1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、63回目は、ベロリーナ号を取り上げます。

EC Berolina

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

ベロリーナとは、ベルリンの新ラテン語名

 

ユーロシティ交通の歴史に関する第1章ですでに見たように、ベルリンの壁が崩壊し、ワルシャワ条約機構加盟国の社会主義政権が直接的・間接的に崩壊し、ドイツが急速に再統一されたことで、ユーロシティは瞬く間に旧東欧諸国へと拡大した。1992年5月31日からポーランド走る最初のユーロシティはEC42/43であり、ワルシャワとベルリンを結んぶことからベロリーナ号という名前も与えられた。

 

1959年夏ダイヤに導入されたExt 21/22(ベルリン〜ワルシャワ〜ブレスト)には、伝統的な名称としてベロリーナ号が復活し、DR(旧ドイツ鉄道)急行車両SVT137型「ケルン」が運用に就いた。1960/61年冬ダイヤで初めて導入され、1961/62年冬ダイヤから恒久的に、Ext 125/126の運行区間がワルシャワ〜ベルリン間に短縮され、1961年秋からDR車両に代わって3両編成のPKP(ポーランド国鉄)製ディーゼル列車に置き換えられた。1969年には機関車牽引列車に完全に置き換えられ、D 242/243としてベルリンを越えてアーヘンまで運行され、1975年夏ダイヤからはワルシャワ〜パリ北駅間の客車も運行された。しかし、公式にベロリーナ号という名称は、当初のワルシャワ〜ベルリン間でのみで使用され続けた。

 

1992年5月31日、ユーロシティとして最初の運行を開始し、ベロリーナ号の車両はDB、DR(旧東ドイツ国鉄)、PKPのカラフルな車両で構成された。ベルリン〜ワルシャワ間はPKP EP09型電気機関車が牽引担当した。EC 42はワルシャワ東駅発6:15、ワルシャワ中央駅とポズナン中央駅で途中停車した後、機関車交換駅のジェピン着11:12。フランクフルト(オーデル)を経由し、ベロリーナ号はベルリン中央駅着12:40(当時はベルリン東駅と呼ばれていた)。ワルシャワとベルリンの走行距離570km、最高時速120km/h、表定速度89km/h、6時間25分で結ぶ。復路のEC 43はベルリン発16:22→ワルシャワ着22:59。

 

翌年(=1993年)からDBは1等車にAvmzを、PKPは食堂車と2等車を提供。EC 42の出発時刻が6:00に繰り上げ(ベルリン発12:25)。EC 43もわずかに繰り上げ(ベルリン発16:21→ワルシャワ着22:54)。1994年夏ダイヤから、PKPはUIC-Z2型客車を導入し、EC  42/43の所要時間はそれぞれ7分と11分短縮された。1996年夏ダイヤからは、客車は再びPKPのUIC-Z1車両に変更された。

 

1997年6月1日、ベルリン市内の鉄道網の改修に伴い、ベルリンでの始発駅が一時的にリヒテンベルク駅になった。わずか1年後の1998年5月24日ベロリーナ号は電化されたベルリン中央駅に戻された: EC 46/47として運行されるようになったこの列車は、ベルリンの新発着駅がツォー駅になり、ベルリン〜ワルシャワ間幹線は、新設のEC 44/45 パデレフスキ号とEC 48/49 ポズナニア号によって補強された。EC 46はワルシャワ発6:10→ベルリン・ツォー駅着12:38。両駅間の距離は579キロで、所要時間は6時間28分(EC 46)、6時間33分(EC 47)。

 

2000年5月28日以降、所要時間はさらに大幅短縮され、EC 46/47はそれぞれ6時間17分(表定速度93km/h)、6時間20分(表定速度92km/h)に加速された。その1年後、EC 46は6時間14分というベロリーナ号史上最短の所要時間を達成した。

 

ポーランドとドイツの首都を結ぶ長距離列車に対するベロリーナ号の名称は、2001年9月30日の小規模なダイヤ改正をもって終了する。この日以降、DBとPKPが共同運行しているベルリン〜ワルシャワ間のユーロシティ4列車はベルリン・ワルシャワ・エクスプレスとして統一され、販売されることになる。ただし、完全を期すため、2018年12月9日以降、ウィーン中央駅からパッサウ、ニュルンベルク、エアフルトを経由し、ベルリンとロストックを結ぶ新設のICE列車(ICE 92/93、ICE-T Class411で運行)は、再びベロリーナ号と呼ばれるようになったことに留意されたい。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1993年夏ダイヤ 

1等・2等のコンパートメント車、食堂車(WARS社)、途中の増解結なし。ポーランドとドイツの車両。

 

今回は以上です。

 

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)