1992年のThomascook European Timetable 夏号の今月のお知らせ(Newslines)のまとめです。

ブログ筆者の研究用のデータベースの公開という位置づけです。ご興味あればご参照ください。

 

※日本語版からの転記なので、原文ママとなりますが、地名、列車名、都市名については、私のブログで平時使用している表現に修正している箇所があります。あらかじめご承知おきください。

 


 

今月号の新しい記事について

本号は、5月31日から9月26日まで有効な夏ダイヤを載せてある。ただし、スウェーデンのダイヤは6月9日から有効になる。また、スペイン、スロベニア、クロアチア、ポーランド、ルーマニア、そしてロシア共和国については、校了時に部分的な情報しか得られなかった。

 

 

国際列車

初夏号の付録「夏ダイヤの改正予告」を利用された方なら既にご承知のとおり、国際列車の項は大がかりな再編成がなされ、2つの地点を結ぶ直通列車が、いかなるルートをとるにせよ、すべて1つの時刻表に収められることにポイントが置かれた。本書をよく利用されている方は、最初、見慣れない時刻表にとまどわれるかもしれないが、新しい編成によって、国際列車のダイヤが従来よりわかりやすく要約され、また、同じ区間を結ぶ別の便をすぐに探し出せるようになったと確信している。本号におけるおもな変更事項は次のとおり。その他の変更については、各国時刻表の冒頭に示してある。

 

 

ロンドン〜ドイツ、ベルギー

ブリタニア・エクスプレスコロニア・エクスプレス(フーク・ファン・ホランド〜ケルン)はともに、ロンドン〜フーク・ファン・ホランド間を結ぶ鉄道と船の便がスピードダウンしたため、廃止される。この区間を直通で結びたい場合は、ロッテルダムで乗り換えること。ドーバー〜オステンド間を結ぶ船の便については、「プリンス・フィリップ」が新しく運航を開始するのに伴い、全員予約制となる。この船はドーバー・ウエスタンドックに停泊できない。

 

 

パリ〜シンプロン経由イタリア

シンプロン・エクスプレスは、パリーローザンヌ間の運転を停止するが、ジュネーブ〜ザグレブ間では引き続き運転する。これに代わる夜行便として、リアルト号がパリ〜ベネチア間で運転する。

 

 

フランス〜バーゼル経由イタリア

列車番号290ならびに294のカレー〜ローマ間とカレー〜アンコーナ間を結ぶ直通車両は廃止され、カレー〜ミラノ間の直通車両は夏のみ運転するようになる。しかし、校了間際に入った変更に関する情報によると、394列車がカレー・マリティーム駅からバーゼルまで運転し、メッスでローマ行きに接続するということだ。復路についてはこのような連絡便はなく、ローマからの乗客はミラノで乗り換えなければならない。ドーバー海峡の港から通年運行している直通便は、オーステンデ〜ブリーク/クール/ミラノ間を結ぶ498/499列車のみとなってしまった。

 

 

ドイツ〜ハンガリー

サクソニア号は、ファポリット号に代わり、夏のピーク時にライプツィヒからフォニヨドとブダペストに向けて運転する。一方、イストロポリタン号(ハンブルク〜プラハ〜ブラチスラバ)は、ブダペストと結ぶ新しい直通車両を連絡するようになる。また、カルマン・イムレ号(ミュンヘン〜ブダペスト)は、通年毎日運転する。

 

 

ユーロシティ列車

アルフレッド・ノーベル号カタラン・タルゴ号はユーロシティとして格付けられなくなる。カルロ・マーニョ号も同様で、ドルトムンドとバーゼル間のみ運転するようになり、愛称もなくなり、まセストリ・レバンテまで延長されなくなる。一方、ベルリン〜カッセル、フランクフルト、バーゼル経由チューリッヒ間を結ぶユーロシティが新たに運行を開始する(※補足 ハーフェルラント号)。

 

 

フランス

フランスに関する変更事項としては、なんといっても、パリ〜ボルドー経由トゥールーズ間を結ぶTGV大西洋線の第3便が導入されたことと、パリとサポワ地方(サン・ジェルベとブール・サン・モーリス)を結ぶ夜行便が再編成されたことがあげられる。パリ〜ニース間(Table164)で新しく登場したものとしては、日曜日の夜(夏のピーク時には金曜日パリ発の便もある)運転するTGVの夜行便があげられる。

 

 

スイス

一定間隔で運行する基本的なダイヤについては、今年はおおむね変更はない。あえて言えば、スイス国鉄は、国内でユーロシティに連結されて運転するパノラマ車両(1等のみ)を多数導入している。この車両は、以下の列車に連結される。EC2/3 クール〜アムステルダム間、EC31/38 ジュネーブ〜ミラノ間、EC96/97 ベルン〜ミュンヘン間EC98/99 チューリッヒ〜ミュンヘン間EC104/105 アムステルダム〜インターラーケン間EC168/169 チューリッヒ〜クラーゲンフルト間

 

 

イタリア

インターシティの路線網は、トリノ〜ジェノバ〜ローマ間を結ぶ回廊列車(Table355)がグレードアップしたことに伴い、拡張を続けている。トリノ〜リポルノ間とジェノバ〜ローマ間では、新たに2往復列車が運行し、他の列車のダイヤが若干変わる。フィレンツェ〜ローマ間でも新しく1往復運行する(Table374)。ローマ以南では、シチリア方面に向かう昼間の列車が再編成された。たとえば、780/781列車に代わってインターシティ列車が走る。

 

 

スペイン

スペインのダイヤの多くは、とりわけローカル列車とマドリッドを通らずに国を横切る便については、校了時に詳しい情報が得られなかったので、現地で時刻をご確認ください。マドリッド〜セビーリャ間を結ぶ高速新幹線AVEの時刻表はTable426に載っている。また3本のタルゴ列車が新たにこの新路線を運転するが、そのうち1本は、パリ・マドリッド・ダルゴ号が運転区間を延長してセビーリャまで直通で結ぶものだ。4番目のタルゴはコルドバまで新路線を運転し、さらにポバディーリャ〜ウトレラ間の在来線を使ってカディスに向かう。このほか、バルセロナ・テルミノ駅という名でも知られるバルセロナ・フランサ駅の再開が、大きなニュースとしてあげられるだろう。バルセロナに向かう3本の国際列車、すなわちバルセロナ・タルゴ号、カタラン・タルゴ号、パブロ・カサルス号がこの新駅に発着するようになり、バルセロナ・サンツ駅とパセオ・デ・グラジア駅には停まらなくなる。フランサ駅から発車する(バルセロナ・サンツ駅にも停車する)その他の列車としては、バルセロナ〜マドリッド間を結ぶ便とバレンシアに向かうインターシティがある。

 

スペインのその他のニュース。イルンとビルバオからアリカンテに向かう夜行便ソル・デ・レバンテ号は、現在サラゴサとバレンシアを経由せずマドリッド経由となっている。その結果、この列車はバレンシア発着の車両を併結している。また、パリ〜ビーゴ間を結ぶ直通のクシェット車は廃止される。

 

 

ポルトガル

昨年イルン〜リスポン間を結んだエサデケイロス号は廃止になっているので、同区間を移動する場合は南急行(シュド・エクスプレス)を利用することになる。本書のポルトガルの項は、予告をもとに編集されたもので、変更される可能性がある。

 

 

スカンジナビア

スカンジナビアの時刻表は再編成され、ノルウェー・スウェーデン、デンマーク間を結ぶ昼間の急行列車はIN(インター・ノルト)と格付けられている。ナルビクから北部に向かうバス「ノルト・ノルゲ」の時刻表は、これまでよりずっと詳しく示されており(Table485)、トロムソとハンメルフェストも組み込まれた。スウェーデンでは、6月9日に開始される新しい夏ダイヤにおいて、ストックホルム〜エーデボリ間(Table469)X2000高速振り子列車が増便される。8月17日からは、カールシュタットストックホルム間で、X2000が1往復運行し、時刻表はTable470に示されている。

 

 

ドイツ

5月31日より、ドイツの時刻表は大幅に再編成され、インターシティ網が東部までさらに拡大された。「また、旧東ドイツ国鉄の多くの路線で列車が定間隔運行するようになった。この結果、本書の時刻表の多くが再編成され、時刻表番号が書き替えられた。新しいインタコーシティのルートとしては、ザールブリュッケン〜フランクフルト〜ライプツィヒ〜ドレスデン(Table740)間、ミュンヘン〜ニュルンベルク〜ライプツィヒ(Table770)間、またハンブルク〜ベルリン〜ドレスデン(Table680)間があげられる。ミュンヘン〜ビュルツブルク〜ハンブルク間を結ぶ直通便(Table750)は、ニュルンベルクを経由して2時間毎に運行するICEとなる。この列車の1時間前(または後)には、やはりニュルンベルクを経由してミュンヘン〜ブレーメン間を結ぶICEが運転し、ハノーファーでハンブルク発着のICEに接続する。急行列車インターレギオ(IR)網もまた拡大され、ケルン〜ハノーファーとライプツィヒ経由ドレスデン間を結ぶ便(Table700)、またミュンヘン〜レーゲンスブルクとホーフ経由ライプツィヒ間を結ぶ便(Table779、780)が運転を開始した。その他の変更事項としては、空港線をさらに幅広くとりあげたことと、「ハノーファー・メッセ」見本市まで運転する特別列車のダイヤを加えたことがあげられる(P.383参照)。

 

 

ポーランド、ロシア共和国、旧ソ連

国内列車のダイヤに関する情報は、校了時に間に合わなかったが、国際列車については、予告に照らしあわせて改訂してある。ユーロシティ網はポーランドまで拡大され、ベルリン中央駅〜ワルシャワ間を結ぶベロリーナ号が再びユーロシティとして格付けされ(EC42、43)スピードアップがはかられた。ベルリンとワルシャワを結ぶその他の便は、フーク・ワルシャワ・エクスプレスを除いて、ベルリン・リヒテンベルク駅発着となる。ライプツィヒ〜ドレスデン間を結んでポーランドに向かう列車(Table859)は時刻が変更され、ライプツィヒからの2本の夜行列車は、ワルシャワ〜クラコフ間を結ぶ直通車両を連結して1本に統合されている。フィンランド〜ロシア共和国間を結ぶダイヤは改正され、現在ヘルシンキ〜サンクト・ペテルブルク間で2往復運転している(Table902)。

 

 

チェコスロバキア

プラハ〜コシツェ間を結ぶ便(Table884)は両駅から午後早い時間に発車する便が1本ずつ増便し、改訂されている。ライプツィヒ〜カルロビ・ヴァリ間を結ぶカルレックス号は、プラハまで運転区間が延長されている(Table874)。

 

 

ハンガリー

ハンガリー国鉄ダイヤは、冬ダイヤが開始(されるまで従来のまま据え置かれており、当面、在来線はおおむね現行のダイヤで運転するようだ。しかしながら、小さな変更が起こる可能性がある。

 

 

スロベニア、クロアチア、ユーゴスラビア

スロベニアとクロアチアの国内列車に関する詳細は得られなかったので、本書掲載時刻はすべて変更される可能性がある。クロアチアからユーゴスラビアに向かう便はない。また、ミュンヘンからベオグラード、アテネ、イスタンブールに向かう国際列車は、何ヵ月間も前からウィーンとハンガリー経由で迂回していたが、今後こちらが公式ルートとなる。また、ウィーンからベオグラードに向かう夜行便が新たに運行し、ベオグラード急行と名付けられている。ベネチア急行は、新たにザグレブに向かうようになったため(ビンコブチ行きの車両を連結する)時刻が書き替えられる。ザクレブからベネチアへは、朝の便が新たに1本運行し、復路は午後運行する(Table930)

 

 

ルーマニア

国際列車のダイヤ改正に関する予告が組み込まれているが、国内列車については変更される可能性がある。ブダペスト〜オラデア、クルージ、ブラショフ間を結ぶ昼間の列車(Table950)は改訂してある。

 

以上