ちゃおの漫画が読めるサイト「ちゃおコミ」が始まり、
突然「笑顔の世界」というホラー漫画がTwitterでバズってしまいました。
【閲覧注意】子ども向け漫画雑誌『ちゃお』web版に掲載された読み切り「笑顔の世界」が大人でも怖すぎる
私としてはこのサイトができたことで、大人でもちゃおの漫画を読んでくれる!楽しんでくれる!と期待していたんですが、
ラインナップからしてホラーばかりだったので心配はしてました。
やはり、Twitterを使う大人は強烈な作品に食いついてしまう…
キラキラの世界はまぶしくていけませんか?
私は全くホラーを好まない人間なんで、ちゃお本誌にたまに現れるショコラの魔法とブラックアリスは歓迎してません(普通の作品が読みたいので…)。
ただ、ホラーの魅力はわかります。少女漫画はだいたいハッピーエンドで予定調和ですから、主人公すら死にかねないホラーは「読んでて予想がつかない」という面白さがあります。
でもちゃお編集部はわざわざ「ちゃおホラー増刊」というものを作ってホラーが好きな子のために場所を用意しているので本誌にホラーは入ってほしくないんです(このバズりに乗って増刊が月刊化すればそれはそれでいいと思います)。
私は、ちゃおの漫画というのは
私が勝手に定義付けますと、「普通の世界のちょっとした心の動きがみられる世界」だと思っています
もちろん魔法やアイドル・モデルのお話もあるんですけど
子供が日常でちょっと引っ掛かりを感じたことやちょっとうれしかったことなどの思い出を再現している、そんな気がしています
ホラーについては教訓めいた話や理不尽系などありますが門外漢なので、私が好きな漫画を勝手に紹介しますね
沢渡さんを攻略する方法
森田ゆきさんは現在、ちゃおを牽引するラブコメ作家です。
なんでもないゆるゆるとした日常のなかで、ときどき深いところを突いてくる。
二人の幼なじみに囲まれた沢渡さん、「他の関係なんかいらないや~」と三人でいることに固執しているのですが、突然全然知らない男の子に告白されて外の世界に連れ出されるというお話。
幼い沢渡さんの成長譚なのですが、三回連載のたった96ページでまとまっています。
沢渡さんは中学生ですが、高校生になっても大人になってもべたべたと関係を引きずろうとする人間がいて、それを許す漫画もけっこうあるので、ちゃおでこういうテーマをだしてくるのが驚きでした。
1/2にぶんのいち
これも森田さん。
小学生のときはトロくていじられていた実乃里、中学で引っ越しし一念発起してキャラを変え、カースト上位のグループに入って頑張っている。ところがある日「みのりん」という人物がクラスに現れた。みのりんは実乃里そっくり、しかもドジでトロい。みのりんは実乃里が捨てた自分自身だったのだ。
でも彼女は友達や好きな男子に気に入られる。
「私はそんなにがんばらなくても普通に溶け込めたんじゃないのかな…?」
ゲド戦記などに現れる「影」の問題をちゃおの漫画に落とし込みながら、しかし影=みのりんと別に対峙するわけでもなくゆるゆると話はまとまっていきます。
森田さんは話を動かすにあたり変に事を荒立てない部分があり、いじめなどの描写をしません。というか起こりません。
日常ってこんなもんだよなあって思わせてくれます。
夜からはじまる私たち
14歳でデビューしたときわ藍さんの初連載作です。
ちゃおコミでも読めますね
進学校でついて行けず不登校になってしまった主人公が
定時制に転校してダンスと出会う話。
今の定時制は年齢はもちろん、ルーツも様々な生徒が通っている。定時制漫画は青年誌でもありますが、こんな状況は描かれたことがありません。
ダンスにはまって輝いていく主人公。全日制のダンス部に目を付けられ、あからさまにいじめられますが…
ときわさんがすごいのは若いのに「泥臭い努力」を嫌わずあえて選択して描いているところです。
今の少女漫画(スポ根を嫌う傾向がある)では珍しい。
未だに恋愛の漫画を読んでない気がするけど増刊ではあるのかな?
世界の果ての、真ん中で。
ベテラン作家やぶうち先生の珠玉の短編連作です。
転勤族の主人公はすでに学校生活を諦めていて、変なグループでいいように使いまわされたりしていたんですが、
クラスの男子に「それでいいのか」といわれいろいろと考えだします。
この男の子頭がよすぎて絶対に実在しないよなと思いつつも
主人公が忙しい親に言いたいことも言えず我慢して甘えないでいることや、いじめてくる女子が主人公に対し劣等感をもっていることが少しずつ浮き彫りになっていきます。
「クラス」という狭い世界で中学生という小さい存在がどうやって生きていくか、その対処法も具体的だと思っています。
濁して雰囲気でながす漫画も多いですから、明快で心に刺さりやすい。
おやすみメモリーズ
もう漫画家を引退されている笹木一二三先生の作品。
幼なじみで好きだった男子が突然彼女を連れてきた。
主人公とはまったく逆の女の子で、自分の存在を全否定された気がした。
ショックで立ち直れない主人公だったが、知鹿太郎というへんな男子に「石部」に誘われる。シーグラスを集める部活。
その男子の不思議な価値観に心を開きつつも、
幼なじみの彼女が「主人公と幼なじみがおそろいで持ってたキーホルダー」を買ってきて主人公に見せつけてきた。
我慢していた主人公の感情が爆発し、キーホルダーをぶっ壊す。
そりゃそうだろうと思いつつも、「さてここから主人公はどうするんだ」とおもいますよね。
ここを解決する「8P」が絶妙なのです。
謝るまでの心の動きをいちいちくどくど書いたり
恥ずかしいからと逡巡したりなどしないのです。
三話96pですからそんなとこにページを割けない事情もありつつ
「上手いな」と思ったものです
その後知鹿太郎にも「我慢している感情」というものがあって、
主人公は彼を見守るのですが…面白いのはこの二人が恋愛関係にならなかったことですかね。
この作家さんの存在は「りぼんでいう谷川史子」だと説明しておきます。
他にも、展開は派手ですが
会長様とひよこちゃん
男子校の危機を救ってほしい、と祖父に命じられた主人公がたった一人で乗り込んだ学校、生徒会の面々とわちゃわちゃ楽しく過ごす話。
この漫画、いや作家さんの特徴は「主人公の表情が豊か」につきます。
笑顔にもいろんなパターンがあるし、主人公が笑うだけでこちらも心がぱっと明るくなる。
ただそれだけでも十分だなと思うし
この漫画だと相手の生徒会長のキャラクターがいいですね
今日からパパは神様です。
小学生の主人公は母子家庭だったが、ママが交通事故で死んでしまう。天涯孤独の身になった主人公、だがその前に神様が降りてきた!
天国で主人公のママに一目ぼれし求婚したものの、ママは置いてきてしまった娘が気になってしょうがない。「それなら俺がパパになってやるぜ!」と意気込んでやってきた神だったが、やることなすこと神なのでパワーが強い。
こういう設定はありがちと思いきや、パワーは制限されているパターンが多いですよね。ところがこの漫画はパワーフルスロットル。
力がオーバースペックすぎて笑っちゃうし、神様はホストかよってくらい外見がチャラい。
それでも孤独だった主人公が少しずつ心を開いて新しい家族としてやっていく光景が面白いです。
適当に上げてきましたが、結構前の作品があるにもかかわらず、
ちゃおコミックスはどれも「手に入る」状況です。
読者が現在の作品を気に入ってから過去作を探していくので
何度も重版がかかると言われています。
それだけの「ちゃおブランド」というものが確立されていて
20代以下の女性には少女漫画=ちゃおと胸に刻まれているのですが、これがなかなか知られていない。
今回のホラーバズり事件によってちゃおのことが知られる機会にはなったけど、「ネタ」として消費されたくないんですよね。
ちゃおは作家が切磋琢磨し連載を勝ち取るのも厳しい世界です。
ホラーもだんだんと鋭いものになっているなあ、と本誌付録のホラーを見て感じましたけど、それはそれで並行して存在してほしいと願う一ファンのブログでした。

