Q&A3835 44歳で4AA2個移植は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q いつも患者にわかりやすく、エビデンスに基づいた情報発信、気持ちに寄り添った記事をありがとうございます。以前も何度か質問し、ご回答ありがとうございました。

現在44歳3ヶ月で、生理が来たら移植周期に入る予定です。2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」、2023.9.26「2個移植したら妊娠率は2倍になるのか」の記事を読みました。44歳で4AA胚盤胞2個移殖を、先生はどう考えられますか。

現在凍結している胚盤胞
採卵時43歳8ヶ月 6BB
43歳11ヶ月 4AA(SEETあり)
44歳1ヶ月 4AA、4AB(SEETあり)

過去の7回胚移殖のうち3回陽性判定、すべてホルモン補充周期で5日目移殖
41歳2ヶ月 4BA 心拍確認後8週稽留流産、15番トリソミー

その後、保険診療含め4回連続陰性、全てホルモン補充周期、凍結胚盤胞移植
どれも4BB胚盤胞で、SEET+1個、または2個移殖で陰性
43歳4ヶ月 4AB+5AB(1day old)、SEET、2つ胎嚢確認するも2つとも心拍確認できず流産、双子&自宅排出で染色体検査できず、胞状奇胎ではない
43歳11ヶ月 4AA、SEET、化学流産、判定日HCG 170、その1週間後HCG 326で胎嚢見えず化学流産
 

PGT-Aはしたことがありません(不妊治療保険適用タイミングと主治医の方針)。次の移植は、妊娠後の予後が良いとのことで自然周期を提案されておりますが、4AAx2個移殖は多胎妊娠のリスクが高いためNGとのこと(クリニック方針として単一杯移殖推奨が強い)。胚盤胞評価は良くても、年齢的には正常胚率10%あるかないかだと思っていますが、それでも4AA×2個の多児リスクは見逃せない率でしょうか。年齢的にも残り時間限られており、どのように移殖をするか、組み合わせと順番に悩んでおります(4AA/4AA/4AB+6BB、4AA+4AB/4AA+6BBなど)。

 

A 43〜44歳採卵時の染色体異常頻度は8割強ありますので、計算上は5個移植もありですが、確かに4AAという最上級ランクの胚を複数移植するのには躊躇してしまうでしょう。ただし、グレードが良いから正常胚とは限りませんので、私は、44歳で4AA2個移植はアリだと思います。組み合わせはどれも大きな違いはありませんが、均等に分けるという観点からは、4AA+4AB/4AA+6BBが良いと思います。

 

下記の記事を参照してください。

2022.4.10「☆胚盤胞にならないのは染色体異常のせい?

2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。