年始特別再掲載! インドのカレーのルーツの話 | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

年始特別再掲載! インドのカレーのルーツの話

昨年は定期的に長文ブログを書くように心がけていたんですよね!!

 

とはいえ、

 

ブログは読み飛ばされてしまうメディアなので、

 

タイミングが合わないと、多くの人に届かなかったりするもの。

 

年始という昨年を振り返るのにGOODなタイミングなので、

 

個人的に好きだったエントリーを再掲載してみようかと思います。

 

年始のお暇な時間に読んでみてください!!

 

今回は“インドのカレーのルーツの話”でーーす♪♪

 

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カレー。

 

日本では日常的に食べられているのでカレーは世界中の様々な国で

 

頻繁に食べられていると勘違いしそうになってしまいますが

 

実はカレーを日常的に食べているのはインドとインド周辺国、

 

インドを支配していたイギリス、

 

そしてインド人移民の歴史がある地域に限られていまして

※南米スリナム共和国、ジャマイカ、南アフリカ、フィジー諸島など

 

インドと歴史的な関わりがないにも関わらず、

 

こんなにもカレーを食べる国というのは日本くらいなんですね!!

 

 

もちろんインド料理は様々な国でレストラン料理として食べられていますが

 

あくまでも外国料理の1つという認識。

 

日本のようにここまで頻繁に食べる国というのは

 

世界的に見ると少数なのでした。

 


さて、どうして日本でここまでカレーが食べられるようになったのか?は

 

改めて書きたいと思いますが、

 

ここではカレーのルーツのお話を。

 


日本のカレーは『インド→イギリス→日本』と

 

イギリス経由の西洋料理として入ってきたのですが、

 

イギリスのカレーのルーツは言わずもがなインド。

 

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では、

 

インドでは一体いつからカレーのような料理があるのでしょうか??

 

歴史を知るには記録が重要になってきますが、

 

実は、実は、肝心のこの“記録”がないのですね。。。

 

 

カレーに関する様々な本を読みあさっても、

 

この重要な記録を記したものに出会えず、、

 

英字で追いかけても核心に迫る情報に未だ遭遇できず・・。

 

 


そんな中、最も信頼できる記録として重宝しているのが、

 

日本における南インド史研究の第一人者、

 

東大名誉教授の辛島昇先生が

 

「インド・カレー紀行」などでも紹介している記録。

http://books.rakuten.co.jp/rb/6100808/

 

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辛島先生はカレーと呼べる食べ物の構成要素に

 

「クミン、コリアンダー、ターメリック、コショウ、マスタード」を挙げ、

 

これらが入ったカレーと呼ぶにふさわしい食べ物が、

 

9世紀の南インドの寺院の刻文(碑文)にあることを

 

突き止めているんですよね!!!

 

※画像は参考画像。本文とは関係ありません。

 

 

大事な情報なので詳しく書くと、

 

その刻文はインド半島の南端に近いアンバーサムドラム村と

 

ティルッチェンドゥール村の

 

それぞれのシヴァ寺院とスブラマニア寺院のもので、

 

神様にさしあげる食事を記したもの。

 

 

そこではまず、そのままの形でそなえられるものとして、

 

ギー、ヨーグルト、バナナ、ジャガリーがあげられ、

 

それに加え調理したいくつかの野菜料理があるとのこと。

 

野菜料理にはカーイ・カリ(生野菜)、

 

プリン・カリ(タマリンドで調味された野菜)、プリュック・カリ(ゆでた野菜)、

 

ポリ・カリ(炒めた野菜)があり【※ここでのKariは野菜という意味】、

 

それらの料理との関係はよくわからないそうなのですが、

 

クートゥと呼ばれる料理があって、そのクートゥは

 

ヨーグルト(タイル)とカーヤムという調味料で作られる、

 

と書かれているんですね。

 


そして、そのカーヤムという調味料の組成も書かれていまして、

 

それこそがミラフ(コショウ)、マンジャル(ターメリック)、ジーラハ(クミン)、

 

シル・カドゥフ(マスタード)、コーッタンバリ(コリアンダー)の

 

5つだったのであります。

 

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9世紀の刻文にこの5つスパイスが野菜料理の調味料として出てくることは

 

南インドでは今日のカレーの原形が

 

この時点で出来上がっていることを示しているわけで、

 

これにより9世紀の南インドにカレーが存在したことは確実である、

 

と辛島先生は結論付けているのであります。

 

 

一度、先生にお会いする機会があったので、

 

9世紀以前のインドにカレーのような料理は存在したのか?という

 

素朴な疑問をぶつけてみたのですが、

 

「あったかもしれませんが、記録がないので、そこはよくわかりません」

 

との学者さんらしい答えが返ってきて、

 

決定的な回答は得られなかったのでした。

 


では9世紀以前の記録はないのか?探してみると、

 

それに近いものをリジー・コリンガム著

 

「インドカレー伝(原題Curry a biography)」で見つけることができました。

http://books.rakuten.co.jp/rb/4234800/

 

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バグダッドの統治者(カリフ)たちのもとで発達した

 

ペルシア料理の話なのですが、

 

バグダッドの統治者(カリフ)たちは8世紀から10世紀の間の全盛期に

 

厨房に多大な投資をして様々な料理を大いに楽しんだようなんです。

(過食死したカリフもいたそうな)

 

当時のバグダッドにはトルコ、アラビア、エジプト、

 

イスラム世界各地の料理人が集まり、それぞれの地域の料理を

 

宮廷料理のレパートリーに組み入れたようなのですが、

 

713年にはインドの料理人がアラブ人に征服された

 

シンド(現パキスタン南部)からやって来た!という記録がありまして、

※パキスタンもかつてはインドの一部でした

 

それによると、

 

「インドの料理人たちは信用がおけて創意に富むことと、とびきり香辛料の効いた料理をつくることで知られていた」

 

と書かれており、

 

“とびきり香辛料の効いた料理”を“カレー”と解釈するのは、

 

やや強引かもしれませんが、

 

カレーに近い料理が713年(8世紀)には

 

インドにはあったと考えてもおかしくないのではないでしょうか。

 

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さらに強引にさかのぼると、カレーのような料理か?は

 

さらに曖昧になってきますが、5世紀までさかのぼることができます。

 

それは5世紀ごろに仏教徒たちが著した

 

スリランカの歴史書「大史」に書かれているもので、

 

その中で北インドから来島したヴィジャヤ王子とその従者たちが、

 

「スーパ」とともにご飯をたべたことが記されていまして、

 

スーパは「大史」の日本語訳では「カレー」、

 

英語訳では「コンディメンツ」なんだそうです。

 

 

サンスクリット語の辞書によるとスーパとは

 

「種子その他のものを刻んだり、つぶしたりして作ったソース、スープ」

 

などを意味するそうで、カレーとは断言できないものの、

 

これまたカレーに近いイメージが伝わってくるのではないかと。
 

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さて、話を辛島先生による9世紀の南インドの刻文に戻すと、

 

料理の組成に

 

「クミン、コリアンダー、ターメリック、コショウ、マスタード」の

 

5つを挙げていましたが、

 

どのスパイスが入っていればカレーと呼べるのか?

 

個人的には最低限でも

 

クミン、コリアンダー、ターメリックが入っていて欲しいところですが、

 

スパイスが1つでも入っていればカレーに近いのでは?

 

との見解で見てみると、見えてくる景色はさらに変わってきます。

 


インド・ハリヤーナー州、ガッガル川流域遺跡群にある

 

ファルマーナー遺跡では、

 

日本の調査隊により約4500年前の人骨歯石から

 

ターメリックとジンジャーが見つかり、

 

最古のカレーの痕跡では?との指摘もあるんですよね!!!

http://nagoyakochan.cafe.coocan.jp/CB/CB131217indasbunmei.html

 

 

そして、ほぼ、このエントリーを書き終えたところで、

 

さらに興味深い情報をGET!!!!

 

1989年に初版が出たカレー本の名著

 

「カレーライスと日本人」(森枝卓士著)の2015年版文庫には

http://books.rakuten.co.jp/rb/13324270/

 

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巻末に新たなあとがきがあって、

 

そこに貴重な古代インドの食文化の情報が載っていたのであります!!

 

「Food & Drinks in Ancient India by Om Prakash」

「Indian Food :A Historical Compnion by K.T.Achaya」によると、

 

アーリヤ系やドラビダ系の人々が住み着く前にいた

 

アウストロアジア系の人々にスパイスを使った痕跡があるんだとか。

 

ドラビダ系がインドに入るのが紀元前3500年のあたりであり、

 

それよりも前ということになります。

 

そこで登場するスパイスがターメリック、ショウガ、マスタード。

 

カレーのような料理に使っていたかは不明ですが、

 

ファルマーナー遺跡で見つかった約4500年前の人骨歯石にも

 

ターメリックとショウガがあったように、

 

やはり、古代インドではターメリックとショウガは

 

料理用かは不明なものの、食されていたことは間違いないようです。

 

 

また、バラモン級の聖典「リグ・ヴェーダ」が編纂された

 

紀元前1200年頃にはターメリック、フェネグリーク、ショウガやニンニクが

 

すでに栽培され、料理にも使われていたとのこと。

 

胡椒やカルダモンも南インドでの栽培が確認されているようなんですね!

 

多くの資料を目にしてきた森枝氏によると、

 

「現在でも多数いる、ドラビダ系の人々が定着して、おそらく3000~4000年前には稲作をして、スパイスを石うすか乳鉢ですりつぶし、カレーのような料理を作るようになっていたことはまちがいないように思われる。」

 

とカレーのルーツを独自に分析されています。

 

これは、めちゃくちゃ興味深い考察ですね!!!!!!!!!

 

 

 

この情報でテンションが上がり、

 

検索ワードを変え、再び英語で調べまくってみたのですが、

 

ついに、有益な情報にリーチ!!!http://www.slate.com/articles/life/food/2013/01/indus_civilization_food_how_scientists_are_figuring_out_what_curry_was_like.html

※Googleの翻訳機能で十分読めるのでぜひ。

 

人の歯からだけでなく、

 

古代ファルマーナーの町から調理用の鍋を集め調べたというのが

 

とても興味深く、上記の情報同様に

 

ターメリック、ショウガを発見しているので、

 

インダス文明の時期にカレーのような

 

スパイス入りの食べ物は食していたのは、間違いないのかなぁー、と。

 

ってか、

 

リーチしやすいワードを発見したので、

 

ここにきて英語での参考記事にいろいろたどり着けるようになりました!!

 

時間がある時に、改めてまとめてみようと思います。

 

 

そうそう!

 

調べていると、

 

以下のような英文説明があって、ちょっとスッキリしました。

 

『古代文明ではスパイスやハーブの使用を薬用目的と料理などの香りづけとの区別をせず、スパイスやハーブは徐々に調味料としてスタンダードになっていった。』

http://www.mccormickscienceinstitute.com/resources/history-of-spices

 

カレーをはじめとするスパイス料理。

 

外国人の私たちから見ると特殊な料理に感じられますが

 

それらが当たり前に存在していた土地では

 

決して特別なものではなく、日常的な食材の1つ。

 

記録に残す必要性が全くなかったのでしょうね、きっと。

 

 

 

実は、カレーのルーツは

 

辛島先生の9世紀の碑文の情報が最も確実な情報なので

 

おそらく、やはり、9世紀あたりではないだろうか・・・、

 

という受け止め方をしていたんですよね。

 

今回いろいろ調べたおかげで、

 

だいぶ時代をさかのぼり、インダス文明にはあったであろう!!!!

 

と、自信をもって思えるようになったのは、

 

ものすごい収穫となりました!!!!!!!!

 

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

スパイシ~~♪♪♪

 

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