しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズン列車」の運転の歴史を振りかえります。
国鉄時代に設定されていた但馬の味覚号に続き、民営化後のかにシーズン列車を追いかけてゆきます。「かにカニ」ほどのポップな冠名はないものの、「●●カニスキ号」「味めぐり●●号」と名称で大方の運転年度を推察できます。今回は福知山線経由の城崎カニスキ号を深堀りします。
城崎カニスキ号
城崎カニスキ号は、既出の但馬カニスキ号が運転開始した翌シーズンとなる、1989〜90年シーズンに登場。2シーズン運転されたのち、翌年急行味めぐり城崎カニスキ号と特急味めぐり北近畿カニスキ号に分派し、列車名は発展的消滅となります。但馬と城崎という名称で関西の方々は直感的に冬の味覚、温泉を連想できたようで、かにシーズン臨時列車名には今後も登場する地名です。
さて、但馬カニスキ号同様、急行列車として運行されていたのは、使用した車両のグレードが基準だったと思いますが、残念ながらどの車両が運用に就いていたのかは電車であったこと以外は情報を持ち合わせていません。とはいえ、1991〜92年シーズンの味めぐり城崎カニスキには、221系電車6両編成が運用に就いていたようですので、1989年運転開始221系なら、この城崎カニスキ号にも使用されていたと推察も可能かと考えます。
さて、運転区間としては但馬カニスキ号が播但線経由であり、特急はまかぜ号、急行但馬号の補完的なダイヤで設定された一方で、福知山線経由の城崎カニスキ号は通年で等時間間隔で運転される特急北近畿号と、特急エーデル丹後号、急行みやづ号が週末を中心に1日1往復づつ運行する体制のもと補完的に設定されていました。
シーズンごとの運転状況
全シーズン共通
一部指定席、福知山線経由
列車種別と運転区間
前述に続いて、触れておきたいのは、この列車の2シーズン目から京阪神エリアの始発駅が大阪から米原に延伸された点です。このかにシーズン臨時列車のポテンシャルを感じたJR西日本が動いた結果だったと言えます。米原を出発した列車の停車駅は、彦根、近江八幡、草津、大津、京都、新大阪という沿線主要駅にすべて停車しますが、運転時間帯から日帰り需要ではなく、明らかに宿泊を前提とした乗客の囲い込む狙いが読み取れます。
運行シーズン | 列車種別 |
1989〜90年 | 急行 大阪〜城崎 ※福知山線経由 |
1990〜91年 | 急行 米原〜城崎 ※東海道本線、福知山線経由 |
往復の始発・終着駅発時刻と所要時間
あくまでも運用上の話ですが、2シーズンともに、城崎温泉(現地)には夕方前に到着するダイヤでありながら、1シーズン目の【行きは土曜、帰りは日曜のみの「週末1往復スタイル」】から、2シーズン目は1日で1往復する「1日で1往復スタイル」に変わります。
運行シーズン | 始発・終着駅発時刻と所要時間 |
1989〜90年 |
大阪発11:22 → 城崎着15:41(4:19)※2月11日のみ 大阪発12:27 → 城崎着16:45(4:18)● 城崎発11:14 → 大阪着15:52 (4:38)★ |
1990〜91年 |
米原発10:15 → 城崎着15:28(5:13)▲ 城崎発15:58 → 米原着21:04(5:06)▲ |
●:土曜日運転(一部日曜日も運転)、★:日曜・休日運転(連休中の日曜は運転なし)
▲:土・日・休日運転
使用車両・編成:
城崎カニスキ号の運用についた車両の情報は、時刻表列車番号から電車であったこと以外は入手できておりません。
運行シーズン | 使用車両 |
1989〜90年 | 電車列車(形式、両数ともに不明) |
1990〜91年 | 電車列車(形式、両数ともに不明) |
※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。
※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。
本日は、以上です。
参考ページ:
参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング、カニという道楽: ズワイガニと日本人の物語 広尾克子著 西日本出版社