梅田ではじめたギャラリーカフェ まそほのつぶやき -26ページ目

ザアザアだ

ザアザアって音と、顔にかかった冷たい雨しぶきで目が覚めたよ。
窓を開け放して寝てしまったから、雨が吹き込んでた。
うわあ、窓際の本が濡れてる。
昔ね、いきなり雨に降られた時のこと…
雨宿りするところもなく、ほんとに、土砂降りで、私は頭から爪先までびしょ濡れでね、服は身体に張り付くし…髪の毛から、雫はぽたぽた落ちるし、何とも情けない恰好で歩いてた。
その時、二十歳ぐらいだったんだけど、いろいろあって気持ちも落ち込んでたのね。
後ろから、すっと、傘がさしかけられたの。
「どうぞ…どちらまで?」少しかすれぎみの声のその人は、私より10は年上の美しい女性だったの。
透明な感じの大人のひと。髪の毛を後ろでシニョンにしてて、オレンジの口紅をつけてた。
長い年月で、私の中で美化もされてるんだろうけど、本当に、雨の精が現れたのかと思ったよ。
こんなに素敵な雰囲気のひとになれたら…と思ったわ。
大人になってから随分たったけど、なれてない。

まそほ繁盛記

「はよ、割りまひょ!なあなあ!」
「やかましわっ!ドリアンドリアンて。まだ、熟れてまへんで。けど、そないに言うんやったら、割ってみなはれ。」
女将達は二日前に、ドリアンを割ってみたのだった。結果、食べるにはまだ早かったので、ラップして月曜まで置く事にした。
「Gはんっ!ドリアンがあ~。」
「なんだす?」
「蒸れてカビきてまっせ。ああ…ドリアンが…」
「食べられますがな。はよ、食べまひょ。」
Gはトゲトゲの皮から果肉を取出した。
「いたっ!あっ…血がでましたわあ!あ…よう見たらさっきドア塗った塗料でしたわ。皮すてまっせ。」
「まっとくれやす!あーあ捨ててしもた…。せっかくTシャツにくっつけて、ハードTシャツにしよとおもたのにぃ…!」
「皮に毛カビはえてましたで。」
「諦めますわ。あっ!血がっ!」
ドアの塗料だった。
そして、口にしたドリアンは、まだ熟れていなかった。
つづくさ

時計

店に時計が無いので、作ろうか、という事になりました。
材料はね、今から並べるから、どんな時計になるか想像してくださいな。
珊瑚のかけら…沖縄で拾った白い物です
鳥の羽根…カラスと鳩の
ヤモリのミイラ…以前拾って大切にしてた物
あとは、なんやかんやと…イメージしてる形があってね、イメージ通りに仕上がったらいいな、と思いますが。
店のドアを赤に塗り替えます。
ぜひとも、見に来ていただきたい!
ドアの次は、店内の棚を白く塗り替えて、作品が映えるようにする予定です。
何だか、燃えてきました。お楽しみにね!

まそほ繁盛記

「うわ、あんさん、重かったやろ?」
Gは来るなり、調理台の上にどっしりと置かれた物に目をとめた。
「へえ、もうそら重かったですわ。けど立派なドリアンですやろ?千円て、なかなかおまへんで。」
「美味しそうですなあ。」「ドリアンはええんですけどな、まあ、聞いとくれやすっ!」
「どないしやしたんや?」Bは、怒りがさめやらぬ様子で話し始めた。
「うちが重たい思いして、歩いてましたらな、前歩いとったオッサンが、火のついた吸い殻なげすてたんですわ!もうちょっとで足に当たるとこでしたんやっ!」
「黙っとりましたんか?らしゅうもないですなあ。ドリアンで頭どついたったらよろしいんや。」
「すたすた、歩き去りましてな…ああ腹立つ!マナー守れんクソおやじなんか、鼻の穴三つになったらええんですわ。そして頭のてっぺんに鼻が移動したらよろしいのに!」
「煙草吸うたんびに、火山になりますなあ。ノロシにもみえますわな。」
「雨降ったら、雨水はいりますんやで!けけけけ」
つつくよ

パワー

昨日、ある昨日展に行ってきました。
彫刻、活け花、椅子、画、織。
それぞれの作品が、互いを邪魔する事なく融合しあい、かつ自己主張している感じがして、素敵な作品展でした。
作家ひとりひとりに、力があるからこそだと感じ入りました。
久しぶりに面白かったです。
何だか自分も大きい作品が作りたくなりました。

まそほ繁盛記

「Bはん、どないしはりましたんや?」
Gは、いらいらした様子で身体を掻いているBに、声をかけた。
「身体がなんやチカチカして痒いんだすっ!この服のせいでっしゃろか?ああ~痒ぅ~。たまりまへんわっ!」
Bは、貧乏臭く、ボリボリと身体を掻き続けた。
「汗かいたから、余計に痒いんですなあ。なんぞ、サラサラのパウダーでもあったらええのに…」
「ほんまですなあ…あっ!ありますがな、ありますがな。」
Bは、いそいそと厨房に入ったかと思うと、満面に笑みをたたえて戻ってきた。手には、なにやら持っている。
「これこれ、片栗パウダーですわ。」
「あんさん、ほんまに片栗粉はたきますのんか?」
「食品やねんから無害ですやろ。手に出しておくれやす。」
Bは手に受けた片栗粉を万遍なく身体にはたいた。
「どないですか?」
「サラサラで気持ちええですわあ~。ただ、心配なんは、汗かいて暑うなったらとろみがつけへんやろか、ちゅう事だけですわ。」
「あんかけババアですな。」
つづきい

忘れた

昨日、わたくしは、店に携帯を忘れまして、別にそれはいいんだけど、同時に魚の煮付けも忘れましてね。『きんき』という非常に美味しい魚なんですよ。
家で待っている病気のおっかさんに食べさせようと、思ったのに…
わたくしったら、忘れたんですわ。
ウゾ飲んで、笑ってたら忘れましたわ。
ほら、今蒸し暑いじゃないですか。
冷蔵庫に入れてなかったしね。
腐ってるかも、と思ったら気になって気になって、
勿体ないですもん。
そんな事考えながら寝ましたらね、夢みましたわ。
広い畑で大根ぬいてたら、ズボッとゾンビが出て来るんですわ。
そのゾンビが鯖でね、元鯖といったほうがいいのかなあ。
とにかく、びっくりして心臓ドキドキしましたわ。
店に着いて魚みたら、腐ってなくて、めでたしめでたしですわ。

まそほ繁盛記

たっぷりと湿気を含んだ大気が、女将達の身体を重くしていた。
「厨房が、ものすご暑いですわ!はよ、扇風機かわんことにはなあ。」
「又、このコンロ、火力強いですもんなあ。ぼうぼう燃えてはるわ。仕事するでって感じですわ。」
「あ、そやそや!美味しいキーマカリー、まだあったかいな?」「うちの、美味しいキーマカリーは、まだありまっせ。美味しいパラタがあんまりないから、焼いとかなあきまへんわ。」
パラタとはチャパティに似たインドのパンで、キーマカリーによく合うのだ。
「結構、人気ですなあ。美味しいですもんなあ。」
「ほんまに、美味しいわあ。…しつこいでっか?うちら、さっきから、どこに向けて言うてますのやろ。」「世間ですわ。Bはん、うち髪の毛切りたなりましたさかい、明日でも美容院行こかいな。」
「かっこええですなあ。角刈りにしますんやろ?」
「誰が、そんないかつい髪形しますのや!客、無言で走って逃げますわ。」
つづけ

蟲話

クチナシの花が咲き始めて、良い香が漂っています。が、あの花には(葉というべきか)巨大芋虫がつくのでござる。
昔、実家で朝顔を植えたのであるが、葉っぱが繁り、つるが伸び、花が咲いたその時!
ようくみたれば!そこには…居たでござるよ、奴が。何と言う太さでござろう、まるで、アメリカンドッグぐらいの大きさでござった。
ああ、取り乱してしもうた。クチナシのはなしでありもうした。
その、朝顔についていたのと同じのがクチナシに付くのでござる。
正体は、スズメ蛾である、という事が調べによって、判明いたした。
実に気持ち悪いでござる。しかし、今までで1番気持ち悪かったのは、ハリガネ虫ではなかろうか…。
カマキリの腹の中に住んでいる不快な虫でござる。
あああ…思いだすだけで、毛穴が開くでござるう~
イヌワシ、はやぶさ
好きな猛禽類を唱えて、おまじないにするでござる。 オジロ鷲、クマタカ

まそほ繁盛記

とっくに梅雨に入っていたが、見上げた空は曇天で、すっきりしない日々が続いていた。
女将達は、ぐったりとテーブルに突っ伏している。
「ああ~しんどいですわ。だるうてだるうて…身体から、ねばねばの糸出てきそうですわ。」
「うわ!Gはん、腕からじんわり、透明の液体が染み出してますがな!」
「汗ていいなはれっ!気色悪いですがな、そんな言い方したら!ああ~…」
「あんさん!ほら、これこれ。見とくれやす。」
Bは手の平をGの顔に近付けた。
「なんだす?…あっ!キラキラ光ってますがな。どこぞで砂でも掻き混ぜたんでっか?」
「あほいいなはんな。金粉ですわ。確かめたわけやないけど金粉ですわ!」
「サイババですな。」
「サイババですわ。」
あまりにも暑いその日、二人はいつまでもゲラゲラ笑い続けた。
つじく