ビタミンB2と脂質との関わり | 分子栄養学のススメ

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

体重が増加するのは、基本的に消費エネルギーよりも、摂取エネルギーが上回っていることが原因です。


摂取エネルギーが多いときや、特に脂肪の摂取が多い食生活では、ビタミンB2の必要量が多くなります。 

また、減量を目的とした体重調節には、体脂肪の燃焼効率を良くしなければなりませんが、ビタミンB2がそれをサポートします。

 

このように、ビタミンB2は“アブラ”と深い関わりがあるビタミンです。


●脂質代謝や発育に欠かせないビタミンB2
 

ビタミンB2は、リボフラビンとも呼ばれ、生体内ではFMN(フラビンモノヌクレオチド)やFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)になって補酵素として働き、三大栄養素のエネルギー代謝に関与しています。


ビタミンB2は、タンパク質の代謝を助け、細胞の作り変えを促進することから、発育ビタミンとも呼ばれますが、特に、脂質代謝には欠かせないビタミンです。

 

脂肪酸のβ(ベータ)酸化の過程にビタミンB2(FAD)が必須であり、TCA回路におけるエネルギー産生にも必要です。


そのため、ビタミンB2が不足すると、脂質がエネルギーとして十分に利用されず、蓄積されることになります。

●皮脂分泌の異常とビタミンB2
 

ビタミンB2には、美容ビタミンという呼び名もあります。

ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜に炎症が起き、顔や頭皮、耳たぶやその周辺に皮脂分泌の異常と痒みを生じる「脂漏性皮膚炎」や、赤く腫れる「口唇炎」「舌炎」などの原因になります。


これは、ビタミンB2が足りないと、脂肪酸の利用がスムーズにいかないため、皮膚からの排出が起こるためと考えられています。

また、若い年代に多いニキビは、皮脂の分泌が高まることが一因ですが、その対策としてビタミンB2が役立ちます。

 

●過酸化脂質とビタミンB2
 

ビタミンB2は、過酸化抑制という点でも、脂質との関わりがあります。
細胞膜や血中での過酸化脂質の生成は、生活習慣病や老化の促進役になることが知られています。
過酸化脂質が生じた時、その処理に働くのがセレン(必須ミネラル)酵素のグルタチオンペルオキシダーゼです。 

ビタミンB2が足りないと、グルタチオンペルオキシダーゼが弱体化し、体内の過酸化脂質量が増加します。

 

●栄養体策は複合的に
 

ビタミンB2と他のビタミンB群は、食品中に共存することが多いので、欠乏症も同時に現れることが多いとされています。

通常、ビタミンB2単独の欠乏症は少ないので、脂漏性皮膚炎や口角炎などの症状も、他のビタミンやタンパク質と共に考えなければなりませんが、特に、粘膜の異常にはビタミンB2不足が深く関わっています。 


粘膜を構成する上皮細胞は、新旧交代が盛んです。

ビタミンB2が不足している状況では、細胞の分裂・増殖・分化が正常に進行しないため、粘膜の変性や萎縮が起こります。 

風邪を引き易かったり、消化機能が低かったりなど、粘膜の弱い人は、良質タンパクやビタミンAと共に、ビタミンB2も多く摂取する必要があります。


また、ビタミンB6は、タンパク質を代謝するために不可欠なビタミンであることから、ビタミンB2と一緒に摂ることで、肌を健康に保つ働きがアップします。

ビタミンCは、ビタミンB2の成長促進作用をサポートする他、脂質代謝の効率を上げてエネルギーを生み出し易くします。

 

 

<参考書籍>