AMHに影響する因子 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、AMHに影響する因子を横断調査により検討したものです。

 

Fertil Steril 2017; 107: 1012(米国)

要約:癌に罹患していない閉経前の女性のAMHと将来の癌罹患のリスクを前方視的に調査するPSAGCRスタディー(平均AMH 1.00、平均年齢 40.9歳)の671名を対象に、生活習慣とAMHの関連について横断調査により検討しました。AMHは年齢と共に低下し、AMH低値との有意な関連を認めた項目は、初潮年齢が若い(12歳未満)、ピル使用中(約1/3に低下)でした。人種、BMI、学歴、身長、喫煙、妊娠歴、月経周期とAMHの関連は認めませんでした。また、季節的な変動や採血時間による違いもありませんでした。

 

解説:動物実験やin vitroの研究では、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が癌の発生を抑制する可能性が報告されています。特に、ミュラー管由来の臓器やAMH受容体のある臓器の癌の発生に関連するという報告がある一方で、乳癌には関係するけれども卵巣癌や前立腺癌には関連がないとの報告もあります。また、AMH低値との関連がみられることが報告されている項目として、ピル使用、BMI高値、初潮年齢が若い、妊娠歴あり、アルコール、喫煙がありますが、一致した見解は得られていませんでした。本論文は、初潮年齢が若い方とピル使用中はAMHが有意に低下することを示しています。