最近読んでよかった本 189 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「あなたのゼイ肉、落とします」柿谷美雨

中年の主婦、元華族の女子大生、30代のサラリーマン、小4の男子、太ってしまった彼らは、ひょんなことから「あなたのぜい肉落とします」の本を手にする。著者「大庭小萬里」はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。勇気を持って彼らは小萬里に会うのだが、小萬里の指導はどんなものか?そしてその成果は?身体のみならず「心のゼイ肉」も落としてくれるとの前評判は本当なのか?またしても、柿谷節炸裂です。

 

 

「最後の証人」柚月裕子
「佐方貞人」シリーズ第1作。検事を辞して弁護士に転身した「佐方貞人」のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。それにもかかわらず、佐方は弁護を引き受けた。佐方は法廷で若手敏腕検事「庄司真生」と対峙しながら事件の裏に隠された真相を手繰り寄せていく。やがて7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになり、事態は急展開する。とてもスリリングで、ページをめくる手が止まりません。ドラマ化されました。
 
「佐方貞人」シリーズは下記です。
1「最後の証人」:今回ご紹介
2「検事の本懐」:2023.8.6「最近読んでよかった本 170」でご紹介
3「検事の死命」:2023.3.6「最近読んでよかった本 160」でご紹介
4「検事の信義」:未紹介
 
 
「襲撃犯」安生正
碓氷峠で自衛隊の重装輪運搬車が襲撃され、プルトニウム燃料強奪と自衛官惨殺があっさり行われた。同時刻、飛騨山中で地震観測所へ向かう車が土石流に流された。その後も、外国人社長殺害、陸幕長襲撃、防衛医大病院爆破などが立て続けに起こる。犯人の正体と目的は何なのか? 自衛隊情報部の「溝口」と地震研究所の「八神」は、それぞれ事件に挑む。悔やまれるのは、似たような組織名が多々あり、登場人物が多いことから、誰がどの部署の誰かを把握するのが困難で、物語の面白さを半減しています。とても残念です。
 
 
「白鳥とコウモリ」東野圭吾
2017年、東京で一人の善良な弁護士「白石健介」が遺体で発見された。遺体や現場の状況から殺人事件と断定し、警察は捜査を進めることになる。 やがて「倉木達郎」という人物が容疑者として浮かび上り、ほどなく倉木は自分の犯行だと警察に自供した。倉木の自供内容は、「1984年愛知県で起きた容疑者死亡で処理された殺人事件の犯人は自分であり、死亡した容疑者は実は冤罪であった。 その家族への贖罪のため、自分の遺産をその家族へ相続するための相談がしたい」と白石弁護士に話を持ち掛けたところ、 白石弁護士から「遺産を渡しても贖罪にならない。自分が真犯人であることをその家族に真実を告白すべきだ」と追い詰められた。それに応じない自分にしびれを切らして、白石弁護士がその家族に真実を告げようとしたので、それを阻止するために殺害した、というものだった。この供述に違和感を抱いたのは、白石と倉木の子供「倉木和真」と「白石美令」だった。和真は弁護側に、美令は検察側に、自分たちが感じた疑問を伝えたが、弁護側も検察側も2人の話に耳を傾けようとはしなかった。自分たちの話に耳を傾けてくれないことに苛立ちを感じながらも過ごしていた和真と美令は、 事件現場でばったり出会う。本来なら敵対するはずの立場であるにも関わらず、お互いに協力して真相を突き止めるようになる。「容疑者xの献身」とどこか似たような雰囲気のある作品です。
 
 
2024.5.22「ヘブンメイカー」恒川光太郎
高校二年生の「鐘松孝平」は、交通事故で亡くなり、気がついた時には「死者の町」にいた。同じような境遇の3000人が暮らす町だ。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の「佐伯逸輝(いつき)」は、藤沢市の砂浜を歩いていたところ、奇妙な男に勧められクジを引くと、いつのまにか見知らぬ地に立ち、君は「スタープレイヤー」になったと言われる。佐伯は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡る。ファンタジー小説「スタープレイヤー」の続編。スタープレイヤーは全部で10個の願いが叶う。1個の願いに複数の願いを組み込める、しかもその願いは何でもありだ。平凡な人間がある日突然万能になったら、どうなるか。この設定だと、何でも違和感なくできてしまうから、想像力が勝負。前作に続き、とても面白く読めます。お勧めです。
 
「スタープレイヤー」2019.10.6「最近読んでよかった本 その78」でご紹介