「礼服を作ってくれ」こんな注文が入ることがあります。
一般的に「礼服」といえばどのようなスーツを思い浮かべますか?
シングルでもダブルでも真っ黒の生地で作ったスーツ。。。
こんな感じのスーツが正式な冠婚葬祭用の服とイメージされますが実際は違います。
結婚式などで黒のスーツに白いシャツに白いネクタイなんて、国際的に見たら笑いものですし、日本でしかそんなファッションをしていないはずです。
これが、国民服であれば問題ありませんが、黒のスーツが日本国の国民服ではありません。
では、なぜこのような変な礼装になったのでしょうか?
これは、戦後貧しい日本の環境下で、「カインドウェア」(当時の社名は「渡喜」)の第三代目、渡辺国雄さんが普及させました。
『ソシアル産業を拓く 渡辺国雄の歩んだ道』(日本繊維新聞社編集、カインドウェア発行、非売品)の中に、渡辺さんが黒い略礼服を創り、市場を創出し、普及に尽力した過程が率直な言葉で記されています。
これよりもっと前の時代の戦前は、洋装文化が日本に入ってきて上流階級、役人などでは、ちゃんとしたフロックコートやモーニング、または燕尾服を礼服として着ていました。
一般の人でも、ちょっと裕福な方はちゃんとした礼装だったらしいです。
それが、戦後の貧しい時代にでも礼節を重んじる日本国民に気軽に着れるような礼装の普及と言うことで、今にまで浸透するような礼装文化になったのだと思います。
しかし、今はもう2023年で戦後から78年になります。
ここ数年は国際交流も出来なかったですが、これからは国際的な視点も持たなければいけないですし、隣に外国人ということも珍しくありません。
なので着る着ないは別として正しいフォーマルを知っておくべきです。
その正しいフォーマルは何十年も変化ありませんし、これからのさほど変か無いと思います。
知識として入れておきましょう。
これを見れば一発解決なんですが、こちらは「正礼装」
そもそも正しい礼装(フォーマル)も「正礼装」と「準礼装」とあります。
立場や招待されるレベルで変わります。
「正礼装」は一般的な方には必要無いと思いますが、「準礼装」は一般的です。
もう、何年も前からこの礼服文化問題をさまざまなところで語られていますが、まだまだ日本人の多くに浸透していません。
確かに、着る必要が無いのであれば知る必要も無いし、滅多と着る機会が無いのであれば保有しておくことも無駄になるというもの理解できます。
なので、略式の黒スーツがこのまま「礼服」となる文化はこれからも続くと思うのですが、本当は違うんだと言うことだけ意識していただき、結婚式では白ネクタイなどをやめましょう。