本論文は、母親の初潮年齢は息子の思春期にも影響することを示しています。
Hum Reprod 2018; 33: 2043（デンマーク）doi: 10.1093/humrep/dey287
要約：2012〜2016年に11歳になった単胎妊娠のお子さん15,822名（男児7697名、女児8125名）を対象に、思春期になるか18歳まで経過観察しました。なお、母親の初潮年齢はお子さんの妊娠中に聞き、思春期（第二次性徴）は質問票調査で行い、Tannerの分類で評価しました。母親の初潮年齢が早いと、息子の思春期（生殖器の発達、恥毛、初めての射精、声変わり、腋窩の毛、ニキビ）発来が早くなっていました。同様に、母親の初潮年齢が早いと、娘の思春期（乳房の発達、恥毛、初潮、腋窩の毛、ニキビ）発来が早くなっていました。男児では全ての項目が同程度の変化でしたが、女児では乳房の発達と初潮が母親の初潮年齢と特に強く関連を認めました。
解説：思春期発来が早いと、大人になった時に様々な健康上の問題が生じることが知られています。すなわち、乳癌、精巣癌、糖尿病、心血管疾患のリスクの増加です。また、思春期発来は遺伝的要因と環境因子の関与が示唆されており、思春期発来に関連する遺伝子は男女ともに類似していることが明らかにされています。母親の初潮年齢は娘の思春期発来とリンクしていることはよく知られていますが、息子の思春期にも影響するか否かについては明らかではありませんでした。本論文はこのような背景のもとに行われ、母親の初潮年齢は息子の思春期ともリンクすることを示しています。
下記の記事を参照してください。
2018.6.24「初潮年齢と閉経年齢の関係」
2017.5.12「AMHに影響する因子」
2017.3.21「初潮が早いと閉経も早い？」
2014.10.27「初潮年齢と妊娠との関係」
2014.5.4「☆片側の卵巣摘出をしても閉経はたった1年早くなるだけ」
2013.12.7「☆初潮が早いとAMHが低下する？」