ミレイの「オフィーリア」とラファエル前派 テート・ブリテンに行ってきました♪② | ムーミンのイギリス大学院留学ブログ

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現在イギリスの大学院に留学中です。イギリスでの出来事や英語の勉強方法について紹介できればなと思っています。

こんにちは、ムーミンです。

 

 

 

テート・ブリテンの2回目です音符音符

 

前回は、レイトンの「水浴のプシュケー」について書きましたおねがいおねがい

 

 

 

 

今回は、

ミレーの作品を紹介します口笛口笛

 

 

 

ミレーの「オフィーリア」

 

 

ラファエル前派と言えば、

まずは、ジョン・エヴァレット・ミレー(John Everett Millais)の
「Ophelia(オフィーリア)」ですね。
 
 
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ハムレット』の一場面であり、
主人公のハムレット王子の恋人オフィーリアが
花冠を柳にかけようとして小川に落ち溺死してしまう場面を描いています。
 
実際の絵は、非常に繊細に描かれており、
その美しさと迫りくる死の影に、畏怖の念を抱かざるを得ませんでした。
 
テート・ブリテンでは、ちょうど目線の位置に飾られていたので、
細部まで見ることができますおねがいおねがい
 
 
 
亡き父王の復讐の炎に身を焼かれた、
繊細でなかなか行動を起こすことができないハムレット王子。
 
そんなハムレットのオフィーリアに対する辛辣な言動(「修道院に行け。」など)や、
オフイーリアの父親を襲う悲劇の結果、
オフィーリア自身も不遇の死を迎えてしまうのです。
 
劇中では、その場面は演じられず、
死の事実だけが口頭で説明されます。
 
 

「オフィーリアはきれいな花環をつくり、その花の冠を、しだれた枝にかけようとして、
よじのぼった折も折、意地わるく枝はぽきりと折れ、花環もろとも流れのうえに。
すそがひろがり、まるで人魚のように川面をただよいながら、
祈りの歌を口ずさんでいたという、死の迫るのも知らぬげに、水に生い水になずんだ生物さながら。
ああ、それもつかの間、ふくらんだすそはたちまち水を吸い、
美しい歌声をもぎとるように、あの憐れな牲えを、川底の泥のなかにひきずりこんでしまって。
それきり、あとには何も。」
(ハムレット、シェイクスピア:福田恆存訳より)
 
 
これに対する文学的な高い評価もありますが、
ムーミンは、死の場面を直接描かなかったのは、
その原因が単なる事故ではなかったからだと思っています。
(これについては、多くの人がそのように解釈しています。)
 
すなわち、劇中ではあたかも事故として描写されていますが、
自ら死を選んだのではないのかなと。
 
いわゆる入水自殺ですね。
 
 
自身を取り巻く運命に翻弄されたオフィーリアの死。
 
 
小川に落ちて、
仰向けのままゆっくりと死を受け入れるのは、
まぁまぁ不自然ですよね。
 
小川に落ちたのは事故だったとしても、
そのまま死んでも良いかなと投げやりになっている心境だったのかなと慮れます。
 
 
 
ともあれ、
このオフィーリアの死を境に、
ハムレットを襲う悲劇が加速していくことになります。
 
全ての発端は父王の毒殺だったとはいえ、
オフィーリアの兄との決闘の結果、自らも死を迎えるだけではなく、
最後の場面では悲劇と呼ぶに相応しい結末を迎えることになります。
 
ミレーが描くオフィーリアは、
シェイクスピアの表現通りに描かれており、
そういった回避できない悲劇の到来さえも予感させるものがあります。
 
これが大衆演劇として人気を博していたことは、
娯楽が限定的であったとはいえ、
当時の社会が、
一種の狂気を帯びていたのではないかとさえ思えてしまいます。
 

 
 
 
さて、 
ムーミンは大学生の頃、
ハムレットも含めたシェークスピアを読みあさっていました口笛口笛
 
まぁ、教養を身につけることが重要だと思うくらいに若かったのですよ(笑)
 

大学の時に読んでいたのは岩波新書でしたが、

調べたら新潮文庫から福田恆存先生の訳書が出ていたので、

Kindle で買って、久しぶりに読みました。

 

福田先生の訳書は読みやすいし、すっと入ってくるので是非こちらをラブラブ

(岩波新書のKindle 版もありました)

 

大学生の頃と違って、

肩の力が抜けているせいか面白く読めましたおねがいおねがい

 

ちなみに、福田先生は、

あの有名な「To be, or not to be」というセリフを

「生か、死か、それが疑問だ」と訳されていますが、これに対する批判もあるようです。

ムーミンも、生か死かと訳すのは違和感を覚えますが、

全体を通して見ると、やっぱり福田先生の訳は素晴らしいと思います。

Kindle 版です。

 

普通に本屋さんでも書籍として売っています。

 

 

一方で、4大悲劇はちょっと取っ付きにくいところもあります。

そこで、シェイクスピアに触れてみたい方は、喜劇から入るのが良いと思います。
 
おススメは、「ヴェニスの商人」ですね。
 
オチも爽快ですし、話も分かりやすいです。
こちらも福田先生の訳本をお勧めします音符音符

 

 

 
 

 

ミレイとラファエル前派

 

話を絵画に戻します。
 
ミレイは、イギリスの画家で、
後にロイヤル・アカデミーの会長を務めるなどしています。
 
(Wikipedia)
 
 
 
オフィーリアの他には、
「The Black Brunswicker(黒きブランズウィック騎兵隊員)」などが有名です。
(Lady Lever Art Gallery)
 
 
ミレイは、ロイヤル・アカデミー付属美術学校にいたときに、
ロセッティやウィリアム・ホルマン・ハントと共に、ラファエル前派という同盟を結成します。
 
これは、当時、ロイヤル・アカデミーで重要視されていたラファエロの作品を批判的に捉え、
それ以前の芸術を回顧する動きです。
 
中世の伝説や文学などを題材にし、
初期ルネサンスやフランドル美術を模倣し、
明暗の弱い明るい画面、鮮やかな色彩、細密な描写が特徴です。
 
先に挙げた「オフィーリア」は、その典型ですよね。
 
厳密には、
ミレイやロセッティ、ハントをラファエル前派といい、
彼らに影響を受けたレイトンやウォーターハウスは
ラファエル前派に含まないようです。
 
とは言え、1850年代のイギリスでのこの潮流は、
絵画史的にも非常に重要なものになるのです。
 

 

 

ということで、次回は、

ラファエル前派のロセッティや

ムーミンも好きなウォータハウスの作品を紹介したいと思います口笛口笛

 
 
今回も脱線ばかりになってしまいましたが、

何卒、ご容赦いただければと思います口笛口笛

 

 

前回ブログの最後に、

「後半に続く」と書いたのですが、

やっぱり長くなってしまいますね(笑)

 

 

 

ではでは。

 

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10/Aug/2020