自動車税担当者殿
冠省
自動車税の公益減免についてお再びお尋ねします。
当職は特定行政書士をやっております。当職の業務上必要がありますので、○○県における自動車税の減免について、当職の質問に対し回答を求めます・
1 ○○県税条例○○条の規定ぶり
○○県の県税条例○○条のいわゆる自動車税の公益減免に関し「公益のため直接使用する自動車」に対して減免する旨規定しています。
このように、この条例では、『公益のために直接使用する自動車に着目して、この自動車の所有者(考えを簡潔に整理するために、ここでは「所有者」とする。)に対して自動車税の減免をする』趣旨だと考えられます。ところが、同条例施行規則には、こういった『条例の趣旨』は捨象され、自動車の所有者が公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人であれば、公益減免が認められるかのような規定ぶりです。当該条例は、自動車の所有者の有り様を問うているのではなく、自動車の使われ方を問うているのではないでしょうか。
2 「公益」とは~主体の公益性と客体の使われ方の公益性~
一部の例外を除けば自動車税は、自動車の所有者に課税されます。そこで、その所有者が社会福祉法人であれば自動車税が減免されるのは何故でしょう。社会福祉法人は社会福祉事業をするでしょう。だってそのために設立するのですから。つまり、福井県税条例施行規則は社会福祉事業を公益の一態様としています。すなわち、自動車税の公益減免における「公益」を考える上での手がかりを与えてくれていると考えられます。福祉事業=公益という図式です。
このことを○○県の県税条例○○条に当てはめて考えてみます。
社会福祉法人が所有する自動車の自動車税について、これが減免の対象となるのは、社会福祉法人が所有する自動車であるから公益減免されるのではなく、むしろ、当該自動車が「公益」(=社会福祉事業。異論はあるかもしれないが、物事を簡潔に考えるため、ここでは、あえてこのように考えておく。)に直接使用されているからではないでしょうか。誤解を恐れずに述べるなら、そういう自動車がたまたま社会福祉法人の所有だった、とは考えられないでしょうか。
3 社会福祉事業とは
社会福祉事業を行っている者は、何も社会福祉法人に限られてはいません。社会福祉法には、次のように社会福祉事業が定義されています。
社会福祉法
(定義)
第二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
2 次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。
一 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業
二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業
三 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
四 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)に規定する障害者支援施設を経営する事業
五 削除
六 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)に規定する婦人保護施設を経営する事業
七 授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業
3 次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
一 生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業
一の二 生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号)に規定する認定生活困窮者就労訓練事業
二 児童福祉法に規定する障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、小規模保育事業、病児保育事業又は子育て援助活動支援事業、同法に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設又は児童家庭支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業
二の二 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に規定する幼保連携型認定こども園を経営する事業
二の三 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成二十八年法律第百十号)に規定する養子縁組あっせん事業
三 母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)に規定する母子家庭日常生活支援事業、父子家庭日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業及び同法に規定する母子・父子福祉施設を経営する事業
四 老人福祉法に規定する老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業又は複合型サービス福祉事業及び同法に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター又は老人介護支援センターを経営する事業
四の二 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定相談支援事業又は移動支援事業及び同法に規定する地域活動支援センター又は福祉ホームを経営する事業
五 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)に規定する身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業又は介助犬訓練事業若しくは聴導犬訓練事業、同法に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設又は視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業
六 知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)に規定する知的障害者の更生相談に応ずる事業
七 削除
八 生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業
九 生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業
十 生計困難者に対して、無料又は低額な費用で介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に規定する介護老人保健施設又は介護医療院を利用させる事業
十一 隣保事業(隣保館等の施設を設け、無料又は低額な料金でこれを利用させることその他その近隣地域における住民の生活の改善及び向上を図るための各種の事業を行うものをいう。)
十二 福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(前項各号及び前各号の事業において提供されるものに限る。以下この号において同じ。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)
十三 前項各号及び前各号の事業に関する連絡又は助成を行う事業
4 この法律における「社会福祉事業」には、次に掲げる事業は、含まれないものとする。
一 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に規定する更生保護事業(以下「更生保護事業」という。)
二 実施期間が六月(前項第十三号に掲げる事業にあっては、三月)を超えない事業
三 社団又は組合の行う事業であって、社員又は組合員のためにするもの
四 第二項各号及び前項第一号から第九号までに掲げる事業であって、常時保護を受ける者が、入所させて保護を行うものにあっては五人、その他のものにあっては二十人(政令で定めるものにあつては、十人)に満たないもの
五 前項第十三号に掲げる事業のうち、社会福祉事業の助成を行うものであつて、助成の金額が毎年度五百万円に満たないもの又は助成を受ける社会福祉事業の数が毎年度五十に満たないもの
4 結語
社会福祉法第2条第1項から第3項のすべての事業が、○○県税条例に規定する「公益」に該当するとは私も思っていません。しかし、逆に○○県税条例の公益減免の条項の趣旨から漏れている事業者が存在するとしたらどうでしょう。私は、この点を問うています。繰り返しますが、条例を解釈すれば公益に直接自動車を使用する者から漏れているものはありませんか、と私はお尋ねしているのです。
他府県の状況を聞いているのではありません。○○県の税条例に該当するにもかかわらず、それを条例施行規則で狭めてしまってよいものでしょうか。
つまり、自動車税の公益減免については、減免の対象となる自動車が、直接公益に使用されているかどうかを審査するのであって、条例の条文上は、当該自動車の所有者が社会福祉法人云々であるかどうかは、関係ありません。社会福祉法人だから「公益」に該当するものではなく、その社会福祉法人が「公益」事業に自動車使用している、とは考えられませんか。減免の対象となる自動車の所有者が社会福祉法人でなければならないわけではありません。この点において、社会福祉法人ではなくても、つまり、個人であっても、自己の所有する自動車が第二種社会福祉事業に専ら直接に公益のためにこれを使用する場合、当該自動車につき減免の対象となる余地があると私は思います。