最近読んでよかった本 その78 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

 

「スタープレイヤー」恒川光太郎

帰宅途中、怪しげな路上のくじ引きで一等賞を当てた「斉藤夕月(ゆづき)」は、10個の願いが叶えられる「スタープレイヤー」として周囲に何もない別の世界に飛ばされる。その願いとは、例えば街全体を作ってしまうこともできる壮大なスケールの願いも可能。死者を蘇らせる、あるいは、元の世界に戻ることも可能(ただし戻ってしまうとそれでスタープレイヤーが終わる)。夕月は、豪邸を建て、自らを絶世の美女に変え、過去の黒い歴史の真実を知る。そんな中、同じ「スタープレイヤー」である「マキオ」と出会う。マキオはスタープレイヤー歴20年以上。自ら作ったタワー村に住んで、現地民や外来民とも交わっていた。夕月とマキオは次第に行動範囲を広くしていくのだが、それとともに周囲の国家や民族間の争いに巻き込まれてしまうのだった。夕月は10個の願いをどう使うのか。手に汗握る冒険に、ページをめくるスピードが止まりません。異世界ファンタジーの本作品、本当に面白いです。今年読んだ本で上位3位に入る感動の秀作です。

 

 

「バリ3探偵圏内ちゃん 忌女板小町殺人事件」七尾与史

バリ3探偵圏内ちゃん第2弾。小説家志望男による身勝手な投稿が悩める忌女(きじょ=既婚女性)たちの掲示板「忌女板小町」で大炎上後、死体で発見される。引きこもり探偵「圏内ちゃん」こと緑子が捜査を開始する。一方、警察では3件の殺人事件が別々の部署で捜査されていた。どこをどう調べても何のつながりもない4人の殺人で、警察ではお手上げ状態のため、「圏内ちゃん」が解決に乗り出す。途中で挿入されている小学校のいじめ問題がどう関係するのか、謎は深まるばかりだが、最後は「圏内ちゃん」が綺麗に解決し、全ての話が見事に繋がる。超肉食女性刑事「小鞠(こまり)」とドS刑事「黒井マヤ」が新たな脇役として味を出しています。可愛らしい表紙とは裏腹に、スリル満点のサスペンスです。

 

 

「ラブ・ケミストリー」喜多喜久

喜多喜久のデビュー作で、第9回「このミステリーがすごい!」の優秀賞受賞作。東大農学部で有機合成化学を専攻する大学院生の藤村桂一郎は「どんな複雑な構造を有する化合物でもその合成経路が瞬時にひらめく」という特殊な能力を持っていた。この能力のおかげで有機化学者としての将来を嘱望されていたが、ある日研究室にやってきた秘書真下美綾に一目惚れし、その能力を失ってしまう。突如現れた自称「死神」のカロンから「真下と恋人になれば能力は戻る」と言われ、藤村は後輩の岩舘愛子や親友の東間の協力もあり奮闘を始めるのだが、、、恋愛初心者の藤村は、意外な展開にどう対処するのか?有機化学ラブコメミステリーです。