居場所とは何なのでしょうか?
ここでは、パールズの場合を見てみましょう。
フレデリック・パールズは、ゲシュタルトセラピーを提唱したセラピストです。
1950年代、彼はニューヨークゲシュタルト研究所などでワークショップを行い、
世間のゲシュタルトセラピーに対する関心が徐々に高まってきました。
しかし、
自由な性格のパールズは、
1960年代にアメリカの西海岸に放浪の旅に出ます。
彼は旅をしながら、ワークショップやトレーニングを行いました。
京都やイスラエルにも訪れ、自由に旅や修行を楽しんでいました。
放浪の旅を終えて、
彼はエサレン研究所にたどり着きます。
彼はエサレン研究所の施設に住み、
セミナーやワークショップをするようになります。
エサレン研究所は断崖から海を臨む場所に位置し、
温泉施設もあります。
自然豊かで、神秘的な雰囲気が漂っており、
パールズはそのようなエサレン研究所にひきつけられました。
彼はそこでゲシュタルトセラピーをさらに発展させます。
それまでは個人セッションが中心でしたが、
エサレンではグループワークやデモンストレーションを積極的に行い、
全米から注目を集めることになります。
パールズの開発したゲシュタルトセラピーは、
感情をオープンに外へ出すことを求めます。
パールズ自身も、セミナーの参加者と一緒に、
悲しみ、泣き、喜び、踊った
といいます。
パールズはエサレンで、
夜遅くまで起きていて、朝遅く起きてくる、
という自由気ままな生活をしていました。
ワークショップは、パールズが住んでいた部屋で行い、
週末の一般向けセミナーは、その家の下のロッジで行われたといいます。
セミナーはいつも大変な人気で、1回につき
70人から80人の参加者がいたといいます。
パールズはこれを週末の 「サーカス」 と呼んでいたそうです。
エサレンの温泉には、男女別々に入浴することもあれば、
夕方のセミナーの後などは、一緒にお風呂に入ることもあったといいます。
また、ときどき午後に、別のセミナーのグループが、
浴場を使って行われることもあったり、
スタッフの家族が夕食前にお風呂に入ったりもしていました。
エサレンは自由な雰囲気があふれる場所でした。
自由が好きなパールズには、
エサレンのこのような雰囲気が合っていました。
エサレン研究所は、パールズにとって心が落ち着く
『居場所』
だったのかなと私は思います。
一般的に、、
アドラー心理学では『居場所』を大切にします。
パールズはゲシュタルトセラピーの創始者ですが、
居場所のモデルケースを見せてくれたように思います。
あなたにとっての居場所はどこでしょうか?
それでは、今回はここまでです。
■ 執筆者 : 松岡 学
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