最近読んでよかった本 160 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「検事の死命」柚月裕子

佐方貞人シリーズ第3作は、佐方が検事時代の短編4話からなります。郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が手紙に託された老夫婦の心を救う「心を掬う」。獄死した佐方父の謎の核心が明かされる感涙必至の帰郷小説「業をおろす」。大物国会議員や地検トップまで敵に回して検事の矜持を貫く「死命を賭ける」。検察側と弁護側双方の絶対に負けられない裁判の火蓋が切られる「死命を決する」。「死命を賭ける」と「死命を決する」は、テレビドラマ化されました。

 

 

「冷たい檻」伊岡瞬

600ページの長編作品ですが、たった2日間の出来事が描かれています。北陸地方の小さな村「岩森村」で、駐在所の警官「北森益晴」が失踪したのだが、北森は公安に所属していたらしい。県警本部の調査官「樋口透吾」は、駐在所の後任「島崎智久」巡査部長と共に失踪の謎を追う。調べを進めるうちに明らかになる村の謎。元村長「赤石隆一郎」を取り巻く利権争い、揺籠から墓場までを謳い文句にできた医療福祉施設での疑惑、中国の製薬会社「星河」の暗躍、謎のブローカー「深見梗平」の狙いが交錯する。多人物の視点で描かれているので、飽きさせない工夫がなされています。散りばめられた伏線は最後に一気に回収されます。伊岡瞬にしては珍しいハードボイルドです。

 

 

「同姓同名」下村敦史

女児惨殺事件の犯人が捕まった。犯人は未成年だが残虐な事件を起こしたのだから実名を明かしてもいいだろうという世論の声が高まり、週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」。その瞬間から同姓同名の「大山正紀」たちの人生が狂い始める。10人の大山正紀が登場するが「○○の大山正紀」という形容詞がつくため、意外と戸惑わない。展開も引っ掛けも伏線回収もよくできていてお見事です。新しいミステリのカタチを描いたとても面白い作品です。ネットで暴走する正義は破壊力が半端ない凶器であることを感じる怖い作品です。

 

 

「よるのばけもの」住野よる

理由はわからないが、夜になると化け物に変身してしまう男子「安達」とクラスでいじめられている女子「矢野さつき」が、夜の中学校で偶然出会う。矢野が「夜休み」と呼ぶ深夜の時間帯に、化け物の姿をした安達とおとぼけキャラ矢野の密かな会話の中で、徐々に芽生える2人の感情。矢野をいじめることでクラスが団結している、おかしな現状。結末は如何に?住野よるさんらしい描写にホッコリします。

 

 

「プリンセス刑事」喜多喜久

女性の王族(プリンセス)が統治する架空日本で、王族の王位継承第5位の「白桜院日奈子」様が「国民の幸福を守るため」刑事になると宣言し刑事になった。 日奈子とバディを組むことになった、血が苦手な新米刑事「芦原直斗」。 二人は、殺害後に血を抜く連続殺人鬼「ヴァンパイア」を捕まえることができるのか。ヴァンパイアの正体や真相がなかなか見えてこないのでハラハラドキドキ。高貴な使命感と生まれ持った威厳で事件に立ち向かうプリンセスが輝いています。