体の中で起こっている炎症とは・・・ | 分子栄養学のススメ

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炎症とは・・・

風邪のひきはじめには、鼻が詰まったり、喉が痛かったりします。そんな時、大きく口を開いて喉の奥をのぞくと、赤くはれていて、熱をもっていたり、痛んだり、このような症状があれば、炎症が起きていると言われます。
目には見えませんが、身体の中でも炎症が起こります。
胃や腸の粘膜にも、肝臓や腎臓の組織にも、血管壁にも、脳の中にも身体のあらゆる場所に炎症が起こり得ることがそれぞれの組織や器官の名前の下に『炎』という字の付く病気のあることでわかると思います。
組織や器官が赤くなり、熱を発するという炎症が病気の姿として認識されていますが、病理学上では何らかの原因で細胞が障害を受けた時、生体が備えている防御機構や修復機構を速やかに動員して正常な状態に戻そうとして働いている姿と考えられます。
炎症の原因となるのはこする、たたくなどの物理的刺激や洗剤、水や大気中の化学物質、薬剤、病原微生物の持つタンパク質などの化学的刺激などがあります。

炎症の始まり


異変を生じた組織には酵素やブドウ糖などを大量に届けようと毛細血管を広げ、より多くの血液が流れるように働きます。毛細血管の壁は内皮細胞が一列に並んだつくりになっています。細胞と細胞の間には小さな隙間が空いています。

                            イラスト:看護roo!HPより
この隙間からは通常でも水分やミネラル類が出入りしていますが、異変が生じるなどの非常事態では隙間は大きく開き、タンパク質のような大きな分子も漏れだしていきます。この隙間を大きく広げる指令はヒスタミンやブラジキニンなどの起炎物質によって出され、その作用をさらに強めるのが局所ホルモンであるプロスタグランジンの仲間です。
血中には血液を固まらせるフィブリノーゲンというタンパク質がありますが、血管の中ではその働きは封じられていて、血管の外に出た時、働き始めます。
フィブリノーゲンは炎症の場では、傷ついた組織の周辺にフィブリンという繊維状タンパクで網をかけ包みます。
炎症の場で活躍する食細胞に好中球とマクロファージがあります。

その名の通り、異物を食べる機能を持つ細胞です。好中球は細菌やウイルス、真菌などを、マクロファージは相手を選ばず、粒子状の異物であれば何でも呑みこんでしまいます。
好中球はリゾチームや、ペルオキシダーゼ、加水分解酵素などの酵素や活性酸素を利用して病原体を殺します。


 

炎症の慢性化

侵入してくる病原体の数が多かったり、食細胞に抵抗するタイプだったりする時には次なる手段として、抗体を作るB細胞やキラーT細胞などの免疫担当細胞の出番となります。
通常、病原体が侵入してきても食細胞や免疫担当細胞によって炎症は取り除かれ、壊れた細胞は新しい細胞に置き換わり、修復されます。
しかし、食細胞や免疫細胞が弱体であるとき炎症は慢性化していくことになります。
免疫反応は時にアレルギー反応となって新たな炎症を招くこともあります。
慢性化した炎症が問題なのは絶えず、その場所で活性酸素が生じていることにあります。

 

炎症の対策

活性酸素とは、名前のとおり酸素が活性を持ったものをいい、除去できないでいると正常な細胞に傷をつけてしまい正常な働きを失わせてしまう物質です。
ヒトは、呼吸により酸素を獲得しますが、このうちの代謝されていく過程で2%程度が活性酸素になるといわれています。
炎症部位では活性酸素という物質が多量に発生しており、これにより細胞が破壊され炎症の慢性化が起こります。また、ストレス、過度な運動、タバコ、疾患(糖尿病やガンなど)、薬の服用(特に抗ガン剤)の際に発生量が多くなります。
そこで、活性酸素を除去するために抗酸化成分であるビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、セレン、コエンザイムQ10、イチョウ緑葉エキスなどを摂取していくことが大切です。


コロナウイルス感染症罹患後のコロナ後遺症の原因も炎症の慢性化が原因ではないかと言われています。身体の機能を正常に近づけるために必要な良質タンパク、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンE、ミネラルなどの栄養素に加えて、炎症対策も取り入れてみてはいかがでしょうか。