分子栄養学のススメ -7ページ目

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

体重が増加するのは、基本的に消費エネルギーよりも、摂取エネルギーが上回っていることが原因です。


摂取エネルギーが多いときや、特に脂肪の摂取が多い食生活では、ビタミンB2の必要量が多くなります。 

また、減量を目的とした体重調節には、体脂肪の燃焼効率を良くしなければなりませんが、ビタミンB2がそれをサポートします。

 

このように、ビタミンB2は“アブラ”と深い関わりがあるビタミンです。


●脂質代謝や発育に欠かせないビタミンB2
 

ビタミンB2は、リボフラビンとも呼ばれ、生体内ではFMN(フラビンモノヌクレオチド)やFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)になって補酵素として働き、三大栄養素のエネルギー代謝に関与しています。


ビタミンB2は、タンパク質の代謝を助け、細胞の作り変えを促進することから、発育ビタミンとも呼ばれますが、特に、脂質代謝には欠かせないビタミンです。

 

脂肪酸のβ(ベータ)酸化の過程にビタミンB2(FAD)が必須であり、TCA回路におけるエネルギー産生にも必要です。


そのため、ビタミンB2が不足すると、脂質がエネルギーとして十分に利用されず、蓄積されることになります。

●皮脂分泌の異常とビタミンB2
 

ビタミンB2には、美容ビタミンという呼び名もあります。

ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜に炎症が起き、顔や頭皮、耳たぶやその周辺に皮脂分泌の異常と痒みを生じる「脂漏性皮膚炎」や、赤く腫れる「口唇炎」「舌炎」などの原因になります。


これは、ビタミンB2が足りないと、脂肪酸の利用がスムーズにいかないため、皮膚からの排出が起こるためと考えられています。

また、若い年代に多いニキビは、皮脂の分泌が高まることが一因ですが、その対策としてビタミンB2が役立ちます。

 

●過酸化脂質とビタミンB2
 

ビタミンB2は、過酸化抑制という点でも、脂質との関わりがあります。
細胞膜や血中での過酸化脂質の生成は、生活習慣病や老化の促進役になることが知られています。
過酸化脂質が生じた時、その処理に働くのがセレン(必須ミネラル)酵素のグルタチオンペルオキシダーゼです。 

ビタミンB2が足りないと、グルタチオンペルオキシダーゼが弱体化し、体内の過酸化脂質量が増加します。

 

●栄養体策は複合的に
 

ビタミンB2と他のビタミンB群は、食品中に共存することが多いので、欠乏症も同時に現れることが多いとされています。

通常、ビタミンB2単独の欠乏症は少ないので、脂漏性皮膚炎や口角炎などの症状も、他のビタミンやタンパク質と共に考えなければなりませんが、特に、粘膜の異常にはビタミンB2不足が深く関わっています。 


粘膜を構成する上皮細胞は、新旧交代が盛んです。

ビタミンB2が不足している状況では、細胞の分裂・増殖・分化が正常に進行しないため、粘膜の変性や萎縮が起こります。 

風邪を引き易かったり、消化機能が低かったりなど、粘膜の弱い人は、良質タンパクやビタミンAと共に、ビタミンB2も多く摂取する必要があります。


また、ビタミンB6は、タンパク質を代謝するために不可欠なビタミンであることから、ビタミンB2と一緒に摂ることで、肌を健康に保つ働きがアップします。

ビタミンCは、ビタミンB2の成長促進作用をサポートする他、脂質代謝の効率を上げてエネルギーを生み出し易くします。

 

 

<参考書籍>

 

 

 

 

 

 

炎症とは・・・

風邪のひきはじめには、鼻が詰まったり、喉が痛かったりします。そんな時、大きく口を開いて喉の奥をのぞくと、赤くはれていて、熱をもっていたり、痛んだり、このような症状があれば、炎症が起きていると言われます。
目には見えませんが、身体の中でも炎症が起こります。
胃や腸の粘膜にも、肝臓や腎臓の組織にも、血管壁にも、脳の中にも身体のあらゆる場所に炎症が起こり得ることがそれぞれの組織や器官の名前の下に『炎』という字の付く病気のあることでわかると思います。
組織や器官が赤くなり、熱を発するという炎症が病気の姿として認識されていますが、病理学上では何らかの原因で細胞が障害を受けた時、生体が備えている防御機構や修復機構を速やかに動員して正常な状態に戻そうとして働いている姿と考えられます。
炎症の原因となるのはこする、たたくなどの物理的刺激や洗剤、水や大気中の化学物質、薬剤、病原微生物の持つタンパク質などの化学的刺激などがあります。

炎症の始まり


異変を生じた組織には酵素やブドウ糖などを大量に届けようと毛細血管を広げ、より多くの血液が流れるように働きます。毛細血管の壁は内皮細胞が一列に並んだつくりになっています。細胞と細胞の間には小さな隙間が空いています。

                            イラスト:看護roo!HPより
この隙間からは通常でも水分やミネラル類が出入りしていますが、異変が生じるなどの非常事態では隙間は大きく開き、タンパク質のような大きな分子も漏れだしていきます。この隙間を大きく広げる指令はヒスタミンやブラジキニンなどの起炎物質によって出され、その作用をさらに強めるのが局所ホルモンであるプロスタグランジンの仲間です。
血中には血液を固まらせるフィブリノーゲンというタンパク質がありますが、血管の中ではその働きは封じられていて、血管の外に出た時、働き始めます。
フィブリノーゲンは炎症の場では、傷ついた組織の周辺にフィブリンという繊維状タンパクで網をかけ包みます。
炎症の場で活躍する食細胞に好中球とマクロファージがあります。

その名の通り、異物を食べる機能を持つ細胞です。好中球は細菌やウイルス、真菌などを、マクロファージは相手を選ばず、粒子状の異物であれば何でも呑みこんでしまいます。
好中球はリゾチームや、ペルオキシダーゼ、加水分解酵素などの酵素や活性酸素を利用して病原体を殺します。


 

炎症の慢性化

侵入してくる病原体の数が多かったり、食細胞に抵抗するタイプだったりする時には次なる手段として、抗体を作るB細胞やキラーT細胞などの免疫担当細胞の出番となります。
通常、病原体が侵入してきても食細胞や免疫担当細胞によって炎症は取り除かれ、壊れた細胞は新しい細胞に置き換わり、修復されます。
しかし、食細胞や免疫細胞が弱体であるとき炎症は慢性化していくことになります。
免疫反応は時にアレルギー反応となって新たな炎症を招くこともあります。
慢性化した炎症が問題なのは絶えず、その場所で活性酸素が生じていることにあります。

 

炎症の対策

活性酸素とは、名前のとおり酸素が活性を持ったものをいい、除去できないでいると正常な細胞に傷をつけてしまい正常な働きを失わせてしまう物質です。
ヒトは、呼吸により酸素を獲得しますが、このうちの代謝されていく過程で2%程度が活性酸素になるといわれています。
炎症部位では活性酸素という物質が多量に発生しており、これにより細胞が破壊され炎症の慢性化が起こります。また、ストレス、過度な運動、タバコ、疾患(糖尿病やガンなど)、薬の服用(特に抗ガン剤)の際に発生量が多くなります。
そこで、活性酸素を除去するために抗酸化成分であるビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、セレン、コエンザイムQ10、イチョウ緑葉エキスなどを摂取していくことが大切です。


コロナウイルス感染症罹患後のコロナ後遺症の原因も炎症の慢性化が原因ではないかと言われています。身体の機能を正常に近づけるために必要な良質タンパク、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンE、ミネラルなどの栄養素に加えて、炎症対策も取り入れてみてはいかがでしょうか。
 

 

 

 

 

歳を重ねるにつれ、身体の生理機能は低下していきます。


身体の器官を構成している細胞が老化し、細胞数の減少や細胞の働きが悪くなることによって、機能低下は全身(呼吸機能、循環機能、消化機能、排泄機能、運動機能などの低下)に及びます。


加齢による身体機能低下を予防するためには、筋肉量や筋力の維持が不可欠です。


また、糖尿病・高血圧・脂質異常症・虚血性心疾患などの発症リスクを増大させる重要な要因としても、筋肉量の減少があげられています。


通常、私たちが食事で摂る糖質の約7〜8割は筋肉で蓄え、エネルギーとして消費されています。

しかし、筋肉量が少なくなると糖質は肝臓へ運ばれ、内臓脂肪が蓄積して生活習慣病を発症しやすくなります。


さらに、筋肉が減ると免疫機能が低下し、肺炎などにかかる人が多いことも報告されています。

 

●筋肉の老化は下半身から

 

約4,000人の日本人を対象に、年齢による筋肉量の変化を調べた研究によると、筋肉量の減少は25〜30歳頃から始まり、年齢を重ねるにつれて進行していきます。


特に大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の筋肉量が一番落ちやすいと報告されています。


この筋肉は、足を前に出した時に身体を支える役割をしているため、この部分が衰えることで、転倒の原因にもつながります。

 

老年医学会「日本人筋肉量の加齢による特徴」をもとに作成

https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/1/47_1_52/_pdf/-char/ja

 

 

何もしなければ、筋肉は日々減少する・・・

ただし、筋肉は何歳からでも増やすことができます!!

80歳、90歳でも手遅れということはありません。
平均年齢80歳を超える被験者を用いた実験でも筋肉が肥大したという報告が挙げられています。
 

●下半身を鍛える「貯筋習慣」

普段からウォーキングや散歩を心がけている方も多いと思いますが、歩行動作のみでは、下半身の筋力を維持・向上させるには十分ではないと言われています。


自宅でも手軽に足腰を強化できる運動として、バランスボール運動、自転車こぎ、スクワット、かかとの上下運動などがおすすめです。


特にスクワットは下半身の筋肉(腰、太もも、お尻、ふくらはぎ)を総動員するため、基礎代謝量が上がり、体力の低下を防ぎます。
また、スクワットの姿勢を一定時間保つことで、アイソメトリックトレーニングに繋がります。


※アイソメトリックについては、三石巌著「医学常識はウソだらけ」をご覧ください。
 

 
 
 

筋肉を効率よく増やすためには、

運動とともに栄養が重要です!!

筋肉はタンパク質でできており、合成と分解が常に繰り返されていますので、筋肉の合成を促す対策は欠かせません。
 

●筋肉の合成を促す栄養素
良質タンパク、ビタミンA、B群、C、D、E、ミネラル(カルシウム・マグネシウム・亜鉛など)

 

・良質タンパク
筋肉の主原料である良質タンパク(不可欠アミノ酸)の摂取が必要不可欠です。
タンパク質の摂取不足は、骨格筋の合成低下をまねき、骨格筋の筋肉量減少の要因となります。
タンパク質の合成能の低下は、加齢によって生じやすくなります。
高齢女性24,417名を3年間追跡した研究では、タンパク質の摂取量が多いほどフレイルの発症リスクが低かったことが報告されています。

※フレイルとは・・・加齢によって心身が衰え、社会とのつながりが減少した状態のこと。

 
◎タンパク質の働きについては、こちらをご覧ください。
カラダとタンパク質 | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)
 
・ビタミンA
細胞分裂を調節していることから細胞合成に重要な栄養素です。
成長ホルモンの合成にも関与しています。

・ビタミンB群
糖質、脂質、タンパク質のエネルギー代謝過程に欠かせない栄養素です。
ビタミンB群はどれか一つだけでは効果を発揮しにくく、お互い協力しあいながら働きます。

・ビタミンC
ビタミンCが不足すると、骨格筋の萎縮や身体能力の低下をもたらすことが明らかになっています。

◎ビタミンCについては、こちらをご覧ください。
どれくらい摂取すればいいの?個体差が大きいビタミンC | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)

・ビタミンD
筋肉組織にレセプターを持っていることから、筋肉合成に重要な働きを担っており、筋肉増強ビタミンなどといわれています。
血中ビタミンD濃度が低いと、フレイルになるリスクが高まると言われています。
ビタミンD低値の高齢者を対象とした介入試験では、転倒、筋力増強にビタミンDによる効果が認められています。

・ビタミンE
高い抗酸化作用を発揮し、筋肉組織の機能維持を担っています。
動物実験等でビタミンEを欠乏させると栄養性の筋ジストロフィーがみられることからも重要な役割を担っていることが分かります。

・カルシウム・マグネシウム
筋肉の収縮拡張の働きをサポートし、正常な動きを担っています。

・亜鉛
骨、筋肉、肝臓、腎臓など全身に分布しており、細胞が新しく作り替えられるときに必要不可欠で、タンパク質合成にも欠かせません。
筋肉を合成するホルモン(テストステロン、成長ホルモン、インスリン)の分泌にも関与しています。

◎亜鉛についてはこちらをご覧ください。
新型コロナウイルスの味覚障害で注目される” 亜鉛の重要な役割” | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)
 

今日から適度な運動と栄養で筋力低下を防ぎましょう!!

<参考図書>