Q&A3072 ニナファーム社とミトコンドリア | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロで無事2人目を授かり、その子も1歳半を迎え、本当に元気に大きく成長してくれています。私の姉もリプロで通院することになり、引き続き、お世話になっています。

さて、今日、メッセージを送らせていただいたのは、先生に一度、フランスの「ニナファーム」という会社を知っていただきたいと思ったからです。すごい技術力のある会社だと私は思うのですが、先生ならどう判断されるのかご意見を聞かせていただきたいです。私は、この会社を知ることで、ミトコンドリアのことも勉強するようになったのですが、、、、先生のブログでも着床とミトコンドリアの関係の記事を拝見したり、ニュートンという雑誌でも卵子の老化の鍵はミトコンドリアだという記事を見ました。妊娠力にミトコンドリア活性が鍵ならば、この会社の技術力はすごい可能性を秘めていると思ってしまいます。素人の私では、この場でうまく説明することはできないですが、先生なら世界の論文でその信憑性を確認していただきたいです。

 

フランスのニナファームは、世界抗酸化学会を主催しているマーヴィン・イディアス博士が発起人となり設立されています。マーヴィン・イディアス博士は、そのほかにも世界ミトコンドリア学会や国際マイクロバイオータ学会も主催されているそうです。パスツール研究所にも太いパイプがあり、ニナファームの成分を使ったサプリメントのボトルには、「パスツール研究所試験済み材料」と記載してあります。そして、素人ながらこの技術がすごすぎるのでは!と思うのですが、ADS(アドバンストデリバリーシステム)という成分を運搬する技術があり、有用な成分を集中的に運びダイレクトに効果を届けることを目的にしているそうです。この技術の開発者は、カロリンスカ研究所出身のデゥ二・ガスケ博士という方だそうです。特許を取っているようですが、私では理解仕切れない内容です。素人では、調べる手立てが限られていますので、是非、先生のご意見を聞かせていただければ幸いです。

 

A 最近は、この手のベンチャー企業が沢山起業しています。調べてみましたが、この会社が他社と比べて特に優れているかどうかは不明です。私は常に俯瞰的に物事を見ることにしていますので、限られた情報の中では、特定の企業を推奨したり、逆に推奨しなかったりすることはありません。

 

なお、誤解されているかもしれませんが、、、

卵子の老化の鍵は確かにミトコンドリアなのですが、「ミトコンドリアDNA含有量の増加は胚の状態の低下につながる」「ミトコンドリアDNA含有量が高いものは着床しない」「老化卵子にミトコンドリアを注入しても老化はレスキューできない」ことが判明しています。

 

下記の記事を参照してください。

2019.1.28「AUGMENT療法:ランダム化試験

2018.3.3「ミトコンドリアDNA含有率と胚の関係

2016.10.12「老化卵子モデルでのミトコンドリア移植の効果は?

2016.4.18「Q&A1064 卵子のミトコンドリアについて

2015.9.27「ミトコンドリアDNA量と着床率の関係」

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。