Q&A3101 セグメンタルモザイク(部分モザイク)について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 着床前検査に出した胚盤胞の結果についてご相談があります。

RISK OF MOSAIC(partial)の胚盤胞で、3か所の染色体番号で異常がありました。それぞれ30〜40%程度のモザイク率なので移植可能とのことですが、やはり1か所や2か所のモザイクよりもかなり妊娠継続率は低くなってしまうのでしょうか。また、染色体番号やモノソミー、トリソミーで差はありますでしょうか。RISK OF MOSAIC(partial)がどのようなものなのか情報が少なく移植の決断が出来ずにいます。

 

A RISK OF MOSAIC(partial)は染色体の一部分だけのモザイクであり、セグメンタルモザイク(segmental mosaic)のことです。現在のところ、世界的に一致した見解はありません。過去のブログ記事とその要旨を記載します。

 

2021.7.4「☆☆部分トリソミー/部分モノソミー胚の予測モデル」:初回と2回目のTE細胞の結果を踏まえた、部分トリソミー/部分モノソミー胚の予測モデルを作成

2021.5.3「☆モザイク胚移植1000個の成績」:移植胚の優先順位は、正常胚>部分モザイク胚(モザイクの程度は問わない)>モザイク1本(50%未満)>モザイク2本(50%未満)>モザイク3本以上(50%未満)>モザイク1本(50%以上)>モザイク2本(50%以上)>モザイク3本以上(50%以上)

2020.6.13「セグメンタルモザイクの頻度」:セグメンタルモザイクの頻度は、初期胚で最も高く、胚盤胞で低下するため、セグメンタルモザイクの細胞は、胚発生とともに淘汰されるのではないか。

2019.3.12「モザイク胚100周期の移植経験」:モザイクの程度は関係なく、セグメンタルモザイクと34歳以下の場合には移植のメリットがあるかもしれない。

 

以上により(年齢の記載がありませんが)、採卵時の年齢が34歳以下でセグメンタルモザイクでしたら、モザイクの程度を問わず移植のメリットがあるかも知れません。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。