとは言い切れないし、クラス全員と仲良くなるのは無理です。先生がいう「みんななかよく」は嘘です。先生も職員室で大バトルしてます。
しかしこれを描く漫画は存在しないんだよなあ…どうしても一人で戦わせようとする。複数になると周りから「卑怯」と言われたりね。
少年漫画のバトルものとは違うのですから、いい加減にしてほしい。

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追記:この漫画は奈菜の成長物語だったんだ、と考える方に。
この漫画一冊に、奈菜の成長とほぼ同じことが書いてあります。
自信がなくて、人を思うことでつまづいたり空回ってしまう主人公がどうやって現実と折り合いをつけていくかが丁寧に書かれています。
読むにあたってリスクはないし、わかりやすいし、一冊で済みます。是非読んでください。
ちゃおが売れている理由はここにあります。