Q&A3940 胚を何個確保すべきか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2022.9.4「嬉しい報告とQ&A3409 第二子採卵の準備は?」で回答いただきありがとうございました。現在、リプロダクションクリニックに転院し採卵をしております。

2023.12.13「嬉しい報告とQ&A3874 第二子治療で相談」Q3874③を拝見し、採卵目標について質問がございます。

現在42歳の胚盤胞ですと、2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」では染色体異常率は75.1%です。また、2015.4.11「☆年齢別流産率」では40歳36%, 45歳63%であることから、42歳50%と仮定すると、実質8個の胚盤胞を移植した場合に1個が出産に至ると理解しました。診察の際に、初期胚は胚盤胞の半分程度の確率と聞きましたが、初期胚を0.5個、胚盤胞を1個として計算し、採卵目標数を考えて良いのでしょうか。なお,第1子は胚盤胞移植で出産しました(各個人によるものがあるため,目標は絶対ではなく目安と理解しております)。

 

A 一般的には、初期胚は胚盤胞の半分程度の確率ですので、上記の記載の通りです。しかし最近アップした、2023.2.7「☆初期胚凍結と胚盤胞凍結の優劣は?」の記事をお読みいただくと、移植1〜4回目頃までは胚盤胞移植が有利ですが、移植5回目あたりから優劣がつかなくなり初期胚と胚盤胞が同等になります。つまり、治療が長期化すると初期胚も胚盤胞も同じ1個の扱いになります。

 

なお、2015.4.11「☆年齢別流産率」の記事では、妊娠方法を考慮していません。自然妊娠、人工授精、胚移植、PGT正常胚移植の全てを含んでいますので、単純に掛け算(正常率x流産率)で算出した数値よりも本当はもっと出産率は良いと思います。