1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、50回目は、ベルテル・トーヴァルセン号を取り上げます。

EC Bertel Thorvaldsen

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

ベルテル・トーヴァルセン(1770 - 1844)、デンマークの彫刻家

 

EC188 ベルテル・トーヴァルセン号は、1992年5月31日、ハンブルク中央駅発13:11で、渡り鳥ラインの等間隔ダイヤの一構成列車として、コペンハーゲン方面へ4番目に発つ列車だった。この路線では、他のユーロシティーと同じ途中停車駅だ。リューベック中央駅、オルデンブルクを経由し、14:50にプットガルデン・フェリー駅に到着、基本編成がフェリーでデンマーク側に渡る間、編成後方のDB(ドイツ鉄道)2等客車2両はプットガルデンで切り離されて残る。ロービュ着16:00で、デンマークのディーゼル機関車とDSB(デンマーク国鉄)客車2両がベルテル・トーヴァルセン号に併結され、18:20にコペンハーゲンに到着。1992/93年冬ダイヤでは、日曜日以外はDB荷物車も連結し、コペンハーゲンでストックホルム行の夜行急行382列車に付け替えられた。対向列車EC189はコペンハーゲン発11:20で、ハンブルク着16:30。これはインターバルダイヤとなるので、ハンブルク - コペンハーゲン間の他のユーロシティと同じ所要時間である:EC188は354kmの区間を5時間09分、EC189はそれより1分長い。

 

翌年(=93年夏ダイヤ)からは、それまで使用されていたDB-218型ディーゼル機関車重連牽引に代わり、DB-234型ディーゼル機関車が使用された。EC188は出発時刻が8分繰り上げられ、ハンブルク発13:19となったが、コペンハーゲン到着時刻は以前と変わらなかった。1994年5月29日からは、EC 184/185となったベルテル・トーヴァルセン号はデンマーク国鉄のIC3ディーゼル列車に変更され、カレン・ブリクセン号は再びDB客車編成使用の列車となった。EC 184は3ユニット(9両編成)のIC3で構成され、ハンブルク発13:26で、1ユニット(3両編成)はプットガルデン止まり(14:55着)、残りの2ユニット(6両編成)がフェリーでコペンハーゲンへと旅を続けた。ハンブルクを出発してからわずか4時間42分後の18:08にコペンハーゲンで旅は終わる。所要時間は対向列車EC185の方が10分長い(コペンハーゲン発12:30、ハンブルク着17:22、表定速度73km/h)。EC185はEC188(ハンブルク発18:26、コペンハーゲン着23:08)に、EC189(ハンブルク発12:25)はEC184にバトンタッチする共通運用が組まれた。 EC185は1995年5月28日から所要時間が4時間29分(ハンブルク発13:30、コペンハーゲン着17:59)に短縮され、表定速度は79km/hに向上した。

 

1997年9月28日から、ハンブルク - コペンハーゲン間のユーロシティはすべてIC3ディーゼル列車に交換された。これ以降、EC184は全ルートでIC3ディーゼル列車2組(1組3両なので6両編成)となり、ハムレット号との共通運用は維持された。一方、対向列車EC185は、EC180 クリスチャン・モルゲンシュテルン号(ハンブルク発7:32、コペンハーゲン着12:06)との共通運用に替わった。EC185はコペンハーゲン発13:55、ハンブルク着18:52。

 

1年後(=1998年夏ダイヤ?)ベルテル・トーヴァルセン号は、他のユーロシティ同様、EC34/35という新しい列車番号に変更された。所要時間は再び短縮され、EC34(コペンハーゲン発13:52、ハンブルク発18:15)は4時間23分、EC35(ハンブルク発13:37、コペンハーゲン発18:15)は4時間38分となった。これにより、表定速度は82km/hと77km/hとそれぞれ向上したが、その後数年の間に限って、残念ながら所要時間は維持できなくなったことがある。EC35はEC38 ハムレット号と、EC34はEC31 クリスチャン・モルゲンシュテルン号との共通運用を維持した。乗客数が増加する夏期に座席定員を増やすため、1998年6月19日から8月31日まで、IC3ディーゼル列車が2組連結の6両編成とする増結対応はその後も行われた。

 

2002年12月15日ダイヤ改正で、ベルテル・トーヴァルセン号はその列車名を失ったが、IC3の列車と時刻表の経路はそのまま残っている。(この書籍の)下巻では、この列車のさらなる歴史に迫ります...。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1993年夏ダイヤ 

1等・2等のコンパートメント車、2等オープン座席車、食堂車なし、プットガルデンで増解結。ドイツの車両のみ。

 

今回は以上です。

 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)