さて、

「自立支援できた」と

「生活の質が上がった」は、

いったい何を指してそう言うのか。


両者は同じなのか、

それとも違うのか。


みなさんはどう思いますか。

アンケートの結果では

こうなりました。



前回のことを思い出してもらうために

どんなアンケートだったかというと、

人間を構成する3要素として

「身体」・「精神」・「社会」に分類して

どのカテゴリに偏りがあるか、

ということでした。


その結果は。







ごらんのとおり、「社会」に関することを

挙げている人が多い結果になりました。




「自立支援」では、「身体」のことを

挙げている人が多い結果でしたよね。


とくに介護職員さんは「ADL」に関することが

多く挙げられていました。


しかし、「生活の質」となると、

「社会性」のことを挙げる人が

多くなったわけです。


ちなみに、ケアマネと介護職員と分けてみると


介護職員が考える「生活の質」

ケアマネが考える「生活の質」



やっぱり介護職員もケアマネも

どちらも「社会」面を挙げる人が

多かったという結果になりました。



さて、前回の

「自立ができた」というグラフと

「生活の質が上がった」というグラフを

ひとつにまとめてみますと、

下のような結果に。


四角の形があきらかに違いますね。




これだけ偏りが見られると、

「自立支援」と「生活の質」は

同じ意味を持つのかと思いましたが

そうではなさそうだ、ということが分かります。


「生活の質が上がる」と思えるには

単に「身体面」が整う、向上する、

ということではなく、

「社会性が保たれる」「社会参加が可能になる」

といった条件が必要となってくるということです。


「人間は一人で生きているわけではない」

「自分以外の誰かとの関係が重要である」

「ひとりぼっちとは人間にとって耐えられないものである」

…とまで言って良いものかどうか分かりませんが

生活の質を上げたいと思ったら、

より社会的な側面が良好でなければならない

ということは明らかになったのではないでしょうか。

「自立支援できた例」を自由記述で

あげてもらい、キーワードを

「身体」・「社会」・「精神」の

3つのカテゴリに分けました。


その結果がこちらです。




「身体面」をあげたケースが56%。

「食事が自分で食べられる」

「車イスから歩行器に変わった」

というようなケースですね。


この身体面について書かれたものが

一番多かったです。


ついで「社会面」。20%。

「畑ができるようになった」とか、

「行動範囲が広がった」とか、

社会性をあげたケースです。


そして「精神面」をあげたのが17%。

「意欲が出た」「表情が明るくなった」

「BPSDが消失した」というようなケースです。


ということで、「自立支援」という言葉には

「身体面」がいちばん注目される、

という結果になりました。




これをもう少し詳しく見てみると、






この2つのグラフのうち、

上が介護職員の回答、

下がケアマネジャーの回答です。


四角の形が明らかに違いますよね。


介護職員のほうが

より「身体面」のことを

あげていることが分かりました。

いっぽう、ケアマネジャーは

「社会面」・「精神面」の割合が

多い結果になりました。




さらに「身体面」の内訳を見ると



こうなります。


介護職員はおもに「ADL」の項目を

より多くあげました。

いっぽうのケアマネジャーは

「健康」の項目を多く上げています。

介護職員は「健康」の項目はゼロ。




これはどっちが悪いだのどうだの

という話ではなく、仕事がら見る視点が

違うんだなあというお話しです。




このグラフを覚えておいてください。

次回からのお話しはもっと面白くなりますよ^^

ケアマネジメントが目指す目標として

「自立支援」と「生活の質の向上」を

挙げました。


この2つの言葉、

同じ意味をあらわしているようで

実はそうじゃないんじゃないか、

という思いを持っていました。


そこで、今回のアンケートで

「『自立支援』できた、と感じたこと」

「『生活の質の向上』ができた、と感じたこと」

という2つの問いを投げかけてみたところ…。




アンケートを集約するときに

「自立支援できた」と感じたキーワード

というのをまとめてみましたよね。


16個のキーワードだったわけですが、

これをさらにこういう感じでまとめてみたんです。

人間の構成要素に。



「人間の構成要素って、なんだい?」

というご質問が聞こえてきそうですが、

私は人間ってこう考えています。


体がある(身体)

心を持っている(精神)

社会的な生き物である(社会)

「身体・精神・社会」的な存在である

ということです。




「人間は「身体・社会・精神」の統合体である」

(竹内孝仁教授『認知症のケア』より)


「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び

社会的福祉の状態であり、

単に疾病又は病弱の存在しない

ことではない」

(WHO「健康の定義」)




こういったことから、

16個のキーワードを

「身体」・「精神」・「社会」に

分類してみようと試みたわけです。




つまり、

①ADL(日常生活動作;歩行、排泄など)

②基本動作(寝返り、起き上がりなど)

③健康

④認知機能(中核症状)


①~④は「身体」に関すること


⑤IADL(手段的日常生活動作;買い物、服薬管理など)

⑥趣味・仕事

⑦生活範囲の拡大

⑧交流

⑨役割


⑤~⑨は「社会」に関すること


⑩意欲

⑪表情の変化

⑫BPSD(周辺症状)

⑬自信


⑩~⑬は「精神」に関すること


のこり⑭~⑯は3つに分類できないと

思ったので「その他」とします。




こうしてまとめてみると、

「自立支援」と「生活の質」に

明らかな差が出てきました。