初潮の時期によって妊娠しやすさは変わるのでしょうか。その質問に答えたのが、今回ご紹介する論文です。本論文は、初潮の時期が15歳以上の場合に妊娠しにくくなることを示しています。
Hum Reprod 2014; 29: 2058（デンマーク）
要約：1996～2002年に妊娠中であった方73107名を対象に、妊娠12週で電話インタビューを行い、初潮年齢と妊娠までに要した期間（time to pregnancy: TTP）を尋ねました（後方視的検討）。TTPが6ヶ月以上を「妊娠しにくい」状態、TTPが12ヶ月以上を「不妊症」と定義しました。「妊娠しにくい」方は、13歳で初潮が来た方と比べ、15歳で初潮が来た方で1.09倍、16歳以上で初潮が来た方で1.17倍と有意に増加しました。「不妊症」は、13歳で初潮が来た方と比べ、16歳以上で初潮が来た方で1.18倍と有意に増加しました。また「妊娠しにくい」方は、13歳で初潮が来た方と比べ、10歳以下で初潮が来た方で0.93倍と有意に低下していました。
解説：初潮の時期が早いと、乳癌や心血管疾患のリスクが増加することや、初潮が早くても遅くても流産や子宮外妊娠のリスクが増加するといった報告があります。しかし、初潮の時期によって妊娠しやすさが変化するのかについて検討した論文はこれまでありませんでした。本論文は、初潮の時期が15歳以上の場合に妊娠しにくくなることを示しています。
以前の記事では、初潮が早いとAMHが低下し閉経が早くなるという論文をご紹介しましたが、本論文はこれとは正反対の内容です。しかし、調べてみると、初潮が遅いとAMHが低下し閉経が早くなるという論文もあります。どちらが正しいのか、現時点では何とも言えないのですが、初潮の年齢と妊娠には関連があることには疑いの余地はないと思います。
初潮関連の記事をまとめてみましたので、下記を参照してください。
2013.1.11「タバコの影響：女の子が生まれると…」：母体の妊娠中の喫煙により初潮が早くなる
2013.12.7「☆初潮が早いとAMHが低下する？」：初潮が早いとAMHが低下し、閉経が早くなる
2013.12.19「☆キスペブチンとは？」：環境ホルモンであるフタル酸増加により、思春期発来が早くなる
2013.12.27「FSH反応性は遺伝子多型により異なる」：FSH遺伝子多型があると、FSH高値、AMH低値であり、より早く思春期が起きる
2014.2.19「母体のPFOA暴露による子どもに与える影響」：母体の妊娠中のPFOA暴露により初潮が遅くなる