厚生労働省より発表されている「日本人の食事摂取基準」ではビタミンCの推奨量として1日に100㎎(12歳以上の男女の場合)とされています。
しかし、分子栄養学ではもっと多くのビタミンCの摂取を勧めています。
ビタミンCは水溶性ビタミン(水に溶けやすく、油脂には溶けにくい性質のビタミン)のため、毎日摂取する必要があります。
ビタミンCを大量に摂取しても尿から捨てられてしまうから無駄ではないか?というご質問をたまに受けますが、私たちの身体はそう単純にはできていません。
尿から排出されるということは、吸収され、体内を回り、腎臓で尿として濾し取られたということなのです。
ビタミンCの吸収率
ビタミンCは1回で吸収できる量が決まっていると言われており、30~180mg経口摂取した際は、70~90%吸収されますが、1000mg以上5000mgまで摂取量を増量すると、吸収率は漸減し21%まで低下するといわれています。しかし、180mgで90%吸収できても162mgしか吸収できていないことになり、5000mg摂取して21%しか吸収できなかったとしても1050mgは摂取できていることになります。
吸収率は摂取量が増加するとともに減少しますが、トータルでの吸収量は、摂取量に比例することになります。
ビタミンCが体内で合成できるとすると・・・
ヒトは体内でビタミンCの合成をすることはできませんが、モルモットやインド産のコウモリなどの例外を除けば、サルとヒト以外の動物はビタミンCの合成能力を持っています。
動物進化の過程でビタミンC合成酵素が失われたと考えられています。
ラットの肝臓が1日に合成するビタミンCの量を体重60㎏の成人の場合に換算すると1.7〜3.4g(1700〜3400㎎)となります。これだけのビタミンCを摂取していれば、ストレスのない状態であれば、ビタミンCの血中濃度は保たれますが、ストレスがある場合には必要量は跳ね上がります。
このように、ストレス社会で生きている私たちにとっては㎎単位のビタミンCではなく、g単位のビタミンCが必要であると考えられます。
必要量には個体差がある
私たちの身体は全員同じではありません。
両親から受け継いだ遺伝子を基に動いています。
また、人それぞれ状況も違います。
ストレスが多くある人もいれば、ほとんど感じていない人もいます。
そのため、ビタミンの必要量にも個体差が出てきます。
水溶性ビタミンの必要量は1〜100、脂溶性ビタミンの必要量は1〜10という個体差があると言われています。
ストレスを感じると副腎から抗ストレスホルモンであるコルチゾン・コルチゾールが分泌されます。このコルチゾン・コルチゾールの合成にビタミンCが必要になり、ストレス時には大量消費が起こります。そのため、ストレスが多い人はそれだけ多くのビタミンCを摂取することが必要になります。
なお、抗ストレスホルモンの合成には良質タンパク、ビタミンC、ビタミンEが必要です。
ストレスについてはこちらのブログも参考にしてください。
コロナ鬱になる人、ならない人 | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)
合成品と天然品の違い
ビタミンCを合成できる動物の体内ではブドウ糖(D-グルコース)からビタミンCを合成していますが、植物は果糖(D-フルクトース)から合成しています。
また、合成品と言われるビタミンCは様々な合成方法がありますが、主にブドウ糖(トウモロコシデンプンなど)から微生物による発酵によって合成されています。
動物が合成するビタミンCも植物が合成するビタミンCも合成品と呼ばれるビタミンCもすべて同じビタミンC(L-アスコルビン酸)であり、体内での化学作用についても違いはありません。
ビタミンCはどれくらい摂取すればいい?
通常、ビタミンCの必要量は1日に2g〜10gと考えています。
それでは、自分にとってどれくらいが必要なのか?ということですが、ビタミンCには最大耐容量というものがあります。これは、経口でビタミンCを摂取した場合、下痢が起きない限界量のことを指します。
ビタミンCは天然の便秘薬と言われ、腸の蠕動運動を促す働きがあり、大量に摂取するとお腹が緩くなったり、下痢を起こします。
ビタミンCの摂取でお腹が緩くならない量を必要量と考えるとわかりやすいと思います。
ただし、この必要量は状況に応じて変化し、ストレスが多い時や風邪をひいたときなどは増えるため、体調の変化に応じてビタミンCの摂取量も変えていくことが大切です。
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参考
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』HP
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/16.html