2024年5月1日に、European Rail Timetable(ヨーロッパ鉄道時刻表、以下ERTと略)のMay DIGITAL EDITIONがリリースされました。なお、再掲と明記されているものは、過去のFRIDAY FLYERで取り上げたものとなります(内容は多少詳しくなっているものがあります)。

 

  5月号の主な改訂点

 

【国際列車】

  • 2024年11月2日より、ユーロスターは英仏線、ベネルクス線含めて全体で利用可能な3つのサービスクラスの名称を統一する。新しい名称は、ユーロスター・プレミア、ユーロスター・プラス、ユーロスター・スタンダード。これらは、ロンドン発着便のビジネス・プレミア、スタンダード・プレミア、スタンダードに代わるものである。パリ、ベルギー、オランダ、ドイツ(旧タリス)間のサービスでは、プレミアムクラス、コンフォートクラス、スタンダードクラスに代わる新しい名称となる。
  • アムステルダム〜バーゼル間のICEによる直通列車(105/104列車)は、2024年7月16日で廃止される(Table73)。これは、2024年下期に行われるフランクフルト〜マンハイム間での大規模工事と、2025年にオーバーハウゼン〜エメリッヒ間の路線が一時的閉鎖の影響だ。2026年以降の運行再開予定は今のところない様子。

 

【スペイン】

  • 再掲 4月号でのマドリッド・チャマルティン駅の工事に関する情報に続き、バリャドリード〜セゴビア〜マドリッド間のAvant列車、サラマンカ〜セゴビア〜マドリッド間のAlvia列車のダイヤが一時的に変更される(Table679)。関連情報は4月号に詳しい
  • 2024年5月21日より、ヒホン〜マドリッド間のAlvia列車が2往復(うち1往復はカステロ・デ・ラ・プラーナ発着)がAVEに変更され、時刻も若干変更される(Table668、681)。同日より、ヴィーゴ〜マドリード間およびア・コルーニャ〜マドリード間のAlvia1往復がAVEに変更され、所要時間も若干調整される(Table680)。これらのAVEに種別変更された列車はすべて、新型車両であるタルゴ社のアブリル(S106型)列車がで運行される。
  • スペイン国鉄は、新型車両導入で捻出されるAlvia車両を使用した運行計画を発表した。これには、マドリードからバダホス、カディス、サラマンカへの3路線の追加便の運行が決定。また、未決定ながら、マドリッド〜コルドバ〜グラナダ〜アルメリア間とマドリッド〜サラゴサ〜テルエル間の2路線の導入計画もあるが運行開始時期は未定。
  • 2024年5月6日から31日まで、カセレス、メリダ、バダホスエリアでの列車接続に変更が生じる(Table677)。
  • AVE3393のマドリッド→ウエスカ間は2861列車に改番され、セビリア発となる(旧2161列車の時刻表ルート)。対向のAVE3272 ウエスカ→マドリッドは、月曜から土曜運転の3872列車と改番され、セビリア行きとなる(旧2110列車の時刻表ルート)。詳細はTable650aとTable660を参照。
  • 再掲 4月号での発表に続き、4月19日よりバリャドリード〜アリカンテ間で、既存のマドリッド〜アラカント便を延長し、OuigoSpainによる1日1往復の新設を確認した(Table668および679a)。

 

【ポルトガル】

  • オエステ線の近代化工事のため、トーレシュ・ヴェドラシュとミラシントラ・メレカス間の列車は、追って通知があるまで代行バスとなる。Table693は、変更後の時刻で更新されている。

 

 

【スウェーデン】

  • 再掲 オープンアクセス運行会社スネルトーゲ社は、2024年5月16日から9月29日まで、ストックホルム〜コペンハーゲン中央駅間でを毎日運転の直通列車を運行開始する(Table730)。これはストックホルム〜マルメ間の既存便を延長運転したものである。南行きはストックホルム発9:33、復路コペンハーゲン発16:07。同期間中、この事業者のストックホルム〜ベルリン間の夜行列車でもストックホルム〜コペンハーゲン間を座席利用できるが、コペンハーゲンの発着駅がオーレスタド駅となる。既出の情報はこちら

 

 

【ノルウェー】

  • オスロとトロンハイムを結ぶドブレ線が2024年5月21日から全面的に再開されることが発表された。この線のFavang〜Ringebu間は、異常気象による線路流出などのダメージを受けたため2023年8月から路線が閉鎖されていた。ドンバス経由のオスロ〜トロンハイム間の運行は5月21日より全面的に再開(夜間運列車を含む)、Table785はこの日からの時刻を掲載した。ローロス(レーロス)経由の列車も通常ダイヤに戻る(Table784)。

 

【ドイツ】

  • 再掲 ドイツ鉄道では、2024年6月1日から9月1日(同日を含む)の夏季期間中、ドイツ発着となるほとんどの長距離国際列車(ICE、RJX、RJ、EC、IC)について、乗車前の予約が義務化される。ただし、ザルツブルクとクーフシュタイン(オーストリア)への旅と、バーゼルまたはシンゲンを経由するスイス発着便は例外となる。とはいえ、長距離国境列車をドイツ国内のみで利用する場合には対象外となる。なお、この場合でもインターレイルパスやユーレイルパスをお持ちの方は、(国内移動のみでも)追加予約が必要になる場合がある。ただし、国境を越えるローカル列車は予約不要で利用可能だ。
  • 再掲 掲載しているドイツの時刻表はおおむね2024年6月8日(場合によっては7月15日)まで有効。6月9日〜7月15日については若干の変更がある可能性があるため、この間の旅行計画を確認することをお勧めする。また、2024年サッカー欧州選手権が6月14日から7月14日まで開催される。大会期間中は通常よりも混雑が予想されるため、臨時列車が運行される予定である。
  • 再掲 7月16日から12月14日までの間、フランクフルトとマンハイムを結ぶ重要な路線は、大規模なインフラ改修工事のため、一時的に運休となる。これにより、多くの長距離路線で所要時間が延長され、列車のルートも変更される。これらの変更の詳細については、2024年夏号でお知らせします。7月15日までにご旅行の方は、春号、4月号、5月号の時刻表を利用されたい。

 

 

  2024年夏ダイヤにおける国際列車運行速報

  • Table89: 1205/1204列車 アドリア号 ブダペスト〜スプリット間、週3日運転される。
  • Table92: ユーロナイト列車 EN1153/1152 ブラチスラヴァ〜スプリット間は2024年5月3日より週3日で運行。

(参考:下記は4月号までに掲載)

  • 再掲 法人ベルギー国際鉄道は夏の間、パリとブリュッセルを結ぶ機関車牽引のユーロシティ列車の運行を開始する。サン・カンタンとモンス経由で1日2往復の運行が予定されている。既出記事はこちら
  • 再掲 Table18:2024年6月15日よりアムステルダム中央駅で行われる大規模改修工事の影響で、ユーロスター専用出発エリアが一時閉鎖される。この期間、ロンドン発アムステルダム行は、平日の4便から3便に減便され、ロンドン・セントパンクラス駅発8:16の9114列車が一時的に運休となる。アムステルダム発ロンドン行の時刻は、国境手続きが行われるブリュッセルでの最適な接続時間を提供するため、現在も最終調整中である。なお、アムステルダムからロンドンへの直通列車は一時的に運行を取りやめる件でブリュッセルでの乗り継ぎにあたって必要な時間は通常45分程度で、国境での手続きには十分な時間となる。既出記事はこちら
  • 再掲(3月号の続報として)ブダペスト発クロアチア方面への列車について、1205/1204 列車 アドリア号 ブダペスト〜スプリット間で週3日運行される。
  • 再掲 Table89:247/246列車 Citadella(チッタデッラ)号 ブダペスト〜リュブリャナ間は、2024年6月16日から8月24日の間、スロベニアの都市、コペルへの直通列車併結を再開する。

 

今回は以上です。

 

ERTのTable 番号と突合する形で景勝ルートを紹介している鉄道旅行者向けガイドブックです。全文英語ではありますが、表現は平易なので安心して使えます。かつての地球の歩き方のヨーロッパ鉄道の旅シリーズが乗り方中心の構成でしたが、こちらは沿線紹介が中心の構成なので、現地の観光ガイドとしても有効です。

 

★ERT5月号(デジタル版)が発行されました。★

 

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参考文献 European Rail Timetable May 2024(Digital Edition)