「旅人 ある物理学者の回想」湯川秀樹 | ※この現実はフィクションです。

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旅人―湯川秀樹自伝 (角川文庫)/湯川 秀樹
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 日本で初めてノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹の自伝。そこには多くの共感があり、失敗があった。

 中間子理論の提唱も、天才的な閃きがあったわけではない。一番大きかったのは、時代が進むにつれてより精密な実験結果が現れてきたからだ。湯川秀樹が気づかなくとも、いずれはフェルミあたりが気づいていただろう。

 発見までの軌跡を見ると、なるほど確かに中間子の発見はさほど難しいことではないように思える。閃きでも何でもなく、順接的に考えれば誰にでも分かりそうなことだ。もちろん、一般向けに書かれた本であるから、詳細は省略されているだろうし、さらには謙遜もあるだろう。

 学者だが、文章も巧い。一人の人間のドラマだと考えても、本書は十分に楽しむことができる。偉人、湯川秀樹も、私たちと変わらぬ悩みを抱えている。本書を読み返す度、自分も彼のように大成してやろうという気持ちになれる。