2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の17回目は、ジャック・ブレル号を取り上げます。

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

ジャック・ロマン・ジョルジュ・ブレル(1929~1978)ベルギーのシャンソニエ、俳優。

 

ブリュッセル経由ケルン~パリ北ルートには、1985年以降、インターシティ列車 ディアマント号(1985年~1987年)、ユーロシティ ギュスターヴ・エッフェル号(1987年~1988年)、長距離急行列車 D248/249(1988年~1993年)と脈々と受け継がれ、1993年5月23日の夏ダイヤ改正で再びユーロシティが設定された。ジャック・ブレル号の名を持つこのユーロシティ列車にはEC38/39の列車番号が与えられ、ドイツ側の始終着駅は従来のケルン中央駅からさらに東に、ドルトムント中央駅まで延長された。

 

西行EC38は、DB-101型電気機関車牽引でドルトムントを11:46に出発、ボーフム、エッセン、デュイスブルク、デュッセルドルフ、ケルン(13:04着/13:14発)、アーヘン(機関車交換)、ウェルケンレッド(運転停車)、ヴェルヴィエ、リエージュ、ブリュッセル北駅、ブリュッセル南駅(15:46着/16:00発)、ブリュッセル中央駅、モンス、ケヴィ、オルノワ、サン・カンタンを経由し、終着パリ北駅には19:01に到着。

対向となる東行EC39は、最初にSNCB-16型電気機関車牽引でパリ北駅発13:43、ブリュッセル南駅(16:42着/16:55発)、ケルン(19:42着/19:51発)で終着ドルトムント着21:11。走行距離657kmで、表定速度91km/h(EC38)および88km/h(EC39)とユーロシティーが求める基準を満たしている。EC38/39 ジャック・ブレル号とEC30/31 モリエール号は共通運用されており、SNCFのコライユ(コラーユ)客車とユーロフィマ(またはVSE)型客車による3日間のローテーションで運行された:

1日目:EC38 ジャック・ブレル号

2日目:EC39 ジャック・ブレル号

3日目:EC30 → EC31 ともにモリエール号

 

なお、1994年5月31日、SNCFとSNCBの複電圧電気機関車の信頼性がますます低下していることを鑑みて、EC38について、ケヴィ駅での追加の機関車交換を行うことになった。アーヘン以西牽引してきたSNCB-27型電気機関車に代わり、SNCF-BB16000型交流電気機関車が使用された。対向のEC39では、ブリュッセル南駅~アーヘン間でSNCB-27型複電圧機関車が運用についている。

 

ジャック・ブレル号は、1996年6月2日実施の夏ダイヤ改正で廃止、パリ〜ブリュッセル間のタリス列車に置き換えられた。結局3年間の運転期間だったが、その後列車番号38/39は、1997年6月1日からユーロシティ アレクサンダー・フォン・フンボルト号に譲渡される。その後1997年12月に廃止され、今度はハンブルク〜コペンハーゲン間のユーロシティ列車での愛称として使用されることになる。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

1993年夏ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等)、オープン座席車(1等、2等)、食堂車

フランスの客車列車(コラーユ、VSE型混合)、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)