1987年からTEEの後継としてはじまったユーロシティの歴史を振り返っていく企画を立ち上げました。ドイツから取り寄せた、Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegendenの翻訳を通じて、ユーロシティーの一端を知る、文字通り「備忘録」としたいと思います。

 

まとめの対象ですが、前述の書籍内では1987〜1993年の間に運転開始されたユーロシティを扱っており、その中の列車名ごとに歴史や仕様がまとめられているページとします。書籍の紹介順に倣って、47回目は、クリスチャン(クリスティアン)・モルゲンシュテルン号を取り上げます。

EC Christian Morgenstern

 

(以下原文訳、一部表現、短縮名称等をブログ筆者で補足)

クリスチャン・オットー・ヨーゼフ・ヴォルフガング・モルゲンシュテルン(1871~1914)、ドイツの詩人、作家、翻訳家。

 

ドイツ・デンマーク間の渡り鳥コースを通る長距離夜行列車の撤退が進む中、DB(ドイツ鉄道)とDSB(デンマーク国鉄)はユーロシティ列車の増発により、日中のサービス強化に注力した。両国鉄はまた、クリスチャン・モルゲンシュテルン号と名付けた新しいEC180/181を、1992年5月31日から実施された2時間等間隔運行のユーロシティの一つに統合した。北行EC180はDB客車による短編成で構成され、DB-218型ディーゼル機関車重連で牽引。デンマークへ向けて発車する1番目のユーロシティとしてハンブルク中央駅発7:11、リューベック中央駅とオルデンブルクで途中停車した後、ドイツ側のフェリーターミナルであるプットガルデンに到着(8:50着/9:05発)し、フェーマルン・ベルト海峡をフェリーで横断、ロービュに到着(10:00着/10:15発)。この駅でDSB客車を数量増結し旅を続ける。さらにニュークビン、ネストヴェズ、ホイェ・ターストラップに途中停車し、コペンハーゲン着12:20で旅を終える。その後、編成はEC187 ローゼンボー号となりハンブルクに戻る。

 

対向列車については、16:20にコペンハーゲンに到着するEC186 ローゼンボー号が南行EC 181に入れ替わる。コペンハーゲン到着からちょうど1時間後に南へ向かうハンブルク行ユーロシティの最終便として出発。途中、往路と同じ途中停車駅、特にロービュ(19:15着)とプットガルデン(20:52発)に停車する。所要時間はそれぞれ5時間9分と5時間10分で、EC180とEC181は354kmの区間を表定速度69km/hで走行する。

 

それから1年後(=1993年夏ダイヤ)、EC180のハンブルク中央駅出発時刻がは8分繰り上げられ7:19発となった。しかし、1994年5月29日からは、DSB-IC3ディーゼル列車に変更されたことで、さらに重大な変更が加えられた。ハンブルク中央駅発7:19のEC180は、予定通り3組連結(9両編成)のIC3列車で構成され、そのうちの1組(3両)はプットガルデンで切り離し。8:52に同駅のフェリー乗り場に到着した後、コペンハーゲンに向けて運行される残りの2組(6両)は、10:00にロービュ着10:00で、わずか5分後に出発。機関車牽引時代のようにフェリーに機関車を連結する必要がないIC3を使用したことで、所要時間はわずか4時間49分に短縮され、表定速度は74km/hに向上した。EC180のIC3の2組6両編成は、EC181(コペンハーゲン発17:30→ハンブルク中央駅着22:15)の運用にも就き、南行の所要時間は4時間45分となった。念のため:EC180からプットガルデンで切り離されたIC3の1組3両編成は、終日、他のユーロシティ列車でプットガルデンとハンブルクの間をシャトル運行した。

EC189  ハムレット号(プットガルデン発10:52→ハンブルク着12:25)

EC184 ベルテル・トーヴァルセン号(ハンブルク 13:26発→プットガルデン着14:55)

EC185 ベルテル・トーヴァルセン号(プットガルデン発15:46→ハンブルク着17:32)

EC188  ハムレット号(ハンブルク発18:26→プットガルデン着19:59)

そして最後に、EC181 クリスチャン・モルゲンシュテルン号(プットガルデン発20:46→ハンブルク着22:15)。

 

1995年5月28日以降、EC180は再び高速化された。ハンブルク発7:30、コペンハーゲン着11:59で、所要時間は4時間29分に短縮された。表定速度は79 km/hに向上し、非電化ルートとフェーマルン・ベルト海峡のフェリー横断を考慮すると、驚くべき値である。1997年9月28日から、ハンブルクとコペンハーゲンを結ぶユーロシティがIC3ディーゼル列車に変更された。これにより、南行クリスチャン・モルゲンシュテルン号の列車番号はEC183に変更され、全ルートでIC3の1組のみとなり、EC180(ハンブルク発7:32→コペンハーゲン着12:06)とEC183(コペンハーゲン発15:55→ハンブルク着20:15)の1日ローテーションとなった。

 

1998年5月24日からクリスチャン・モルゲンシュテルン号の列車番号がEC31/32に変更され、所要時間は4時間30分(ハンブルク発7:29→コペンハーゲン着11:59)、さらに4時間23分(コペンハーゲン発15:52→ハンブルク着20:15、表定速度81km/h!)となった。翌年(=1999年)のダイヤ改正では、EC31/32はEC30/33 トーマス・マン号と併結して運行された(1999年6月19日から8月30日を除く)。2001年6月10日からは、クリスチャン・モルゲンシュテルン号のEC31がEC33と列車番号が変更となり、ハンブルク中央駅発9:28でコペンハーゲン着13:59でむかった。途中、グローセンブローデにも停車した。使用されるIC3(2組6両編成での運行は6月から8月の繁忙期のみ)の復路のEC32(ハンブルク着20:16)として15:47にコペンハーゲンを出発する。2002年12月15日ダイヤ改正後も、EC32/33は同じ時刻にハンブルクとコペンハーゲンを結んでいるが、列車名はついていない。

 

 

  編成例(書籍内イラストから)

 

1993年夏ダイヤ 

1等・2等のコンパートメント車、2等オープン座席車、2等車コンパートメント/カフェ合造車、デンマーク国鉄編成のみロービュで増解結。ドイツ、デンマークの車両。

 

今回は以上です。
 

参考資料:

・Die EuroCity-Zuege - Teil 1 - 1987-1993: Europaeische Zuglegenden /Jean-Pierre Malaspina, Manfred Meyer, Martin Brandt

・Thomascook European Timetable/Thomascook

参考ページ:

Datenbank Fernverkehr (Database long-distance trains)

Harrys Bahnen

ページ内写真:Flickr(引用元は写真とセットで明記)