2020.9.30 一日一季語 落花生(らっかせい《らくくわせい》)  【秋―植物―晩秋】

 

塩ききし茹で落花生肴かな    小堀眞由美

 

9月のNHK俳句サクサクで、落花生を掘ったり、茹でる場面があった。

自分で掘った落花生をその場で茹でて食べるのは、とても贅沢だと思います。

 

【傍題季語】

南京豆(なんきんまめ)

 

【季語の説明】

マメ科の一年草。南米の中央高地原産で、江戸時代初期に渡来したという。

落花生は、地上にある枝に咲いた花の基部から子房柄が伸び出して地中にもぐり、土の中で実が育ちます。

花が落ちて豆が誕生することから「落花生」と呼ばれています。

晩秋に実を掘り上げ、煎(い)って食べる。蛋白質と脂肪を多く含み、栄養に富む。未熟な豆は塩茹でにするとおいしい。

季語としてはとれたてのものをいうそうです。

 

【例句】

落花生メガネの好きな猿もいて        黒田さつき

雨多し産直の生落花生            森理和

士の香をまとふたままの落花生        青木英林

茹で上がる父の匂ひの落花生         山崎靖子

落花生掘って鳥除け目玉吊り          宮津昭彦

 

【落花生の収穫】

落花生の収穫は、土から掘り出して行われます。その次に行われるのが、地干しです。地干しのあとは、畑でぼっち積みをして、自然乾燥し出荷となります。

 

地干し(じぼし)

地干しメージ画像掘り取った落花生は、3~5株をひとまとめにして根を上にして立てて、畑で1週間ほど乾かします。これを地干し(じぼし)と言います。

 

ぼっち積み

地干しが終わったら、円筒状に積み上げ、1~2ヶ月間、風に当ててゆっくりと自然乾燥させます。この円筒状に積み上げたものを「ぼっち」といいます。千葉県ではおなじみの晩秋の風景です。

乾燥が終わったら、莢だけとって出荷します。

 

【季語の語源など】

「落花生」は主に以下の状態の時に用いられる名称です。

 

    植物の状態

    植物としてみた場合は「落花生」を用います。落花生をナッツの一種だと思っている方が多いですが、実はマメ科の一年草です。

 

    落花生は夏に黄色い花が咲いたあと、花の下から糸のような子房柄が伸び土に潜り込み、土の中で膨らんで実が成ります。

    殻つきの状態

 

    畑の落花生に実が成って収穫すると、黄土色の硬い殻に実が包まれています。殻がついたままの状態は、落花生と呼びます。硬い殻を剥いた薄皮つきの状態も落花生と呼ぶことが多いです。

 

    アレルギー食品の表示は、消費者庁によって2019年9月19日付きで「落花生」を「ピーナッツ」と表示できるように改正されました。落花生アレルギーの方は、ピーナッツと表記されている食品も口にしないよう注意してください。

    千葉県の農産物として紹介されるとき

 

    国内の8割近くの落花生/ピーナッツを生産する千葉県では、県の農産物として落花生やピーナッツを紹介するときに「落花生」の名称を使うことが一般的です。

 

 

【千葉の落花生】

国内での落花生作付面積は、ピークであった昭和40年には66,500ヘクタールありましたが、輸入などの影響で徐々に減少し、令和元年には6,330ヘクタールとなりました。現在、国内の落花生流通量は、全体の9割が外国産で、国内産は約1割程度となっています。

国内産の約8割が千葉県で生産されています。

畑でゆっくりと自然乾燥された千葉県産落花生は、味の良さで消費者の強い支持を得ています。

 

【千葉県で栽培されている主な落花生の品種】

現在、千葉県で栽培されている主な品種は次の5品種が中心です。

 

千葉半立(ちばはんだち)

昭和27年千葉県農業試験場で在来品種から選抜育成した品種。

昭和28年本県奨励品種に採用。

草型は半立で、株は横に広がり、晩生で収量性は高くないが、煎豆の食味は独特な風味があり良好。

千葉県作付面積の66パーセントを占めています。(平成29年)

 

ナカテユタカ

「関東8号」と「334A」とを交配し、昭和54年千葉県農業試験場で育成した品種。同年に本県奨励品種に採用。

立性の草型で、開花期から収穫適期まで80日前後の中生、多収、良食味品種。ただし収穫適期を過ぎると子実の品質、食味ともに低下しやすい。子実はやや大きく、充実、色沢や粒揃いが良く、煎豆の食味もあっさりとした甘みがあり良好。

千葉県作付面積の26パーセントを占めています。(平成29年)

 

郷の香(さとのか)

「ナカテユタカ」と「八系192」とを交配し、平成7年に千葉県農業試験場で育成した品種。平成8年に本県奨励品種に採用。

早生の多収品種。草型は立性で、株元に莢が集中する。莢は白くて、熟度が揃う。ゆで落花生に適し、食味は良好。

千葉県作付面積の3パーセントを占めています。(平成29年)

 

おおまさり

「ナカテユタカ」と極大粒品種「ジェンキンスジャンボ」とを交配し、平成18年に千葉県農業総合研究センターで育成した晩生品種。平成22年に品種登録がされた。

子実の重さが一般品種の約2倍と極めて大きい落花生。ゆで落花生に適し、甘みが強くて柔らかく、食味が優れている。

平成21年から一般栽培されています。⇒千葉育成品種「落花生おおまさり」

 

Qなっつ(品種名:千葉P114号)

Qなっつ「郷の香」と「関東96号」を交配し、平成25年に千葉県農林総合研究センターで育成した品種。平成27年に品種登録出願の公表がされた。

やや早生から中生の多収品種。草型は立性で、株元に莢が集中する。莢は白くて、甘みが強く、煎豆に適している。

 

 

今日は何の日

クレーンの日

日本クレーン協会とクレーン・ボイラ安全協会が1980(昭和55)年に制定。

 

交通事故死ゼロを目指す日

日本政府が「生活安心プロジェクト」の一環として2008(平成20)年から実施。

 

 

以下の図書、ホームページを参考、引用しています。

(合本俳句歳時記  第四版  角川学芸出版)

富山いづみ <admin@nnh.to>

(カラー図説  日本大歳時記  講談社)

(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)

( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )

(ウイキペディア)

(575筆まか勢)

(俳句のサロン)

    (一般社団法人日本記念日協会)