私たちが住んでいるのはどんな空間? ~数学コラム~ | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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私たちは、どんな空間に住んでいるのでしょうか?

今回は、そんなことを数学的に考えてみたいと思います。

コラム 「次元の話」 で、

直線は1次元
平面は2次元
空間は3次元

と説明させていただきました。


数学では図形を考える時、


その図形がどこに存在するかということも重要になります。


たとえば、三角形を考えるとき、


三角形はどこに存在するか?


ということです。

普通、三角形は平面に存在するので、
“平面上に三角形が存在する” と考えます。

(このとき、三角形は平面に埋め込まれているという表現を使います)

もちろん、空間内に三角形が存在すると見なすこともできます。

なんだかまわりくどいように思われるかもしれませんが、
これが数学的に大事な考え方なのです。


ここで、球面を考えたいと思います。

(ここでは中身は考えずに面だけを考えます)

球面は何次元でしょうか?

 

 

コラム 「次元の話」 では、
真っ直ぐな図形だけを考えましたが、

球面のような 「曲った図形」 も
次元を考えることができるのです。

 

数学的に、

球面の次元は2次元です。

イメージとしては、

ビニールを平面のように広げます。
平面ですから2次元です。

次に、このビニールを丸めて球面を作ります。
そうすると、平面を曲げたものと考えられるので、
2次元だということが分かります。


ただ、球面は3次元空間の中に存在するので、

「3次元空間の中の2次元の球面」

というのが正確な表現です。

球面の次元より空間の次元の方が
大きくなるのがポイントなのです。


では、ここで問題です。

球面の上に、非常に小さな虫が住んでいたとして、
その虫は、自分が何次元の世界に住んでいると感じるでしょうか?



どうでしょうか?

イメージがわきますか?


答えは、2次元です。


理由としては、

地球の上の人間をイメージしてみてください。

人間は地球を、どんな図形だと感じていますか?


もちろん、

知識として 「地球は丸い」 と理解していますし、
人工衛星からの映像などで、
地球が丸いように思っていますが、

地球が丸いことを、肌で感じていますか?


答えは 「ノー」 です。

つまり

人間が地球を平面と感じるように、
虫は球面を真っ直ぐに見ています。


すなわち、

曲った図形でも極めて小さい部分を考えると、
真っ直ぐとみなすことができる

というのが数学的な考え方なのです。


このように、

曲った図形も極めて小さい部分を考えると、
真っ直ぐな図形と見なせるという考え方は、
数学者のリーマンが提唱しました。

(このような考え方をするとき、数学では図形という言葉ではなく、
多様体という言葉を使います)


そう思うと、

私たちの住んでいる宇宙は、3次元空間だと感じていますが、
実際は違うかもしれません。



私たちが見える範囲では、
「タテ、ヨコ、高さ」
がある3次元空間ですが、

先ほどの球面(地球)のことから分かるように、

私たちの住む空間(宇宙)は、
「曲った3次元空間」
である可能性もあるのです。

というか、そのように考える方が
数学的には自然なのです。

 


 


まとめると、

私たちが住む宇宙は、

曲った3次元空間で、
4次元以上の空間に埋め込まれているのです!!


なんだか想像を超えた世界ですが、
これが数学的に自然な考え方なのです。


ただし、実際に、

どのような形の曲った空間なのか?

何次元の空間に埋め込まれているのか?

を突き止めるのは、難しい問題です。

私たちは4次元以上の空間を
直接見ることができないからです。

ただ、

物理学の法則を突き詰めることで、
私たちの住む空間を探究することができます。


現在、物理学の超弦理論やM理論によると
私たちの世界は10次元や11次元の可能性があるといわれています。


なんだか想像を絶することになってきましたが、
とても刺激的で興味深いことだと思います。



図形がどんな空間に存在するかという今回の話は、
まっちゃん先生がラジオでも語っていますので、
こちらもお聴きください。

⇒ ラジオはこちらから

というわけで、今回はここまでとなります。
 

 

 

 

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