こんにちは、ムーミンです。
先日、ようやくテート・ブリテンに行ってきました
当初は春に行く予定だったのですが、
ロックダウンのせいで、今まで行くことができなかったのです。
初めてのテート・ブリテンです
なので、先に言っておきます。
今回も長くなります。
まずは、正面玄関です。
で、テート・ブリテンと言えば、
ラファエル前派ですよね。
なので、ミレイやロセッティの作品を楽しみに行ってきました
ところが!
想いもかけず、
素敵な作品に出遭えたのですね
それが、こちら。
「The bath of Pische(水浴のプシュケー)」
フレデリック・レイトン(Frederic Leithon)の作品です。
正直、あまり知らない画家だったのですが、
この絵を見た瞬間、痺れましたね
語彙が少ないことが悔やまれますが、
女性が兼ね備える優しさ、美しさ、柔らかさ、気品など、
全てが完璧に描かれています。
均整のとれた肉体美に思わずため息が出てしまいます
男はアホなので女性に処女性を求めてしまうところがありますが、
そういったものも含めて表現されていると感じます。
この絵自体は189.2 x 62.2 cmの大きさですが、
上の方に飾られているので、筆致を間近に見ることはできませんでした。
それでも感動に包まれてしまいました。
新古典主義の傑作、
ドミニク・アングルの「泉」とも違った美しさがあります。
(Musée d'Orsay)
レイトンは、アングルとの交流もあったようですね。
「泉」が1856年製作で、
「水浴のプシュケー」が1879年製作です。
構図も似通っていますし、「泉」のオマージュと言われています。
こういった出会いがあるから、
美術館巡りは楽しいです
テート・ブリテンの説明によると、
ナポリのカポディモンテ美術館(Capodimonte Museum in Naples)で見た
Callipygian Venus(美尻のビーナス)に着想を得たとされています。
→ Frederic, Lord Leighton The Bath of Psyche exhibited 1890
で、調べたところ、(少なくとも)現在はカポディモンテ美術館ではなく
ナポリの国立考古学博物館(National Archaeological Museum)にあるようです。
恐らくこちらだと思います↓
確かに美尻ですが・・・。
命名に問題がありますよね(笑)
フレデリック・レイトン
フレデリック・レイトンは、
イギリスの画家であり彫刻家です。
ベルリンやフィレンツェで絵画を学び、
ラファエル前派のミレーやロセッティとの交流もあったとのこと。
ただし、交流はあったものの、
ラファエル前派には含まないのが通例だとか。
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの会長職にいたこともありました。
(Uffizi Gallery)
有名な作品としては、「Flaming June」などがあるようです。
これもまた、素敵な作品ですよね。
また、テート・ブリテンには、
レイトンの彫刻作品があります。
「An Athlete Wrestling with a Python」
力強く、躍動感のある作品ですね。
こちらの彫刻は、「水浴のプシュケー」と同じ部屋に飾られていました
プシュケー
それでは、プシュケーについて説明を。
プシュケーは三姉妹の王女の末っ子で、非常に美しい女性でした。
その美しさに嫉妬したヴィーナス(アフロディテ)は、
息子のエロス(クピド)を焚きつけ、
愛の弓矢でプシュケーに卑しい男と恋をさせるよう仕向けますが、
なんとクピドはプシュケのあまりの美しさに驚き、
誤って自分を傷つけ、プシュケーに恋してしまいます。
同時代のエドワード・バーン=ジョーンズ(Edward Burne-Jones)の作品、
「Cupid finding Psyche(プシュケーを見つけたクピド)」は、
大英博物館に所蔵されています。
その後、アポロの神託に従い、
プシュケーはクピドのいる宮殿に住むことになります。
しかし、クピドは、夜にプシュケーの寝所を訪れるものの、
その姿を見せることはありませんでした。
そうしたところ、
宮殿に招かれた2人の姉が、
姿を見せないクピドは、実はプシュケーを食べるつもりであると説き、
クピドが寝ている隙に殺すべきであるとけしかけます。
その場面をフラゴナール(Jean-Honoré Fragonard)が描いています。
ナショナル・ギャラリーで観ることができます
「Psyche showing her Sisters her Gifts from Cupid」
姉の言葉を信じたプシュケーは、
寝ているクピドに近づいてクピドに火傷を負わせてしまいます。
怒ったクピドは、プシュケーを追放します。
また、ビーナスは激怒し、
プシュケーに、次々と試練を課します。
そのうちの1つに、
冥府の女王プロセルピナに美(化粧品)をわけてもらってくるという試練がありました。
首尾よく美(化粧品)をわけてもらったプシュケーは、
警告されていたにもかかわらず箱を開け、
中に入っていた冥府の眠りのせいで昏倒してしまいます。
そこへクピドが現れ、プシュケーから冥府の眠りを取り去り、
ゼウスにとりなしを頼みます。
クピドがプシュケーを助ける場面は、
ルーブル美術館の有名な彫像に見ることができます。
アントニオ・カノーヴァ(Antonio Canova)の「クピドのキスで目覚めるプシュケ」です。
「Psyche Revived by Cupid's Kiss」、Antonio Canova
(Musée du Louvre)
ゼウスはクピドの頼みを聞き入れ、
プシュケーに神の酒ネクタールを飲ませます。
(要はプシュケーが神になる儀式のようなものですね。)
ビーナスも、神々の仲間入りをしたプシュケーを受け入れ、
プシュケーとクピドは結婚することになります。
ギリシャ神話にしては、
珍しくハッピーエンドですよね。
ちなみに、
プシュケーとクピドの絵画で有名なのは、こちらかなと。
「L'Amour et Psyché, enfants(アムールとプシュケー、子供たち)」
(Wikipedia)
ウィリアム・アドルフ・ブグロー(William Adolphe Bouguereau)の作品ですが、
残念ながら、個人蔵だということです。
レイトン・ハウス・美術館
で、色々レイトンについて調べていたら、
ひょんなことから、
ロンドンに
レイトン・ハウス美術館(Leighton House Museum)
なるものがあることを知りました
(日本語では博物館と訳されていますが、
所蔵物を基に、
この記事では美術館とさせていただいてます。)
ホームページはこちら
→ https://www.rbkc.gov.uk/subsites/museums/leightonhousemuseum1.aspx
この彫像は、どこかで見たような・・・。
レイトン・ハウス美術館では、
レイトンの作品を中心に、
ラファエル前派の作品が展示されているようです。
写真を見る限りは、
ウォレス・コレクション美術館に似た臭いがします
館内では、
大人数でのお食事会も開催できるようです。
こんな場所での食事会とか、
素敵すぎますね
また、映画やテレビのロケにも使われるとか。
そりゃそうですよね。
場所は、ロンドンのケンジントンにあり、
入館料は £9 です。
ただ、残念ながら、現在は、閉館中のようです
8月中に再開してくれるように祈るばかりです
ということで、
今回は、テート・ブリテンの紹介と言うより
レイトンの紹介でした
次は、ラファエル前派の作品を紹介したいと思います。
後半に続く。
ではでは。
03/Aug/2020