しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズン列車」の運転の歴史を振りかえります。

 

今回は、国鉄時代に設定されていた但馬の味覚号に続き、民営化後のかにシーズン列車を追いかけてゆきます。「かにカニ」ほどのポップな冠名はないものの、「●●カニスキ号」「味めぐり●●号」と名称で大方の運転年度を推察できます。今回は播但線経由の但馬カニスキ号を深堀りします。

 

但馬カニスキ号

 但馬カニスキ号が最初に設定されたのは、1988〜89年の冬です。民営化後はじめて設定されたかにシーズン列車の一つです。

 

 さて、列車名についている「カニスキ」という料理名について少し触れておきたいと思います。

(写真はズワイガニですが、あくまでもイメージです)

 

カニスキの名前は、カニという道楽〜ズワイガニと日本人の物語〜(広尾克子著)を参考にしたところ、日本海の漁師が採れたてのカニを塩水で茹でて漁の合間に食していたことをヒントに、あのかに道楽の前身となる大阪の千石船という海鮮食堂の料理人が開発したメニューとのこと。私はてっきり古からの伝統料理位に思っていましたが、どうも様子が違う!また名付けのセンスも大阪らしくすきやき、うどんすきにあやかったのではないかとの推察にもうなづけます。

 

 

  シーズンごとの運転状況

全シーズン共通

一部指定席、播但線経由、城崎〜香住・浜坂間は普通列車(大阪〜城崎間のみ急行)

 

 列車種別と運転区間 

 かつて国鉄時代に設定されていたかにシーズンの臨時列車、但馬の味覚号によせた運転区間でJR化後に復活しています。通算4シーズン共通で変更がないことからも鉄板の運転区間だとわかります。列車種別については使用する車両から勘案された結果なのか、急行列車となっています。確かに民営化後の臨時列車には急行種別が多用されていました。

運行シーズン 列車種別
1988〜89年 急行 大阪〜浜坂・香住 81〜88号(87号が欠番)
1989〜90年 急行 大阪〜浜坂・香住 83〜86号(81・82号が欠番)
1990〜91年 急行 大阪〜浜坂・香住
1991〜92年 急行 大阪〜浜坂、大阪→香住

 

 

 往復の始発・終着駅発時刻と所要時間

 運転ダイヤについては、民営化直後の1988〜89年シーズンは手探り感がありますが、翌シーズンから間引かれた3本のうち、大阪8時台発と香住16時台発については1989年3月のダイヤ改正で登場した特急エーデル鳥取号のスジを優先した影響と思われます。その後、1990〜91年シーズンが浜坂9時台発が復活・再設定され、やや盛り返したところで、翌1991〜92年は従来の味めぐり但馬カニスキ号に改名され、但馬カニスキ号は11月23日のみ1往復運転された臨時列車で一瞬だけ登場し、そのまま歴史を閉じます。

運行シーズン 始発・終着駅発時刻と所要時間
1988〜89年

81号 大阪発8:07 → 浜坂着13:38(5:31)★(1・2月のみ、一部月曜も)

83号 大阪発10:33 → 浜坂着15:58(5:25)●

85号 大阪発11:33 → 香住着16:29(4:56)●

82号 浜坂発9:40 → 大阪着14:24(4:44)★

84号 香住発12:19 → 大阪着17:38(5:19)★(一部休日、月曜も)

86号 浜坂発14:34 → 大阪着19:35(5:01)★(1月のみ)

88号 香住発16:13 → 大阪着19:58(3:45)★(2月のみ、一部休日も)

1989〜90年

83号 大阪発10:36 → 浜坂着15:16(4:40)●

85号 大阪発12:35 → 香住着17:08(4:33)●

84号 香住発13:20 → 大阪着17:54(4:34)★

86号 浜坂発14:35 → 大阪着19:36(5:01)●

1990〜91年

83号 大阪発10:32 → 浜坂着15:55(5:23)●

85号 大阪発12:35 → 香住着17:08(4:33)●

82号 浜坂発9:42 → 大阪着14:38(4:56)★

84号 香住発13:24 → 大阪着17:54(4:30)★

86号 浜坂発14:30 → 大阪着19:37(5:07)★

1991〜92年 87号 大阪発12:35 → 香住着17:11(4:36)(11/23のみ運転)
84号 香住発13:10 → 大阪着17:55(4:45)(11/23のみ運転)

●:土曜日運転(一部日曜日も運転)、★:日曜・休日運転(連休中の日曜は運転なし)

 

 

 使用車両・編成: 

時刻表の列車番号が一番の手がかりとインターネット上の情報で構成したのが下記一覧。客車列車の牽引機はDD51が入っていると思いますが、東海道本線内は電気機関車牽引だったのかは判別できておりません。ちなみに未来の話ながら味めぐり但馬カニスキ号では、EF65やEF58が牽引担当だったこともあったようです。

運行シーズン 使用車両
1988〜89年 82、86、88、81、83号 ディーゼル列車4両(形式はキハ58系と推察)
84、85号 12系客車6両
1989〜90年 86、83号 ディーゼル列車4両(形式はキハ58系と推察)
84、85号 12系客車6両
1990〜91年 ディーゼル列車2両、4両(形式はキハ58系と推察)
1991〜92年 ディーゼル列車(形式はキハ58系と推察) ※両数不明

※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。

※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。

 

本日は、以上です。

 

参考ページ:但馬カニスキの編成ページ その1その2

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング、カニという道楽: ズワイガニと日本人の物語 広尾克子著 西日本出版社

写真:Frickrのリンク