「まこ お前は誰の気持ちを大事にしたい?」

 

 

中卒労働者(ワーカー)から始める高校生活12巻
佐々木ミノル・ニチブンコミックス
(コミックヘヴン掲載)


★あらすじ★
片桐真実(まこと)、18歳、中卒。父が犯罪者、母は事故死。妹の学費を稼ぐために学校を諦め工場で働いている。
しかし現場で「中卒」をバカにされた真実は妹と一緒に「通信制」の高校へ入ることに。
76歳の老人、シングルマザー、玉石混淆の同級生の中、真実はお嬢様の莉央と出会い、「壮絶な事件」を乗り越えてつきあうことに。

 

真実の父と、真実と、莉央が出会ってしまった。

莉央は父の事を知っても「それで嫌うわけがない」と泣き出してしまう。

一方で真彩は「お父さんに会いたい」とまで言い出し、真実は深く深く心を閉ざしてしまう…

 

通信制を卒業した作者が紡ぎ出す、心にぐいぐい絡み付く青春ストーリー。


☆☆☆

ファンタジーより「無理ゲー」な境遇にいる主人公の、マジな格差恋愛モノです。
毎回コミックスを楽しみにしてますが、雑誌が隔月でもどかしい‥書店で見つけるのも難しい‥

今回、単行本のラストに不思議なことがかいてあったんですがなんだこれスピンオフって。

この漫画のスピンオフを別の漫画家がかく、ということでしょうか。

そもそも佐々木さん自体が青エクのスピンオフ描いてるのに…

主人公は中卒です。母を亡くし父は犯罪者、親戚に住み処は与えられるも同居は拒まれ、負けるものかと工場で働いてきた。
自己評価が大変に低く、卑屈で手も出やすかった。
しかし妹と一緒に通信制高校へ通いはじめ、少しずつ変わってきています。
お嬢様の莉央と付き合うことになり幸せリア充ヒャッハーか‥、しかし彼の「境遇」は学校の誰にも明かしていません。

 

真実の父親が出所し、莉央が働くファミレスに配送業者としてやってきてしまいます。

何度か会話をした莉央、それを知った真実は荒れてしまいます。

そして出所したのを知った真彩は「会いたい」。

会ったらとんでもないことになると思い込む真実は心が白黒になったまま、元に戻れない。

動けない莉央は、事情をしっている中島あかりに助けられ、思わず泣き出してしまいます。

あかりも、今の状態はまずいと察して莉央に「なんでもいいからそばにいて(一人にすると死ぬ可能性がある)」と助言。

 

一方真実は仕事にも身が入らなくなり、社長に怒鳴られます。

「暗い想像は暗い現実を呼ぶんだ」

今までは自分だけが抱え込めばよかった。

でも今は、莉央が、真彩がいる。その幸せを知ってしまった。

周りに迷惑かけることはできない。

でも、そういう気持ちが逆に迷惑をかけると社長は教えてくれます。

この人、本当にいい人ですよね。父親の事も世話していたと思われますが…

でも一方で「俺なら父親に会わせないね」といった上で真実に選択をゆだねるのです。

真実は会うことを決めます。

 

さて今回表紙は真彩と一条と五十嵐です。この本の半分くらい、真彩の三角関係が描かれています。

真彩は真実と違い抱え込まず明るく生きていますが、父親についてはいろいろ思うことがある。

ふとしたきっかけで一条に父が犯罪者だということを打ち明けるのですが、

一条も「俺の父親はクズだったから、一生懸命勉強した。俺はあいつと違う、だからお前と父親は関係ない」と言ってくれます。

理解してくれた!と大喜びの真彩、五十嵐にも打ち明けるのですが

「一条くんに話したらわかってもらえた」というその一言で

五十嵐はとんでもないことを真彩に言ってしまうのです。

これは…今まで天真爛漫イノセンスに生きてきた真彩の心に灰色のしみができた瞬間でした。

五十嵐どうなっちゃうんだろう。五十嵐が荒れると、松井さんにも影響しそうなんですよね。

 

そして若葉も真実を受け止めようとして混乱し、「自分がでていいわけがない」と立ちすくんでいますし、

父親との再会をきっかけに、校内の人間関係がガラリと変わりそうです。

しかし、次の展開はおそらく、父と母の過去話になりそうですが…これもまた、しんどいだろうなあ…

 

 

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