Q&A493 34歳、AMH 1.84、奇形卵子? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 34歳、AMH 1.84
人工授精で1回妊娠し9週で稽留流産
ショート法で採卵23個、未熟卵10個、体外受精13個で7個受精、未受精卵5個を顕微授精(レスキューICSI)し5個受精、胚盤胞1個
担当医からは、奇形卵子が多数見られますと言われかなり落ち込んでます。奇形卵子になる原因ってどんなようなものがあるのですか。生まれもった卵子が奇形だったことですか。採卵後一周期見送って、凍結胚盤胞を移植することはできますか。奇形卵子でも、妊娠、出産できますか。

A 奇形卵子というものが、どのようなものなのか定かではありませんが、おそらく卵子の細胞質やSERCのことではないかと推測しての回答です。医学的に、奇形卵子という表現は用いないからです。

AMH 1.84にしては、沢山採卵できています。未熟卵が多く採取されていますので、今回の採卵周期の卵に限っては、全体的に良くなかった可能性があります。このような場合には、刺激法を変更すると採れる卵子の状態が変わることがあります。Antagonist法で注射も変更し、トリガーの量や時期、時間を変更してもう一度採卵してみてはどうでしょうか。

また、レスキューICSIした胚は状態がさらに良くない可能性が高いですので、こちらの5個は念のために行ったものと考えてください。移植は差し支えないでしょう。見た目のグレードはあくまで参考にしかならず、妊娠した場合にはどのグレードのものも同じ経過を辿ります。

SERCについては、下記の記事を参照してください。
2014.9.17「SERC卵の取り扱い」
2013.10.31「卵子を良く見ると妊娠できるものかわかる?」
2013.9.10「SERCとは?」