2000年前のインド料理 チャラカの食卓! | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

2000年前のインド料理 チャラカの食卓!

以前、ブログに書いた「インドのカレーのルーツ」の話。
 
長らく9世紀説を支持していましたが、

 

ブログアップに向けていろいろ調べたおかげで、

 

約4500年前のインダス文明にはあったであろう!!!
 
という結論に至ったのでした!!!!!
 
※9世紀、8世紀、5世紀、インダス文明期の情報をまとめています。詳しくはこちら→https://ameblo.jp/maruyamashu/entry-12267059431.html

 

 
4500年前のインダス文明期のカレーに使われていたスパイスは
 
ターメリックとショウガ。
 
3500年前のアウストロアジア系の人々が使っていたのは
 
ターメリック、ショウガ、マスタード。
 
紀元前1200年頃には
 
ターメリック、フェネグリーク、ショウガやニンニクが栽培され
 
料理にも使われていた!!と、そこまではわかったのですが、
 
それ以降は・・
 
残っている記録が少ないため、
 
例えば8世紀の記録の
 
「インドの料理人たちは信用がおけて創意に富むことと、とびきり香辛料の効いた料理をつくることで知られていた」
 
というような、
 
ざっくりとした情報しか見つけられなかったんですよね。。。
 
 
ようやくスパイスがしっかり登場するのが
 
南インドで見つかった9世紀の刻文による記録。
 
クミン、コリアンダー、ターメリック、コショウ、マスタードが
 
使われていたようです!!!
 
 
おそらく、9世紀よりもっと早い時期から、
 
同様のスパイスたちが使われていたと思うのですが、
 
いかんせん、記録が残っていいないため断言が出来ず、
 
これ以上は無理かなぁ・・、と思っていたら、
 
日本語で書かれた、
 
ものすごい本があるってことを知りビックリ!!!!!!!!!
 
 
それが、こちら、
 
伊藤武・香取薫著
 
「チャラカの食卓 二千年前のインド料理」になります!!!!!

 

 
インドやヨーガに関する書籍を数多く出版されている
 
インド研究家の伊藤武先生と、
 
インド料理、スリランカ料理好きにはおなじみ、
 
インド・スパイス料理研究家の香取薫先生という、
 
凄いお二方がタッグを組み、
 
2000年前のインド料理を紹介する!!!!
 
という、衝撃の内容なのであります!!!!!!!!
 
 
 
“チャラカサンヒター(チャラカ本集)”という
 
2000年前に書かれた
 
アーユルヴェーダ(インド医学)の医学書がありまして、
(北西インドのタキシラを中心とするアートレーヤ学派の医学)
 
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なんと!なんと!
 
1巻27章には、
 
当時の食材や料理に関するトピックで占められていて
 
250~285節には当時の料理のリストもあるんだとか!!!!
 
 
えっ、え~~~~~~~~っ!!!!!!!
 
アーユルヴェーダ文献に
 
そんな貴重な情報が細かく載っているとは!!!!!!!!
 
アーユルヴェーダは全く通過していないので、
 
全然知らなかったなぁ・・・。。。。
 
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まず、整理しておくとチャラカ本集の原形は
 
アグニヴェーシャによって作られたものとされていて
(この辺はスパイシーさんも全くわかりません。。)
 
時代は約3000年前の叙事詩時代(ヴェーダ時代)になるそうです。
 
しかし、チャラカによって改定され、
 
おおよそ完成したのが、西暦1~2世紀頃とする説が
 
今日、有力となっているようです。
 
これにより、チャラカ本集が書かれたのが
 
“2000年前”とされているのであります!!!!
 
※「されています」「そうです」「有力になっています」という言葉がたくさん出てくることからわかるように、その成立年というのが曖昧なのです。2000年前というの数字も、もしかすると誤差があるのかもしれません(大昔の文献であることは間違いないです)。それもあってか、アーユルヴェーダ文献はスパイスの歴史などの英文解説でも積極的に引用されていないように感じています。不勉強なため歴史学におけるアーユルヴェーダ文献の立ち位置というのがいまいちよくわかっていなく・・、ここがスッキリすると、もう少し説得力をもって書けるのですが・・。
 
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さて、この本は著者の伊藤武先生が
 
チャラカ本集(サンヒター)をながめていると、
 
東インドやネパールには
 
その面影が残っている料理がけっこうあることに気づき、
 
もしかすると再現出来るのではないだろうか????
 
と、思い立ったところからスタート。
 
料理家の香取薫先生に白羽の矢が立ち、
 
香取先生が、試行錯誤の末、
 
ついに再現することに成功したんだそうです!!!!!!!
 
 
 
それでは、そんな奇跡の本、
 
「チャラカの食卓 二千年前のインド料理」に書かれていた
 
衝撃の内容の一部を紹介してみましょう!!!
 
まず、このプロジェクトで再現した料理以下になります。
 
~飲み物~
・ラサーラー(マドゥパルカ)
・お酒各種(こちらはレシピのみ)
~ご飯もの~
・ペーヤー(サラサラとした米のツブ粥)
・ラージャペーヤー(生米を炒ってから炊いたツブ粥)
・ヴィレーピー(ボテッと濃厚なアラビキ粥)
・ラージャマンダ(米の炒り粉でつくるコナ粥)
・ダーナー・キッチャーッチー(炒り米でつくる混ぜ粥)
・クシーラウダナ(乳粥)
~カレー~
・クックタユーシャ(鶏の醍醐煮)
・マツィヤラ(魚カレー)二種
・アムリカースーパ(野菜の酸味スープ)
~軽食/お菓子~
・サクトゥ(はったい粉のダンゴ)
・シャシュクリー(米粉ドーナツ)
・モーダガ(歓喜団)
・マドゥクローダ(乳菓子の蜜漬)
~チャトニ~
・ラーガシャーダヴァ(マンゴーの甘煮)
~その他~
・シンダキー(発酵性の液体調味料)
・アースタ(薬味入り水飯)
・カーラームラ(おしんこ)
・マヤカルカ(魔法のソース)
 
 
それぞれの料理の詳細は
 
本を購入してじっくりと読んでいただきたいのですが、
 
今のインド料理に繋がる料理たちが
 
この時代にすでにあった!!というのがわかりますよね!!!
 
 
 
そして、
 
このブログで取り上げたいのは、やはり古代インドのカレー!!!
 
まとめると、こんな感じになります。
 
◆クックタユーシャ(鶏の醍醐煮)
→西インドのジャイプールで香取先生が習った料理にそっくりなんだとか!材料は鶏肉、ギー、長胡椒、ブラックペッパー、水といったところ。
 
◆マツィヤラ(魚カレー)その1
→タマリンドでチャトニを作り、それをまぶして火を通した料理。魚、タマリンド、マスタードオイル、砂糖、スパイスはパンチホロン。東インドではこのタイプの魚カレーが今も作られているんだとか。
 
◆マツィヤラ(魚カレー)その2
→マスタードを水でふやかしペーストにしたもの、マスタードオイル、パンチホロン、ブラックペッパーパウダー、フェンネルパウダー、クミンパウダーで仕上げた料理。これも東インドのベンガルエリアの魚のマスタード煮に似てますね。

◆アムリカースーパ(野菜の酸味スープ)
→香取先生曰く、オリッサ州のマニアックな郷土料理アミラーのルーツといえる料理なんだとか。野菜いろいろ、玉ねぎ、にんにく、タマリンド、砂糖などが材料で、ベサンでトロミをつけるようです。スパイスはブラックペッパー、ヒング、マスタードシード。南インドのサンバルの起源でもあるようですね。
 
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再現された古代カレーで使われているスパイスはブラックペッパー、
 
マスタード、フェンネル、クミン、ヒング、長胡椒(ヒハツ)などですが、
 
『チャラカ本集』と
 
同時代に原形が成立したとされる『カウティリヤ実利論』によると
 
他にも以下のスパイスが使われていたようです。
 
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※こちらは参考画像です。記事の内容とリンクはしていません。
 
◆チャラカ本集→長胡椒(ヒハツ)、胡椒、ショウガ、ヒング、コリアンダー、クミン、アジョワン、カロンジ、フユザンショウ
 
◆カウティリヤ実利論→長胡椒(ヒハツ)、胡椒、ショウガ、ヒマラヤセンブリ、マスタード、コリアンダー、クミン、フェンネル、マジョラム、ワサビノキの茎、フェネグリーク
 
 
スパイスの扱い方(調理法)なのですが、
 
「チャラカ本集」や外科医典「スシュルタ本集」にあげられている
 
製剤法はすべて料理に応用可能。 まとめると以下になります。
 
チュールナ→粉にする
カルカ→ペーストにする
クワーンタ→水で煮る
カンダパーカ→糖蜜で煮る
クシーラパーカ→乳で煮る
タイラ/グリタパーカ→(油/ギーで煮る)
 
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そもそもアーユルヴェーダの製剤法は調理法に基づいていて
 
つまり、クスリは日常の食事の
 
ちょっとしたバリエーションと言えるんだそうですね!!!!
 
へぇーーーーっ!!!! そうなんですね!!!!!!
 
 
 
そして、この本の解釈で興味深いのが、ターメリックの扱い。
 
とても重要なスパイスながら、
 
料理用のスパイスとして文献に登場しないのため、
 
この時代にはターメリックは料理用として使われていなかったのでは

と、解釈されているのであります!!!!!
 
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本が出版されたのが2008年なのですが、近年になり、
 
考古学調査の技術が発達し状況が変わってきているんですよね。
 
このエントリーの冒頭にも書いているように
 
4500年前のインドの遺跡から発掘した調理用鍋や人骨歯石から
 
ターメリックとショウガが見つかり、
 
4500年前にすでにターメリック入りの
 
カレーのような食べ物が食べられていたのでは!!
 
と言われるようになってきているのです。
 
 
4500年前から使われていたということは、
 
当たり前すぎて、
 
あえて加えるスパイスとして挙げる必要がなかった
 
という可能性もあるようなないような・・・。
 
ってことで、ここに関しては、
 
出版以降、考古学研究の状況が変わってきているので
 
もしかすると新たな解釈が出来るのかもしれませんね。
 
※そういえば、ネパールではターメリックをスパイスとして数えないと、Diggin'のプルジャダイニング編でプルジャさんもさりげなく言ってたなぁー、ってのを思い出しました。http://blog.livedoor.jp/kiyotoku_sauceco-spicymaruyama/archives/59554719.html 

 

 
そして、スパイスに関するめちゃくちゃ興味深い指摘が!!!!
 
チャラカ本集のスパイスリストから現在も使用される
 
最重要な胡椒やショウガの類を除き、
 
さらに、逆に現在はあまり使われない
 
長胡椒(ヒハツ)、ヒマラヤセンブリ、マジョラム、ワサビノキの茎、
 
フユザンショウを除くと、
 
残りは、なんと、今日のビハールやベンガル、
 
ネパール(カトマンドゥ)の料理で使うミックススパイス、
 
パンチホロンの内容とピッタリと重なる!!というのです!!
 
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具体的にはカロンジ、クミン、フェンネル、フェネグリーク、
 
マスタードないし、アジョワンの5つのスパイスのこと。
 
チャラカ時代のスパイスの組成が現在の東インドの伝統料理に
 
名残をとどめている!!!
 
これは、ものすごく重要な発見ではないでしょうか!!!!!!
 
 
そもそも、どうして、東インドなのか??というと、
 
インドの文化はイスラムの侵攻により大きく変わり、
 
それは料理も同様。
 
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インド・イスラム諸王朝の都したデリーから距離をおいた
 
東インドでは古い食文化が残存しえたのであろう、と。
 
さらに、イスラムの侵略を跳ね返し、バラモン正統派の影響を
 
あまり被ることのなかった(ネパール)カトマンドゥ盆地では、
 
酒や漬物、肉料理など古代的な要素がしっかりと保存されている!
 
現在のカトマンドゥの伝統料理から
 
唐辛子やトマトやジャガイモなど近世に伝えられた
 
食材を除けば、
 
そのまま「チャラカ料理」になるのではないか!!!と
 
伊藤先生は、記しているんですね!!!!!!
 
※インドではバラモン正統派の影響により、早いうちから肉、酒、発酵食品を断じることになり、それが今日にいたるまで食を左右しているそうです。
 
 
 
それにしても、凄いですよね!!!!!
 
チャラカサンヒターの料理の部分にのみフォーカスを当て
 
徹底的に向き合って、
 
さらに、料理まで再現しちゃったとは!!!!!!!!
 
このブログを書くにあたり、
 
いろいろな情報にリーチしてみましたが、
 
チャラカサンヒターをはじめ
 
アーユルヴェーダ文献の料理に関する記述を
 
ここまで徹底的に調べ上げた資料は
 
英語で調べても、全然出て来なかったんですよね!!!!!
 
 
 
本の内容をどこまでブログで紹介するか悩みましたが
 
多くの人に知られるべき、貴重な情報だと判断したので、
 
重要と思われる内容は掲載させていただきました。
 
とはいえ、
 
あくまでも本の内容の一部です!!!!!
 
もっとディープで興味深い情報がぎっしりと詰まっていて、
 
さらには、香取先生による、
 
古代インド料理のレシピがたっぷり載っています!!!!
(これも本当に貴重!!)
 
このエントリーをここまで読んでくれた人なら、
 
じっくり読むべきだと思うなぁ!!!!!!!
 
ってことで、
 
古代インドの料理に興味がある皆さんは
 
これを機にぜひ本をGETしてみてください~♪♪♪
 
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アーユルヴェーダ。
 
ここに向き合ってしまうと、
 
壮大過ぎて、先が見えなくなってしまいそうで、
 
今まで積極的に向き合わないようにしてきたのですが(苦笑)
 
こうやって、貴重な本に出会い、
 
アーユルヴェーダの世界を少しだけ覗くことができたのも、
 
カレーの神様が運んだ華麗なるご縁なのかもしれないですね(笑)
 
 
ま、気負わず、生涯学習テーマとして、
 
ゆっくり向き合ってみようかなぁー、と思っている次第です。
 
 
スパイシ~~♪♪♪
 
 
 
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