2023年に通年で、1987〜1993年の間に運転開始されたドイツ・オーストリアを走るユーロシティの歴史を振り返りました。その参考にしたのが、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenというドイツ語本であり、この続編がDie EuroCity-Zuege: Teil 2: 1993 bis 2020 として出版されています。そのため、引き続き私の後学、備忘を兼ねて原文訳を補足しながらまとめていきます。位置づけは前回に続き第2編となります。

 

第2編の12回目は、アレクサンダー・フォン・フンボルト号を取り上げます。

 

(以下本文を参照に日本語訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ハインリヒ・アレクサンダー・フォン・フンボルト(1769~1859)ドイツの自然科学者。

 

1993年5月23日から、アレクサンダー・フォン・フンボルト生誕の地であるベルリンと、ベルギーの首都ブリュッセルを結ぶEC46/47という直通列車が誕生した。DB(ドイツ鉄道)-229型ディーゼル機関車によるEC46の西行は、ベルリン東駅(この時点では中央駅と呼ばれていた)を8:32に出発し、ベルリン市内のベルリン・アレクサンダー広場駅、ベルリン・フリードリッヒ通駅、ベルリン・ツォー駅、ベルリン・ヴァンゼー駅に途中停車し、ここでDB-103型電気機関車に交換する。その後マグデブルク、ブラウンシュヴァイク、ハノーファー、ビーレフェルト、ハム、ドルトムント、ボーフム、エッセン、デュイスブルク、デュッセルドルフを経由して、ケルン中央駅着14:50。引き続きベルギー国内に向けて運行されるため、ケルン中央駅でSNCB-16型、または-18型複電圧電気機関車に交換。ケルン中央駅発15:14で、アーヘン、リエージュ、ブリュッセル北駅を経由し、終点のブリュッセル南駅には18:01に到着。つまり、EC46は19の途中停車駅を含む855kmの走行距離、表定速度90km/hに達した(これは1987年以降のユーロシティ列車のサービス最低基準に正確に一致)。逆方向のEC47は、ブリュッセル南駅発12:03でベルリン中央駅着21:31。この当時、EC46/47 アレクサンダー・フォン・フンボルト号は、EC36/37 フェリックス・ティンマーマンズ号と2日間での共通運用を組んでいる(EC36:ブリュッセル発20:03→ケルン着22:42/EC37:ケルン発6:30→ブリュッセル着9:01)。

 

1994年ダイヤ(1994年5月29日)では、ベルリン市内鉄道の改修・電化工事のため、ベルリン・ツォー駅がアレクサンダー・フォン・フンボルト号の発着駅に変更された。しかし、電化工事が進捗したため、ベルリン・ヴァンゼー駅での機関車交換はなくなり、DB-103型電気機関車がベルリン・ツォー駅〜ケルン発着で通し運用に就いた。そのEC46は、ベルリン・ツォー駅発9:07で、EC47のベルリン・ツォー駅帰着時刻は20:54だった。

 

1996/97年ダイヤ(1996年6月2日)では、EC46 ベルリン・ツォー駅発9:16→ブリュッセル南駅着18:01着、EC47 ブリュッセル南駅発12:07→ベルリン・ツォー駅着20:48、表定速度97km/h。

 

1997年5月31日、ユーロシティ アレクサンダー・フォン・フンボルト号はベルリン発の最終列車となった。というのも、翌日6月1日からケルン〜ベルリン間のICE導入に伴い、共通運用を組むフェリックス・ティンマーマンズ号が、EC38/39としてケルン〜ブリュッセル間と変更された影響で、同時に運転区間が短縮された。DB客車6両編成に減車されたEC39 アレクサンダー・フォン・フンボルト号は、SNCB-18型複電圧電気機関車の牽引のもとブリュッセル南駅発12:07で、アーヘン(13:56着/14:07発)でDB-110型電気機関車に交換され、ケルン中央駅着14:42。対向列車EC38はケルン中央駅発15:14でブリュッセル南駅着18:03。EC38/39は1997年ダイヤ当時、ユーロシティ フェリックス・ティンマーマンズ号およびケルン~アムステルダム間のユーロシティ(EuroCity)と共同運行されている。

 

しかし、この運用は、1997年12月14日のパリ〜ブリュッセル〜ケルン/アムステルダム間にTGVタリス列車の導入によって、終焉を迎えた。これでドイツ・ベルギーの両首都間を往来する旅行者はケルンでの乗り換えを余儀なくされたが、最高時速130km/hの高速列車TGVとICE利用により、所要時間は約6時間40分に短縮された。

 

  編成例(書籍内イラストから)

1993〜94年冬ダイヤ

コンパートメント客車(1等、2等)、オープン座席車(1等、2等)、食堂車

ドイツの客車列車、途中増解結なし

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Züge: Teil 2 1994-2020 /Jean-Pierre Malaspina, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)