Q&A554 海外で治療中、医師を説得するには | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2014.9.8「Q&A442 38歳、AMH 0.77、FSH 11-13」の続き
その後3ヶ月でやっと生理がきました。
海外で2つのクリニックに相談に行きました。双方とも、ベストは卵子提供と言われましたが、我々の選択肢にはないので、自己卵子での治療について回答を頂きました。
クリニックA:血栓性素因の検査後、低刺激法
クリニックB:繰り返す流産を避けるため、数回の採卵(クロフェミンとMenopor225)でできるだけ卵子を凍結。その後、受精させ、着床前診断PGS(CGH法)で正常受精卵5日目を移植するという提案をうけました。私の場合、染色体異常率は年齢39歳から言っても9割だろうとも言われました。
ただし双方スタート前に、ピルを服用してからのスタートといわれています。ピルの服用を避けたい場合、どのように医師に伝えたら良いでしょうか。こちらの医師は、ピルはFSHを低下させるとの情報のみのようです。着床前診断の提案には理屈では納得なのですが、大変高額な治療費のほか、確率が低いとも言われ、悩んでいます。ピルの服用を避けたい場合、ほかの医師が納得するような伝え方がありましたらお教えください。
またMenoporを利用しての採卵について、先生のご意見を伺えましたら有り難く存じます。

A 海外での治療は想像以上に大変だと思います。
PGS1回分で採卵ができる費用がかかるのが普通ですので、なかなか踏み切れないかもしれません。39歳という年齢は、外国では高齢との見方で、すぐドナーへとなりますが、日本では治療されている方の平均的な年齢かあるいは少し若い方かもしれません。したがって、悲観的に考えることはありません。39歳の染色体異常率が9割というのも悲観的すぎる見方だと思います。PGSをされているクリニックでしたら、実際のデータを見せてもらうのがよいでしょう。

また、MenoporはhMG製剤ですので、前回お使いのFSH製剤より良い反応が期待できると思います。

ピルの件は、論文を持っていくのが一番です。海外の医師は、日本人よりも英語が得意だと思うのですが、意外と論文を読んでいません。データで説得するのが一番早道だと思います。下記の記事の論文を取り寄せてみてください(論文の取り寄せ方法については、2013.3.9「☆論文の取り寄せ方法について」を参照してください)。
2014.11.8「☆ピルを飲むとAMHが減ります」
2014.1.17「☆☆「良い卵子」とは?」
2013.6.1「体外受精前周期のピル(OC)のメリット•デメリット その2」
2013.5.21「☆☆ピル(OC)のメリット」
2013.5.14「☆体外受精前周期のピル(OC)のメリット•デメリット その1」
2013.4.22「☆ホルモン剤(ピル)の使い方でAMHが半減?」