(※訪問時期が3月下旬の時間差更新です。)
富山県を代表する郷土料理として全国的に知られ、観光客のお土産や駅弁にも人気の名物『鱒寿司』。
鱒寿司は鱒(サクラマス)を用いて、発酵させずに酢で味付けした押し寿司(早ずし)の一種。
木製の曲物(わっぱ)の容器に笹を敷き詰め、塩漬け後に味付けした鱒の切り身と酢飯を詰め、笹で包みこみ重しをして作られます。
通常は曲物の上下に青竹を当ててゴムなどで締めた状態で流通していて、曲物の中に笹で包まれた状態のものが1つのものと、2つ重なっているもの(二段重ね)の2種類があるのが一般的。
サイズは基本大きいですが、1人でも気軽に食べられるミニサイズのものや棒状になったもの、プラスチック製の容器に入ったものなど、現在では様々な形態の商品が販売されています。
「富山鱒寿し協同組合」のホームページによるとその歴史は古く、平安初期の宮中諸式を書いた「延喜式」に、越中から鱒寿司を朝廷に献上した記録が残っているそうです。
ただこの時は現在のような早ずしではなく、米飯を発酵させたなれずしだったそうです。
そして江戸時代の享保2年(1717年)には、富山藩士吉村新八が第3代藩主前田利興に献上したところ大変お喜びになられ、さらに将軍徳川吉宗に鱒寿司(当時は鮎だった説も)を献上したところ「なかなかの絶品」と称賛を受けたことから、以後富山藩からの献上品になったそうです。
元来鱒寿司に使われる鱒は神通川に遡上してきたサクラマスを使用していたそうですが、現在では数が少なくなったこと、ニーズが増えたことから、主に外国産や北海道産の鱒類が中心に使われているとのこと。
Wikipediaによると富山市内を中心に40ほど鱒寿司の店舗・業者があるらしく、確かに富山市内を色々回っていると、鱒寿司専門店を何度も目にするので驚きます。
各店で味付けや鱒の質感、酢飯の食感などがそれぞれ異なるので、富山県民の方は各家庭で贔屓にしている味があるそうです。
私も富山を訪れた際はいつも何軒か巡ってお土産に鱒寿司を購入し、食べ比べをするのが定番の楽しみの一つ。
今回訪れたお店が、富山県で鱒寿司のお店を食べログで検索すると、1番高評価で出てきたお店『扇一(おぎいち) ます寿し本舗』。
なんなら富山県内の全ジャンルのお店で検索しても、これを書いている8月中旬現在で6位、★3.91という凄まじい人気。
創業年など、お店の詳細については調べても情報が出てこないのでわかりませんでしたが、こちらのお店の鱒寿司はとにかく鱒の身が肉厚でレアな食感なのが大きな特徴とのこと。
あまりの人気のため、予約のみで当日分の販売が無いということが頻繁にあるそうです。
駅やお土産店などで取り扱っていたり、気軽にネットで購入できるお店も多い中、こちらのお店はホームページも見当たらず、店舗でのみ購入できるようなので難易度高めですね。
以前2日前に予約の電話をしたら完売だったので、今回は半月くらい前に電話をしたら無事予約が取れました。
場所は小泉町電停からすぐ近く。
駐車場は店前に1~2台止めれそうな感じですが、結構歩道にはみ出すので注意です。
この日は土曜日、お店には予約時間かつ開店時間である朝8時に訪問。
なんと店の扉には「本日は売り切れました」の貼り紙、この日も予約分だけで完売したようです。
販売商品は1段が2段のみのようで、私が購入した1段は1700円(税込)でした。
サクッと会計を済ませてお店を出ると、道路には駐車スペースに止めれなかった車が何台も止まっていて、出るのに少し苦労しました。
朝一からすごい人気ですね。笑
消費期限は購入日の2日後だったので、今回は翌日の朝食にいただきました。
開けてみると曲物にぎっしり詰まっていたわけではなく、結構隙間が空いて少し小ぶりな印象、直径16cmくらいです。
鱒寿司は基本プラスチックのナイフが入っているので、それを使って切り分けることが出来ます。
食べ方を調べると、笹の葉を開いてから切る方法、笹の葉に包まれた状態から切る方法の両方が出てきましたが、私は包まれている状態で切る方が取りやすくて好きです。
裏返した蓋の上に乗せて切り分け、笹の葉を剥いてみると、確かに鱒の身はかなりレアという印象を受ける綺麗なオレンジ色。
しっとりモチモチした食感に熟成された旨味があって、酢飯はややずっしりと密度高めの食感。
鱒の旨味が活かされた塩気控えめの優しい味わいで、そのままでも美味しいですが、個人的には醤油をちょびっとつける方がより好みでした。
こちらのお店もかなり好みのタイプでしたが、個人的には今のところ「まつ川」、「魚づ鱒寿し店」が特にお気に入りです。
ご馳走様でした!
扇一 ます寿し本舗
076-491-0342
富山県富山市小泉町54-11
https://tabelog.com/toyama/A1601/A160101/16008103/