- 永遠の0 (講談社文庫)/百田 尚樹
- ¥920
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若い世代に戦争を伝えようとした本。エンターテイメント的な要素があり、現代設定にすることで、堅苦しさを排除している。人物の心情が甘く、展開にご都合主義のようなものが見られるが、それはこの作品の本質ではなく、許容できる。だが、この作品を読了すれば、まず何より「格好良い」という感情が沸き上がってくる。それが極めて危険だ。
特攻隊とは、戦争とは、格好良く、潔いものなのか。戦争を知らない世代は、戦争を肯定的に捉えてしまうのではないか。戦時中の人物にスポットを当て、その個人のドラマがいくつか描かれているのだが、視野が狭く偏っている。紹介される人物がみな、「漢」なのだ。そうではなく、絶望をもたらされた人物こそ描くべきではないのか。
ドラマ「東京大空襲」を見習って欲しい。キャスティング面や極端な展開で若い人に寄りながらも、戦争の悲惨さをこれでもかというくらいに描いている。
「戦争」というテーマが、現代ではエンターテイメントを描く上での、ただのひとつのジャンルでしかなくなっている。その危険性が顕著に露呈した、象徴的な一冊。






