しばらくの間、JR西日本で現在も運転されている企画列車「かにカニエクスプレス」の一派、ならびにそれ以前からの「かにシーズンの臨時列車」の運転の歴史を振りかえります。

 

冬の日本海の味覚、かにを目当てにグルメ客向けに設定された臨時列車は京阪神エリアにお住まいの方にはおなじみと聞いております。そして、今回は、かにカニ北近畿号の運転歴史を振り返ります。前回紹介した大阪発のかにカニエクスプレス一派の列車は、ほかにもかにカニ但馬号が播但線経由で同じ6シーズンの間運転されています。

 

日本海沿いのカニ産地はあまたありますが、今回取り上げるかにカニエクスプレスの目的地で上がる3つの産地は、但馬(香住、浜坂)、丹後(天橋立)、そして城崎温泉です。ちなみに首都圏でも有名なかに道楽というチェーン点の創業者は沿線の豊岡出身とのこと。このかに道楽の成功が、関西を中心としたかに料理ブームを生んだのは間違いありません。

 

かにカニ北近畿

 北近畿号とは、1986年11月1日の国鉄最後のダイヤ改正で誕生したエル特急電車でした。福知山線を経由の特急電車の派生として冬の間に設定されていたかにカニエクスプレスの一派、かにカニ北近畿号です。別の機会に触れますが、この北近畿号によるかにカニ列車の歴史は、急行時代の城崎カニスキ号から始まり、その後特急化した味めぐり北近畿カニスキ号、味めぐり北近畿号と年々名称を変更(カニだけに変態)してきた結果の最終形態です。

 

 かにカニはまかぜかにカニ但馬)号との大きな差別化は、経由線区であることは以下の詳細をみていただければわかります。それ以外は大阪を午前中に出発し、午後イチに現地到着の往路のダイヤ、現地を午後に出発、大阪に夕方到着する復路のダイヤは、かにカニはまかぜ号と同じパターンです。ただし、列車番号が4号まで付与されており、一部シーズンを除き、1・4号は土休日を1日1往復、3・2号は、往路が休前日、復路が休日であわせて1往復となるパターンでダイヤが組まれています。

 仔細な話になりますが、1999〜2000年シーズンは、前年までの味めぐり北近畿号の発着駅を踏襲して新大阪発着となっていますが、2000〜01年シーズン以降は大阪発で統一されている点は触れておきたい点です。

 

 使用車両は定期のエル特急電車北近畿号との共通運用の183系4両ないし6両で、非電化区間に乗り入れるシーズン(列車)には、波動用のリゾート&シュプール用、またはエーデル鳥取号用キハ65形が運用就いていました。キハ65形が使用された経緯については具体的な記録は見つけられていませんが、1999年秋の定期特急列車エーデル鳥取号、ならびにエーデル北近畿号の廃止による余剰編成投入という推察は大方間違っていないと思います。

 また、電車列車について、定期列車との共通運用でカバーできないシーズンでは、同じJR西日本の日根野電車区から381系電車6両編成を借り受けていました。後年北近畿号こうのとり号と愛称を変えた2011年以降、今度は借り受けではなく定期列車として運用に就いた歴史(2012年)にも触れておきたいところです。

(こうのとり号として運用についていた時代の381系電車)

 

 

  シーズンごとの運転状況

 

全シーズン共通

全車指定席

運行シーズンは11月〜3月(年末年始除く)で1〜2月の運転本数がピーク。

 

 列車種別と運転区間

運行シーズン 列車種別
1999〜2000年 特急 新大阪〜城崎・香住間 福知山線経由
2000〜01年 特急 大阪〜城崎間 福知山線経由
2001〜02年 特急 大阪〜城崎間 福知山線経由
2002〜03年 特急 大阪〜城崎間 福知山線経由
2003〜04年 特急 大阪〜城崎間 福知山線経由
2004〜05年 特急 大阪〜城崎・香住間 福知山線経由

 

 

 往復の始発・終着駅発時刻と所要時間

運行シーズン 始発・終着駅発時刻と所要時間
1999〜2000年 1号 新大阪発11:34 → 城崎着14:24(2時間50分)●
3号 新大阪発12:58 → 香住着16:52(3時間54分)▲
2号 香住発10:30 → 新大阪着14:17(3時間47分)□
4号 城崎発14:53 → 新大阪着17:58(3時間05分)●
2000〜01年 1号 大阪発11:39 → 城崎着14:25(2時間46分)●
3号 大阪発13:09 → 城崎着16:19(3時間10分)▲
2号 城崎発10:55 → 大阪着14:07(3時間12分)□
4号 城崎発14:56 → 大阪着17:51(2時間55分)●
2001〜02年 1号 大阪発11:39 → 城崎着14:25(2時間46分)●
3号 大阪発13:09 → 城崎着16:19(3時間10分)▲
2号 城崎発10:34 → 大阪着13:37(3時間03分)□
4号 城崎発14:55 → 大阪着17:51(2時間56分)●
2002〜03年 1号 大阪発10:39 → 城崎着13:20(2時間41分)▲
2号 城崎発10:34 → 大阪着13:32(2時間58分)□
2003〜04年 1号 大阪発 8:40 → 城崎着11:39(2時間59分)●
3号 大阪発10:39 → 城崎着13:21(2時間42分)▲
2号 城崎発12:57 → 大阪着16:03(3時間06分)□
4号 城崎発16:50 → 大阪着19:33(2時間43分)●
2004〜05年 1号 大阪発 8:26 → 香住着12:15(3時間49分)●
3号 大阪発10:35 → 城崎着13:40(3時間05分)▲
2号 城崎発13:04 → 大阪着16:03(2時間59分)□
4号 香住発15:56 → 大阪着19:33(3時間37分)●

運転日パターン:●土休日運転(一部金曜運転)、▲休前日を中心に運転、□休日に運転(土は運休)

 

 使用車両・編成

運行シーズン 使用車両
1999〜2000年 1・4号 電車列車(定期北近畿号と共通運用か?)
2・3号 キハ65形リゾート&シュプール車4両
2000〜01年 1〜4号 電車列車(定期北近畿号と共通運用か?)
2001〜02年 1・4号 電車列車(詳細不明)
2・3号 381系(日根野)6両、その他定期と共通運用と推察
2002〜03年 183系(福知山車)4両 ※定期と共通運用
2003〜04年 1・4号 電車列車(定期北近畿号と共通運用か?)
2・3号 381系(日根野)6両
2004〜05年 1・4号 ディーゼル列車(キハ65形リゾート&シュプール車4両と推察)
2・3号 電車列車(定期北近畿号と共通運用か?)

※運転日よって編成両数の増減の可能性があります。

※使用形式については、当時の雑誌、ならびにインターネット上にアップされている写真などから判断しておりますが、運行実績をすべて網羅したものではありません。

 

本日は、以上です。

 

参考ページ:こうのとり(列車)(Wikipedia)

参考資料:JR時刻表、JTB時刻表(各年)、鉄道ダイヤ情報(臨時列車運転情報)、国鉄・JR列車名大事典 寺本光照著 中央書院、列車名変遷大事典 三宅俊彦著 ネコ・パブリッシング、カニという道楽 ズワイガニと日本人の物語 広尾克子著 西日本出版社

写真:Frickrのリンク