新鮮胚移植における理想的なP4値は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、新鮮胚移植における理想的な黄体ホルモン濃度(P4)について検討したものです。

 

Hum Reprod 2018; 33: 1506(デンマーク)

要約:2014〜2017年に、デンマークの公的不妊センター4施設において、新鮮胚移植におけるP4値と妊娠成績について前方視的検討を行いました。黄体期前期と黄体期中期に分け、さらにP4を4群に分けて比較しました。P4 2番目の濃度を基準としての確率は下記の通り。

 

黄体期前期(OPU+2〜3)

P4(ng/mL) 〜18.8  18.8〜31.4  31.4〜125.8  125.8〜

臨床妊娠率   0.53    1.0       0.53    0.21

出産率     0.73    1.0       0.69    0.28  

 

黄体期中期(OPU+5)

P4(ng/mL) 〜47.2  47.2〜78.6  78.6〜125.8  125.8〜

臨床妊娠率   0.55    1.0       0.63    0.50

出産率     0.60    1.0       0.70    0.51  

 

解説:理想的なP4値についてはほとんど明らかにされていません。凍結胚移植では、いくつかの論文が報告されています。2016.7.5「☆P4が高いと妊娠率が低下し流産率が増加する!?」の記事では、ホルモン補充周期にて単一正常胚融解胚移植を実施したところ、胚盤胞移植日のP4値の理想は10~20 ng/mLであることを示しています。しかし、P4<10の場合にはどうなるかの検討はされていませんので、P4値の下限は不明ですが、上限が決まります(P4<20ng/mL。本論文は、新鮮胚移植における理想的なP4値について検討した多施設共同研究であり、黄体期前期(OPU+2〜3)では18.8〜31.4ng/mL、黄体期中期(OPU+5)では47.2〜78.6ng/mLの成績が良好であることを示しています。新鮮胚移植では凍結胚移植よりもP4値は高くなりますが、やはりP4値は多すぎず、少なすぎずが良いようです。

 

P4値については、下記の記事を参照してください。
2016.7.5「☆P4が高いと妊娠率が低下し流産率が増加する!?

2015.9.4「☆黄体ホルモン濃度はいくつあれば良い?」