1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、54回目は、モリエール号を取り上げます。TEE時代については、下記ブログをご覧ください。

 

EC Molière

(この写真が参考文献に掲載されているわけではありません)

 

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

モリエール(ジャン=バティスト・ポクラン、1622~1673)は、フランスの俳優、演劇監督、劇作家。

 

1979年5月27日夏ダイヤ開始以降、D 430/431は、1978年9月のヨーロッパ時刻表会議で決定された、かつてのTEE モリエール号(1973年まではパリ・ルール号)に代わる列車となった。1等、2等両クラスを有するフランス国鉄(以下、SNCF)コライユ形特急向け車両を装備したこの列車は、ケルン中央駅(7:05発/21:49着)とパリ北駅(13:13発/17:47着)を結ぶが、TEE時代に比べ、21分または18分増となる。1980年6月1日、モリエール号は国際インターシティ IC 430/431となり、SNCFが必要編成を提供して、ドルトムント発着に延長された。1983年5月29日からはD 430/431として再び延長され、今度はコペンハーゲン発着となり、寝台車とクシェット車を備えてケルン - コペンハーゲン間の夜行列車となった。

 

1986年6月1日から、モリエール号はインターシティ(IC 40/41)の地位を取り戻し、再びパリ - ケルン間に限定された。1986年9月28日冬ダイヤからは、オスト・ウェスト・エクスプレス(東西急行)号の寝台車、モスクワ-パリ間(冬ダイヤではケルン発着のみ)が移籍し、1年後の1987年夏ダイヤからは、EC 40/41としてユーロシティ・ネットワークの「創設メンバー」の1つとなった。現在もSNCFの車両を使用するモリエール号は、ケルン、リエージュを経由してドルトムント中央駅とパリ北駅を結んでいた。EC 40は、DB-103形電気機関車牽引でドルトムント中央駅発6:50で、ボーフム、エッセン、デュイスブルク、デュッセルドルフ、ケルン、アーヘン(ここでSNCB(ベルギー国鉄)-BB27形電気機関車に交換)、ヴェルヴィエ中央駅、リエージュ(ここで方向転換とSNCF-CC 40100形電気機関車に交換)、ナミュール、シャルルロワ南駅、モブージュ、サン・カンタンに停車し、パリ北駅着13:40。このため、走行距離609kmの表定速度89km/h、所要時間は6時間50分となる。逆方向はEC 41 パリ北駅発16:47として帰路につき、ドルトムント着23:44。

 

1991年6月2日から、歴史はある意味で繰り返され、モリエール号は新たな時代を迎えた。ユーロシティとしての地位を保ちながら、DB提供のパリ・ケルン間の基本編成に加え、4つ以上(!)の異なる目的地の寝台車(コペンハーゲン、ベルリン、ワルシャワ、モスクワ発着)を併結するようになった(時刻表の専門家の中には、この理由からモリエール号ノルド・エクスプレス(北急行)号の生まれ変わり」と呼ぶ人もいる)。

 

しかし、写真好きの鉄道ファンにとっては残念なことに、このカラフルな車両はわずか1年間しか使用されなかった。なぜなら、1993年5月23日以降、EC 30/31として運行され、再びSNCFのコライユ形特急向け車両で構成されるこの列車は、コペンハーゲン - アーヘン間の寝台車1両が連結されるのみとなったからだ(1996年6月1日まで)。EC 30はドルトムント発6:48で、パリ北駅着13:31、EC 31はパリ北駅発16:40で、ドルトムント着23:16だった。そして1997年12月13日モリエール号が最後の運行を行い、翌日からのパリ~ケルン間は「タリス」タイプのTGV列車に引き継がれた。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1987〜88年冬ダイヤ 

1等・2等のコンパートメント車、2等オープン座席車、食堂車、荷物車、モスクワ行寝台車をドルトムントで増解結。フランス、ドイツ、ソ連の車両。

 

今回は以上です。

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)