年始特別再掲載! どうして神保町はカレーの街? | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

年始特別再掲載! どうして神保町はカレーの街?

昨年は定期的に長文ブログを書くように心がけていたんですよね!!

 

とはいえ、

 

ブログは読み飛ばされてしまうメディアなので、

 

タイミングが合わないと、多くの人に届かなかったりするもの。

 

年始という昨年を振り返るのにGOODなタイミングなので、

 

個人的に好きだったエントリーを再掲載してみようかと思います。

 

年始のお暇な時間に読んでみてください!!

 

今回は“どうして神保町はカレーの街?”でーーす♪♪

 

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神保町周辺はどうしてカレー店が密集する

 

東京屈指のカレーエリアになったのか???

 

この辺のお話しは、ブログでもたまに書いていますが、

 

最も有力な説が「本の街だから説」。

 

古書店が集まる神保町。

“スプーン一本で食せるカレーは片手が空くので本を読みながらでも食べられる。”

本を買いにきた人たちが、買ったあとの本を読みながら

 

食べるのに適していたのがカレーライスで、

 

なので、カレーを出すお店が増えて今に至る!!!

 

というのが「本の街だから説」になります。


むむむ。。。

別にカレーじゃなくても読みながら食べることは可能だし、

 

ラーメン店や定食屋さんに漫画がたくさん置いてあるように

 

本(や漫画)を読みながらラーメンや定食を食べる人は

 

実際、たくさんいるので、少々説得力に欠けると思うんですよね。

 


こんな解釈はどうかなぁー、と

 

数年前にスパイシーさんが考えたのが以下の説。

 

「そもそも神保町は古書の街。数多くの古書の中から自分好みのレアな本を探すというのは文学青年の中でも変わったタイプの人だと思われ、経験的にカレー好きに変わった人が多い、ってこともあり、古書に魅せられる人たちの感性とスパイスの香りと刺激が実はシンクロするような気が。
 

ちょっと変わった文学青年はラーメンや蕎麦よりもカレーが好きだ!!!そして、カレーはカレーでも一捻りあるカレーの方が刺激的でもっと好きだ!!!ってことで刺激的なカレーを出すお店は繁盛するようになりさらにそれを上回る刺激的なカレー屋さんが少しずつオープンして、気づけば他の街にはないレアなカレーカルチャーが誕生したのではないか??と。
神保町に集まる人々の感性がカレータウン神保町を作り上げたのではないか??と勢いで勝手に仮説を立ててみましたがいかがでしょう(笑)??」


これは、これで面白いし、ある程度は的を得ているんじゃないか?

 

とも思うのですが、

 

そもそもどうしてカレーなのか??

 

その根本が説明できていないのでモンモンとしていたのですが

 

神保町のカレーの歴史を紐解いていくと

 

少しずつスッキリしてきたんですよね!!!!

 

 

どうして、神保町にはカレー店が多いのか??

しかも、一ひねりあるカレーを提供するお店が多いのか??

おそらく、それは、

 

カレータウン神保町の顔でもある、

 

名店「共栄堂」が、今から94年も前から(1923年、大正13年)

 

黒くてシャバシャバな、スマトラカレーなる

 

摩訶不思議なカレーを出していたからではないかと!!!!

 

 

戦前の94年前から、一般的なカレーとは趣が違う、

 

シャバシャバ黒カレーが提供され人気を博していた!!

 

そんな下地があったからこそ、

 

一ひねりあるカレーに興味がある人たちが

 

すでに神保町に一定数いたわけで、

 

だからこそ、神保町を行き交う人々はカレーに敏感に反応していき

 

例えば、初めて欧風カレーと謳った

 

ボンディのカレーなんかも、

 

すんなり受け入れていったのではないかと!!

 

 

いやー、そうじゃないのかなー。

 

いやいや、考えれば考えるほど、そうだと思ってきたなぁ!!!

 

 

はいっ、

 

長い前フリでしたが(笑)

 

 

そんなことを考えていたらむしょうに行きたくなったので、

 

久しぶりに共栄堂に向かってみました!!!!!

 

 

真っ黒いシャバシャバな共栄堂のカレー。

 

そもそも、

 

この摩訶不思議な“スマトラカレー”はどんな経緯で生まれたのか?

 

実はメニューブックにしっかりと書かれているんですよね。

 

 

「明治の末、行き詰まった日本から脱出して南方雄飛を志した長野県伊那の伊藤友次郎は、広く東南アジアに遊び知見を広めて、南洋年鑑を著すなど、南方の風俗の紹介、通商貿易に大いに貢献しました。彼の地の風物を愛した氏は、大正の末、京橋南槙町、今の東京駅近くに「カフェ南国」という、当時としては斬新な、カレー・コーヒーの店を開きましたが、関東大震災のため瓦解しました。 氏よりスマトラ島のカレーの作り方を教わり、私どもの口に合う様アレンジしたものが、共栄堂のカレーでございます。さまざまな材料の味、スパイスの風味をソースにとかしこみながら、さらっと仕上げるのが当店の特徴でございます。 私どもの先祖のルーツの一つ、東南アジアに思いをはせながらご賞味いただければ幸せでございます。」

 

はいっ、

 

長野県出身の南洋研究家、伊藤友次郎氏が東南アジアに渡り

 

氏がスマトラ島で覚えたであろうカレーがルーツ。

 

実は、共栄堂の初代店主が考案したものではないのであります!

 

創業時は洋食屋としてスタートしたようですが、

 

カレーのメニューは最初から。

 

初代店主が、友次郎氏から作り方を教わり

 

日本人に合う様アレンジをしたのが共栄堂のスマトラカレーで

 

昭和50年にはカレー専門店にして今日にいたるんだとか。

 

 

メニューブックには

 

ポーク、チキン、エビ、ビーフ、タン、と並びますが

 

共栄堂のカレーを楽しむには“ソース大盛り"が基本なので

 

エビやビーフは1650円とけっこうハードルが高いんですよね。。。

 

ってことで、

 

なんだかんだ共栄堂ではいつもオーダーする、

 

ポークのソース大盛り(1150円)にしてみました!!!

 

 

オーダーするとすぐやってくるのがポークカレー。

 

1分ほどで器に盛られ、到着でーーーす!!!!!!

 

 

漆黒に輝くスマトラカレー。

 

久しぶりに食べるので楽しみだなぁ!!!!!!!!
 

 

白いお皿に盛られたライスにドバっとかけて

 

さっそく、いただきまーーーす!!

 

 

イエッス!!これ!これ!!


ほんのりビターな不思議なスパイス感に包まれた

スパイシーで香ばしい味わい。

共栄堂のカレーはやっぱり旨いなぁ~~♪♪♪♪


インド料理を含めいろんなタイプのカレーを作っていると

お店で食べるカレーも、食べていると香りの構成が見えてくるので、

再現するためのスパイスの配合がだいたいわかってくるのですが

改めて向き合ってみたけど、

共栄堂のスパイス構成は、いやー、わからないっすね(苦笑)


それほど難しいスパイスを使ってるわけではないと思うのですが

香ばしさと苦味のギリギリのところまだローストしてるので

通常の香りとは違う香ばしさを伴った香りに変化しているのかと。

 

 

以前、雑誌の撮影時に

今のご主人にお話を聞く機会があったのですが

いまでもスパイスはお店でじっくりローストしてるんだそうですね。


で、このロースト加減が本当に難しく、

うまくいかない時もあるって言ってましてビックリ!!!!


何というか、

インド料理作りでのスパイスのローストっていうのは

日本語に訳すと「乾煎り」って感じなのですが

共栄堂のローストはコーヒーの「焙煎」に近いというか

インド料理的スタンスで見ると、

 

正直、やりすぎちゃっていると思うのです!!!

 

 

ここからは勝手な妄想です。

 

スパイシーさんが思うに、伊藤友次郎氏が

 

スマトラ島でカレーの作り方を教わった時

現地の人に「最初にスパイスをローストするんだよ!」

 

と、教えてもらったものの、

日本人はスパイスをローストなんてしたことないから

加減がわからず、

 

コーヒーの焙煎くらいまでローストしちゃったのではないかと。


しかし、その焙煎加減が奇跡的に絶妙で、美味しく完成!!

それが正解だと思い込んでしまい、

 

以後、レシピも受け継がれていったんじゃないのかなぁー。


※繰り返しますが、あくまでも勝手な妄想です。


さて、スマトラ島ではありませんが、

 

ローストしたスパイスを使って黒っぽいカレーを作るのは

 

スリランカのカレー作りではポピュラーな手法。

 

むしろスリランカ以外で

 

そのようなカレーを作るスタイルが存在するのを知りません。

 

スリランカの真上にある南インドですら

 

ローストスパイスを使った黒いグレービーのカレーは

 

“ない”と思われるのです。

(インドは多様な文化が融合する国。もしかするとどこかに存在するかもしれないので断言は避けておきます)

 


では、実際、

 

スマトラ島でそのような作り方が存在するのでしょうか??

 

英語で丁寧に調べてみると

 

スマトラ島のカレーはインドのカレーの作り方に近く、

 

違いを挙げると

 

東南アジアらしいレモングラスを入れるところだと思いました。

 

 

スマトラ島のスリランカコミュニティー情報は

 

踏ん張って調べたものの得られませんでしたが、

 

南インドがルーツのタミル人のコミュニティーはあるようです。

 

なので、やはり、氏が作り方を教わったのは

 

インドのタミル人がルーツのレシピだと思われ、

 

繰り返すようですが、最初のスパイスのローストの工程を

 

コーヒーのロースト的な“焙煎”と勘違いしたことが

 

誕生のきっかけだと思うんですよね!!!!

 


せっかくなので伊藤友治郎氏をもっと調べてみました!!

 

氏は明治の末に

 

満州、朝鮮、シンガポールで日本語新聞を発行

 

昭和の初めまで民の立場から南洋を紹介して、

 

南洋向けの人材育成に尽くした人物だったとのこと。

 

シンガポールには3年ほどいたようですが、

 

そのシンガポールを調べてみると

 

シンガポールにはスリランカ人のコミュニティーがあるようです。

 

強引に考えると、南洋を渡り歩きながら覚えた

 

カレーのレパートリーの1つがローストスパイスのカレーで、

 

どこかでスリランカ人に教えてもらったものが、

 

いつの間にかスマトラカレーという言葉に着地した!!

 

という可能性もあるのかもしれませんが・・

やはり、“勘違い焙煎”説が濃厚だと思うなぁー。


その真相は天国にいる本人しかわからないところですが、

 

いずれにせよ、

 

当時、洋食スタイルのカレーしかなかった日本において、

 

インドカレーに近いスタイルで提供されたスマトラカレーは、

 

間違いなく異質であり、

 

中村屋が日本初のインドカレーを出す前に、

 

このようなカレーが販売され

 

そして受け入れられた神保町という町は

 

やはり、カレー指数のポテンシャルが

 

当時から際立っていたのではないでしょうか!!!!!!

 


で、

冒頭に書いたとおり、

戦前から神保町にはスマトラカレーなる

黒くて香ばしい不思議なカレーがあり、

その強力かつ強烈な下地があったからそこ、

欧風カレーなる斬新なネーミングのボンディが受け入れられ

パンチある旨味で攻める“まんてん”が人気を博し、

一捻りある、個性的なカレー店が受け入れられ

神保町には、他エリアにはない、

独自のカレーカルチャーが生まれていったと思うんですよねー。
 

 

伊藤友次郎氏。

 

氏が手掛けた東南アジアの様子をまとめた

 

「南洋年鑑」は現在も買うことができますが、

 

その歴史的価値から、お値段12万円とのこと!!!!

http://www.ryuukei.co.jp/sinkan/nanyounenkan.pdf

 

 

ですが、なんと!

 

調べてみると、国立図書館のデジタル版で

 

無料で見ることが可能!!ということがわかりました!!!

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950487

http://dl.ndl.go.jp/search/searchResult?featureCode=all&searchWord=%E5%8D%97%E6%B4%8B%E5%B9%B4%E9%91%91&viewRestricted=0

 

旅行記ではなく、資料をまとめたものなので

 

読むのにかなりの労力が必要とされますが、

 

興味のある方はぜひ、読んでみてください。

 

 

全ての神保町のカレーは共栄堂に通じる!!!!!

(と思われる・・)

 

スマトラカレーを考案した

 

伊藤友次郎氏に思いをはせ、

 

このエントリーを終えたいと思います。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

スパイシ~~♪♪♪

 

 

共栄堂
東京都千代田区神田神保町1-6神保町サンビルディング B1
03-3291-1475
[月~土]
11:00~20:00(L.O.19:45)
日曜日(祝日は不定休)
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13000596/

 

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